「こんな事、末端とはいえ海軍の俺なんかがおおっぴらにゃ言えねえけどよ、、、」 獄舎にゾロを連行中の際、兵卒の一人がおもむろにきりだした。 「なんだよ?」 まわりに聞こえはしないかと、辺りに目配せをし、だれもいないことを確認すると 「憧れてたんだぜぇ、この男にはよお。いかな悪漢とはいえその強さ、生き様に男として、、、」 そういうと、立場は違えど憧れの対象であった男の変わり果てた姿に、少し涙ぐみながら、彼は言葉を詰まらせた。 「馬鹿いってんじゃねえよって言いてえところだが、俺もそうさ、男として、強さ追い求めるものとして ゾロの名前は、信仰に近いものがあるからなぁ、わかるぜ…その気持ち」 そう、道すがら互いの思いを無聊しながら連行していくうちにやがて重犯罪者用の独房の前に着いた。 この独房で獄死した者たちの鬼哭がいまにも中から聞こえてきそうな金剛石で出来た重々しい扉には レリーフでこう刻まれている(この扉をくぐりし者はすべての希望を捨てよ)と。 「どんな凶状持ちでも、こいつを見たら竦んじまい、毒っけが抜けちまうもんだけど、こんなんなっちまった今、逆に 判らなくなったほうが幸せってもんかな」 「ああ、殆ど光の入らねえ小窓がひとつのこのへやに拘束着つけられて放りこまれんだもんな、三日と持たず 発狂しちまう奴や、てめえの運命を悲観して舌噛み切っちまう奴が 後をたたねえからな、こいつの場合は拘束着は無いにしてもこんな境遇に何時まで耐えられることやら」 そういうと兵卒たちは扉の取っ手を二人掛りで掴むと力の限りで扉を開き始めた。 【ギシイィィィィィィィィィィ、ズゴォォォォォォン!!!!!】 なんとも重々しい響きを立て、厚さ30センチの金剛石で拵えられた現世と煉獄の境が開かれる。 猛者揃いでなる海軍兵士が二人掛かりでやっとの思いで開ききると 「はぁ、はぁ、はあ、ふぃ〜〜〜、この尋常じゃねえ重さもそうだけどよお、この扉が開くときの亡者のすすり泣きみてえな音は 何べん聞いても、肝が縮みあがるぜ」 「いずれにしろ、長居したくなる様な場所じゃあねえ、さっさと用事済ませちまおう」 そういうと、目の前に現れたもう一つの樫の木でできた頑丈な扉、といっても先ほどのものと比べたら 物の数ではないが、の鍵を開けると饐えた臭いに充満した小部屋が現れた。 顔をしかめる様な臭いに辟易しながらゾロの体躯を引きずるように部屋まで連れ込むと、 二人は独房の粗末なベッドにゾロの体を横たえた。 「さあ、さっさと持ち場に戻ろうぜ、点呼に遅れたらスモーカー大佐にどやされちまう」 「そうだな、こんな所にゃ長居は無用っと、あ、そうそうこいつを忘れるところだったぜ、危ねえ、危ねえ」 危うく、たしぎより託された「和道一文字」をそのまま持ち去ろうとするのに気付き、 「ほらよっ、せいぜいこいつと仲良くするこったな、大剣豪さんよ!」 かつての畏敬の対象に蔑みに満ちた口調でそう吐き捨てると、棒っきれでも投げ捨てるようにそっけなく、「和道一文字」を ゾロに向かって放り投げた。  お預けを食らっていた愉しみの続きができると、喜悦の表情でそれを受け取るや一人、ゾロは淫酪の世界に没頭していった、、、。 [たしぎ編・11ページ]
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