初めてあなたに好きといえた。

「はい。そのまま。はい、いいよその表情」
 カメラマンがシャッターを切る。
 ここは、とあるリゾート地。今ここで人気グループモーニング娘のユニット、プッチモニのグラビア撮影が行われていた。
 海が美しいとあって、当然撮影場所はその海岸。そして、プッチモニは水着姿であった。
 すでに、保田を含んだ撮影は終っているため先にホテルに戻り、今は後藤と吉澤の二人だけである。
「はい、もっと二人、引っ付いて」
 カメラマンの要望に、
「ごっちん。なんか照れるね」
「そうだね、よっしー」
 後藤と吉澤は少し照れ笑いを浮かべながら、お互いに手を回して抱き合うと、カメラ目線に笑った見せた。
 二人とも、モーニング娘には途中参加であるが、すでにカメラにもなれ、芸能人としてのオーラが出ていた。
 二人がいい表情になると同時にカメラのシャッターがパシャパシャと切られ、フラッシュの光が何度も二人を照らした。
 一見何ら何でもない普通の撮影である。しかし、彼女たちは奇妙な感覚に襲われてしまった。
 二人はお互いの胸を合わせた格好なのだが、抱き合ったときの態勢が真正面過ぎたためお互いの胸の突起部分。
 つまり、乳首と乳首が
 微妙に触れ合っていたのだ。
 水着は薄い素材のため、なおさら感触が伝わってくる。
(ああ、ごっちんのがあたって……)
(よっしー。どうしよう、感じてきちゃった……)
 などと二人の表情がうっすらと、赤みを帯びようとしてくると、
「はい、オッケー。次ぎ行ってみようか!」
 それを聞いて、二人は飛び跳ねるようにしてわかれたのだった。
(ふう、助かった〜)
 後藤はホッとした様子で、火照りそうな体を必死に冷やそうと、手団扇でパタパタと扇いだのだった。
 
 その日の撮影は予定通り全て終り、メンバーは宿泊するホテルに戻って夕食を取り、それぞれの自由時間になった。
「ハア〜」
 吉澤は自分の部屋で一つ大きなため息を吐いた。
(撮影の最中に感じちゃったなんて初めて……)
「ハア〜」
 再び大きなため息を吐いた。
 吉澤は普段から真面目なタイプで、与えられた仕事の最中は真面目に取り組むタイプであった。
 仕事中はあまり他ごとを考えず、集中をして取り組むべきだと思っていた。
 しかし、よりによって仕事の最中に、後藤の胸が当たり、感じてしまった。
 そんな自分に吉澤は腹こそ立たなかったが、やってしまったとうなだれている。
(でも、ごっちんの胸。柔らかくて気持ち良かったな……)
 そんなことを考えていると、無意識のうちに吉澤の右手が股間へと伸びていった。
「あっ……ごっちん……ああっ! ……気持ちいい」
 吉澤は撮影のときに二人が抱き合った所から、後藤が指を自分の股間へと伸びていった所を想像している。
「ああ、ごっちん……」
 そして想像の後藤の指が吉澤の股間を愛撫するのと同時に指のスピードが速くなっていく。
「ああ……イイッ! ねえ、ごっちん……私も……するから……もっと激しくして」
 想像の吉澤は自分の指を後藤の股間にいれゆっくりと指を動かし始めていく。
 そして、左手はどこかの空間をさまよっていた。
 左手で後藤の股間に手を入れ、愛撫しているのだそれに対し、妄想の中の後藤は吉澤の中にある指をさらに速く動かしていった。
「ああ。駄目! イッちゃう! ああ。ごっちん、ごっちん…ごっちんんんんんんんん…………」
 吉澤は激しく痙攣をし、イッてしまいそうなとき、
「よっしー、いるぅ〜」
 なんと、後藤が入ってきた。

「よっすぃー、いるぅ〜」
 後藤が入ってきた。
「キャッ!」
 オ○ニーをしていた吉澤は、あわてて股間から手を出すと、自分の愛液で濡れてしまった手を後藤に気づかれないように、
 ベットのシートで拭いた。
「ど、どうしたの。ごっちん」
「へへへへ……よっすぃー〜」
 吉澤が声をかけると、後藤はへらへらと笑いふらつきながら、吉澤に近づいていく。後藤の左手にはワインボトルがあった。
 吉澤はついさっきまで後藤でオ○ニーをしていたため本人を目の前にすると、
 いやでも裸体を想像してしまい、心拍数が急上昇する。
 後藤がベットに座る吉澤の横に座ると、息がかかり吉澤は思わず叫んだ。
「酒くさーい。ごっちん飲んだの?」
 よく見てみれば、後藤の顔は真っ赤で、かなり酔っていた。
「へへへ……よっすぃーも飲む?」
「飲む? じゃないよ。ごっちんはまだ未成年でしょ!」
「何よ、よっすぃー。固いこと言わないでさ。一緒に飲もうよ」
 後藤は無理やり吉澤にワインを飲ませようと、ワインの口を吉澤の口へ持っていこうとする。
「ちょっと、ごっちんやめてよ」
「いいじゃないの。一緒に飲も」
「いやだって、もう怒るよ」
 少し、吉澤の口調が強くなる。
「わかったよ……」
 後藤が残念そうに諦めると、吉澤は少しホッとする。
 と、次の瞬間。
 後藤がワインをラッパ飲みして口に含むと、吉澤に抱きついて口移しでワインを飲ませた。
「んっ……んんんんん……」
 いきなりのことに、吉澤は眼を丸くさせた。
 ものすごい至近距離で、二人の瞳がお互いの瞳を映し出す。
 後藤は舌を使い、こぼさず吉澤の口の中にワインを運んでいく。
 いつしか吉澤も目がとろ〜んとしてきて、虚ろになっていく。
 やがて、後藤は口に含んだワインを全て吉澤の口に移すと、ようやく放れた。
「へへへ、よっすぃーこれで飲んだね」
 うれしそうにいう後藤に、吉澤は我に帰った。
「ちょ、ちょっと、何するのよ。ごっちん」
 吉澤は酒のせいだけではなく、後藤のように顔が赤くなっている。
「キスだよ」
 あっけらかんにいう後藤。
「もしかして、よっすぃー初めてだった? やりィ。よっすぃーのファーストキッスを奪ってやった」
 よほどうれしかったのか、後藤はガッツポーズまでする。
 後藤は完全に酔っ払っている。いや、それどころか今にも泥酔しそうだ。
「ごっちん。もう、本っ当―に怒るよ」
 吉澤は後藤を睨むが、後藤はお構いなしに、
「ああっあ。眠たくなっれきゃった。よっすぃー私もう寝るね」
 後藤はあくびをすると、その場で服を脱ぎ始めた。
「ちょっと、ごっちん。ここ、ごっちんの部屋じゃないよ」
「いいから、いいから……」
 後藤はそのまま、脱ぎつづけて全裸になった。
 思わず、見ちゃいけないなと吉澤は目をそらす。
 同姓とはいえ裸を直接見るのは照れるのだが、吉澤はそれ以上に後藤の裸を見るのに照れた。
「う〜ん。なんか熱いね」
「ご、ごっちんはお酒を飲んでるからでしょ」
「そっかあー。そういえば、お酒を飲んでたんだ。それでだ。それでこんなに眠いんだ」
 後藤はもう一度あくびをすると、ベットにひっくり返った。
「じゃあ、よっすぃー。今度こそ私寝るね」
 後藤は、その格好のままで寝てしまった。
「ごっちん。そんな格好で寝ちゃ駄目だよ」
 吉澤は後藤に声をかけたり、頬を軽く叩いたりして起こそうとするが、
 後藤は幸せそうな顔をして、すやすやと眠って、起きる様子がない。
「しょうがないか……」
 今は夏で、このまま寝かしておいても風邪を引くこともないだろうと思った吉澤は、
 後藤を起こすのをあきらめ、シーツをかけた。
 そして、自分はシャワーを浴びた。
 部屋に戻ると、後藤はまだ気持ちよさそうに寝ていた。
 バスタオル姿の吉澤は、後藤の横に座ると、そっと後藤の髪を撫で、優しく微笑んだ。
 吉澤は、モーニング娘に入ったときさほど後藤のことを考えることはなかった。
 しかし、時がたち、グループになれてきた頃から少しずつ変わっていた。
 休日に、メンバーが何をしているんだろうと考えるときは、まず後藤のことを考えていた。
 番組などで二人組を作れといわれると、たいてい後藤と組もうとしていた。
 そんな自分の気持ちの変化に、吉澤は気づいてはいなかった。
 じっと後藤を見ていた吉澤は、自分の鼓動がドンドンと早くなっていくのを感じていた。
 そして、後藤のかわいらしい唇。きれいな頬。端正な胸。すべてに振れてみたい衝動に駆られた。
 吉澤の唇は、自然に後藤の唇に近づいていった。
(あっ、どうしたんだろう私。なんで、ごっちんにキスしようとしてるんだろ……)
 気持ちは止まろうとしているが、体が言うことをきかずそのままキスをしてしまいそうなとき、
「んんん……よっすぃー」
 寝返りをうった後藤の腕が吉澤の首に絡まり、吉澤はベットに倒れ込んでしまった。
 しかも、バスタオルが外れてしまい、吉澤も全裸になってしまった。
「ど、どうしよう……」
 口では困る吉澤であったが、なぜかそこから放れようとはせず、じっと後藤の顔をうれしそうに覗き込んでいるのだった。
(そっか。私そうなんだ……)
 何かに気がついた吉澤は、そのうち仕事の疲れからいつの間にか寝てしまったのだった


 翌日朝。
「ン……ンンンン……」
 寝ていた後藤は、目を覚まそうとしていた。
(あれ、もう朝……)
 そう思うと、後藤に二日酔いの頭痛が襲った。
(っぅぅうう……そっかぁ、私酒飲んだんだ……それでその後……)
 後藤が昨日のことを思い出そうとしていると、自分が服を着ていないのに気がついた。
 一気に目を開ける後藤。
(あれ、なんで服着てないんだろ)
 そして、後藤は横に誰かがいる気配を感じると、
(よっすぃー! えっ、よっすぃーも裸! 何で! えっ、まさか私。酔った勢いで!)
 後藤は酔った勢いで吉澤を襲ったかもしれないと思った。
(ど、ど、ど、どうしよ……)
 どうやら後藤は昨日の出来事をまったく覚えていないようだ。
(と、とにかくここから出て、それから考えよう……)
 後藤は起きあがろうとすると、
「ムニャムニャ……ごっちん……」
 吉澤が寝相で後藤の上にのっかってきた。
(よ、よっすぃー……)
 上に乗られ、逃げられなくなった後藤は吉澤を恨むが、昨日の夜と逆の状態だとは当然知る由もない。
 吉澤は完全にうつ伏せ状態で、仰向けで寝ている後藤を組み敷いたような格好である。
 当然胸と胸が当たり、後藤は昨日の撮影を否応なしに思い出され、少しずつ感じてしまうが、声を出さないようにしている。
 しかも後藤は自分が吉澤に何かをしてしまったと思っているので、起こすこともできずこれでは逃げようがない。
 そんな後藤であったが、時間が過ぎていくと次第に後藤は逃げるよりもじっと吉澤の顔を見つめるようなった。
(よっすぃー、かわいいな……)
 と、そこへ
「んっ……ムニャムニャ……」
 吉澤が再び寝返りを打つと、目を覚ました。
「あれ、あっ、そうか。ごっちんが私の部屋に来たんだ……」
 吉澤が起きると同時に、あわてて後藤は寝たふりをした。
 この場面で起きても、二人が裸のため気まずい雰囲気が流れると思ったからだ。
 後藤がまだ寝ていると思った吉澤は、起きあがると服を着始めた。
「ったくぅ、ごっちんが酒に酔って入って来るから……」
 言葉では怒っているような口調であるが、声はまったく起こっている様子はなく、それどころか嬉しそうだ。
 後藤はその声でホッとすると、眼を開けた。
「あれ、よっすぃー。何でここにいるの?」
「ごっちん、起きたの? はい、服きなよ」
 吉澤は、昨晩後藤が脱ぎ捨てた服を渡した。
「あっ、ありがとう」
「ごっちんは、昨日酔っぱらってここに来て、服脱いでそのまんま寝ちゃったのよ」
「あっ、そうなんだ。それで、私何かした?」
「……ううん。なにもしなかったよ」
 吉澤はキスをされたことを言おうか言わないでおこうか迷った。言ってしまった場合の後藤の反応が恐かった。
「そ、そう……そうなんだ」
 一方の後藤の方も、何か言ってくれれば楽なのにと思ったのだった。
 そのあと、二人は言葉を交わすことはなかった。
 
 その日の仕事も、昨日の撮影の続きだ。
 後藤、吉澤、保田の三人それぞれが水着に着替え、写真に映し出されていく。
 午前中は三人の撮影。そして、午後からは再び一人での撮影と、二人組を作った撮影であった。
 今は昨日の後藤と吉澤が撮影を行っているのだが、どうもスタッフの顔が優れない。
「どうしたんです?」
 一人、ジュースを飲んで休んでいた保田がスタッフの一人に聞いた。
「何かさ。あの二人、どうも表情が固いんだよね。喧嘩でもしたの?」
「さあ、聞いてないですけど……昨日も、後藤は、吉澤の部屋に行って来るって……酔っぱらってましたけど」
「じゃあ、一晩で何かあったんかな」
「さあ、どうでしょう……少し、休憩をもらっていいですか? 二人と話してきます」
「ああ、いいよ。それじゃあ、三、四十分ぐらい、休憩だ」
 そう言って、スタッフは自分の持ち場に戻っていった。
 保田は、後藤と、吉澤の元に行った。
「どうしたの二人とも。なんか調子が悪いみたいだけど……」
「あっ、保田さん。いえ、別にどうもしてませんけど、ねっ、ごっちん」
「うん。別に体調は……少し頭が痛いけど……」
 どうも二人とも、どうもお互いへの会話がぎこちない。
「そうだ。二人とも、気分転換に少し歩いてきたら?」
「え? 別にいいですよ」
 後藤が断ろうとするが、
「そうそう、はいはい。行ってきなさい」
 保田は半ば強引に二人の背中を押して、送り出したのだった。
 
 二人は五分ほど歩いたのだが、景色は何ら変わることがない。ただ違うのは、まわりに人がいなくなってきたことだけだ。
「この辺で休もっか」
「そうだね」
 後藤の提案で、二人は腰を降ろした。二人が座っている所には時折波が打ち寄せて、お尻をぬらしていく。
 海の冷たさが気持ち良かった。
 ただ、二人には会話がなかった。
 二人とも、話したい事は同じである。相手が聞きたいと思っていることもおおよそであるが、同じだと気がついている。
 だが、二人とも聞くことができなかった。
 1分が1時間のように長く感じる二人であるが、このままこの時間が過ぎていかないでと願う二人でもある。
 先に口を開いたのは後藤であった。
「ねえ、よっすぃー」
 待ってましたとばかりに、吉澤が答える。
「なに?」
「……いや、やっぱりいいや」
 後藤は顔を真っ赤にして、下を向いてしまった。
「何よ。気になるじゃない」
 ここぞとばかりに、後藤に話しをさせようとする吉澤。
「ううん。気にしないで」
「気になるよ……」
「いいじゃない。独り言だったと思って」
「駄目だよ。ねえ、言ってよ」
 吉澤のしつこさに後藤は仕方なく、
「ねえ、よっすぃー。怒らない?」
「うん、怒らない」
「絶対に怒らない?」
「絶対に怒らない」
「絶対の絶対の絶対に、怒らない」
「怒らないから、言ってよごっちん」
 後藤の顔がさらに赤くなると、吉澤の顔も赤くなっていった。
「あのさあ、昨日……私、よっすぃーに、本当に何もしなかった?」
 今度は吉澤がうつむいてしまった。
「えっ? やっぱりなんかしたの?」
 吉澤はコクンとうなずき、
「……キスした」
「やっぱり……酔っ払ってたからすぐには思い出せなかったんだけど……ゴメン」
 後藤が謝ると、今度は首を横に振った。
 後藤は、それをやっぱり怒っているんだと思い、許してくれないんだと感じた。
「ゴメン。本っ当ぉぉぉにゴメン」
 吉澤はまた首を横に振ると、
「違う、ごっちん」
「え?」
「あやまらなくていいよ」
「え?」
「わ、私……ごっちんにキスされたとき、すぐは怒ったの。でも、今は……逆にうれしかったりもするんだ……」
「え?」
 二人の間に、一瞬の沈黙が流れた。そのわずかな時に、吉澤は今もっているありったけの勇気をかき集めた。
「ごっちん。今度は私がキスしていい……?」
 後藤は静かに頷いた。
 そして、二人はそっと唇をあわせたのだった。
 浜辺の太陽は沈みながらも、そんな二人を優しく照らしているのだった。
 
 その後、二人は先程までの硬さも抜け、昨日よりもいい表情で撮影を行った。
 あまりの良さに、スタッフが、
「こりゃあ、保田抜きで、二人だけの写真を表紙に持ってきた方がいいかもな」
 と、冗談を言って、横にいた保田を慌てさせたほどであった。
 そんなこんなで、撮影も終りそれぞれは再びホテルに戻っていた。
 後藤と吉澤は、昨日と同じように吉澤の部屋に来ていた。
 先にシャワーを浴びていた後藤は、バスローブ姿でベットに腰を降ろし、吉澤を待っていた。
 そこへ、後藤と同じバスローブ姿の吉澤が出てきた。
 後藤は立ち上がり、吉沢と向き合った。
「ごっちん。待った?」
 後藤と同じようにシャワーを浴びていた吉澤から、石鹸の香りがする。
「ううん。そうでもないよ……」
 二人とも、相手の肩に手を見詰め合った。
「なんか……照れるね、ごっちん」
「そうだね……」
 二人は照れを隠そうと笑顔になる。
「ねえ、よっすぃー。脱いでよ……」
「いや、ごっちんから……」
「よっすぃーからだよ。昨日、私の裸見たんでしょ」
「ごっちんだって、朝見てたんじゃないの?」
「え?」
「寝たふりしてたでしょ」
「あっ、ばれてた?」
 そういって、二人は笑った。
「じゃあ、いっせいに脱ごっか」
「そうだね」
 二人は恥じ入りながら、ゆっくりとバスローブを下ろした。
「よっすぃー。きれいだよ」
「ごっちんも……」
 二人は抱き合った。
 胸と胸が重なり撮影の続きを楽しんでいる。
 そのまま後藤は、吉澤ごとベットに押し倒した。
 後藤の口は吉澤の口から離れ、ゆっくりと降りて、吉澤の胸をすすった。
「アンッ! ごっちん。上手……」
 二度三度と乳首を口の中に含むと、後藤の口はさらに下へと降りていく。
「よっすぃーのアソコ見せて……」
 吉澤は恥ずかしさから、顔を横に振るが、後藤は構わずに吉澤の股間に顔をうずめた。
「ごっちん……恥ずかしいよ……」
 顔を真っ赤にして言う吉澤。
「大丈夫。よっすぃー。綺麗だよ」
 後藤はそこをためらうことなく、舌を入れた。
「アアッ……ごっちん……」
 吉澤の背中がピクンと跳ね上り、シーツをつかんでその快感に絶えようとするが、それも徒労に終る。
 後藤はさらにあふれ出る愛液を、わざと音をたててすする。
「もう、ごっちんばかりずるいよ……私にもさせてよ」
「いいけど……恥ずかしい……」
「何言ってるの。私だって恥ずかしかったんだからね」
 後藤は仕方なしにといった様子で、仰向けになった。
「ごっちん……かわいい……」
 吉澤は後藤の胸を口で嘗め回すと、右手を後藤の股間に入れた。
「ああ、ごっちん。濡れてる……」
「よっすぃーだから濡れてるの」
「そう……じゃあ、いくね……」
 吉澤の指は、ゆっくりと後藤の泉を遊び始めた。
「あっ。よっすぃー。気持ちいい アッ! あああ……」
 吉澤がしばらく愛撫をしていると、後藤が
「ねえ、よっすぃー。一緒にイこう」
 吉澤がゆっくり頷いた。
 二人は横に寝転がると、それぞれの胸と股間を愛撫し始めた。
 そして口付けを交わし、唾液の交換をする。
「アアッ! よっすぃー。だめイッちゃう」
「ごっちん……一緒にね、イクイクイク……」
「アアアアアアアア!」
 二人はほぼ同時にイッてしまった。
 
「どうしたの、よっすぃー」
 夜中、目がさめた吉澤は後藤を起こした。
「大切なこと忘れてた。ごっちん」
「どうしたの?」
 真面目な顔になって言う吉澤に、後藤も真剣になった。
「私、吉澤ひとみは、後藤真希が好きです」
 それを言われ、後藤も気づき、
「後藤真希も、吉澤ひとみちゃんが大好きです」
 そういうと、二人は笑い出した。
「言えた。私、初めてこんな言葉、人にいったよ」
「私も。ごっちんだからいうんだけどね」
 そして、二人は再び抱き合き、口付けを交わしたのだった。


「私はごっちんが好きです」
 吉澤がそのことを伝えてから、すでに四ヶ月。
 吉澤と後藤はいつものようにいちゃつき、ベットを共にして愛し合っていた。
 他のメンバーも、それとなく気づき、二人を暖かく見守っていた。
 これは、そんなときのことである。
 
 モーニング娘はある仕事で、スタジオに来ていた。
 後藤を探していた吉澤は、後藤が控え室で一人でいるのを見つけると、
「ごっちん。今日暇。家に行っていい?」
 家に行ってもいい? とはもちろんHが目的でいうのである。
 とはいえ、まだこのことを言うたびに吉澤の顔が赤くなるのは、まだ恥ずかしさがあってのことだ。
「ゴメン、今日ちょっと友達の家に行かないといけないから……」
「そう……」
 吉澤は寂しそうに言い、廊下に出た。
「フウ……」
 吉澤は一つため息を吐いた。
 最近いつもこうなのだ。
 はじめのうちは夜ごとに愛し合った。
 未だにお互い照れが抜けないのだが、それは二人とも相手を傷つけないようにとしていたことなのであろう。
 もちろん暇を見つけては、デートをしたり、遊びに行ったりもした。
 ところが最近、どうも後藤が冷たいのである。いや、冷たくはない。いつも通りに接してくれている。
 しかし明らかに後藤が暇なときに、誘っても後藤は首を縦に振らないのである。
 いつも、何か用事を見つけ出しては吉澤の誘いを断っている。
 吉澤もそれとなく理由を聞くのだが、後藤は教えてくれなかった。
 
 その翌日。
 吉澤は、歩いていた矢口を見つけた。
「矢口さん、ごっちん見ませんでした?」
「ごっちん? さっき、圭ちゃんと一緒に、楽屋にいたけど」
「楽屋ですか。わかりました」
 吉澤は楽屋に行こうとすると矢口が、
「そういえば、昨日も……圭ちゃん、ごっちんの家に行くって言ってたな……」
 すぐに吉澤が振りかえった。
「え?」
 すると、矢口はしまったという顔になり
「あっ、これ言っちゃいけなかったんだ……ゴメン……よっすぃーだけには言わないでって、
 ごっちんに言われたんだ……ああっ! よっすぃー。私が言ったっていわないで……」
「えっ、いいですよ……」
 両手を合わせて言う矢口の言葉などはほとんど耳に入らず、吉澤はうつろに答えると、楽屋に向かった。
(昨日は、友達の家に行くって言ったたのに……どうして保田さんと……)
 そんなことを考えて、楽屋にはいると、
「キャッ!」
「早く、隠して隠して!」
 慌てた様子で後藤と保田が何かを後に隠した。
 吉澤はそれを見ながら、そのことに振れずに、
「ごっちん、明日は休みでしょ暇?」
 後藤が聞くと、なぜか保田の顔色をうかがった。
 そして、後藤ではなく保田が答えた。
「いいじゃない。たまには息抜きでよっすぃーと遊んで来たら?」
「えっ、でもぅ……」
 何かを迷っている後藤。
 それを見た吉澤は、
「もういいよ……」
 悲しそうに、出ていったのだった。
 
 翌日、
 吉澤は昼に目がさめた。
 仕事で疲れもあったのだが、夜に眠れなかったのだ。
 後藤のことを考えていたのだ。
 最近後藤とは遊んでいない。そしてどうもそれに保田がかかわっていることである。
 保田のことは信頼していた。
 プッチモニでの良きリーダーであり、二人の中をはじめに気づき、メンバーにもそれとなく話してくれていた。
 そして何よりも、二人を応援してくれていた。
 ところが、昨日の様子。明らかに二人が自分に何かを隠しいた。
 そして、自分が誘ったのにもかかわらず、後藤は保田の顔色をうかがっていた。
 いやがうえにも、二人を疑ってしまう。
(どうしてごっちん。私はこんなにごっちんが好きなのに……)
 悲しさ、悔しさ、そして怒りがこみ上げてくる。
 家を出たとき、吉澤の心は宙に浮いていた。
 
 後藤の部屋では、保田が遊びに来ていた。
「それで、そこをそうするのよ……」
「こうですか?」
「そうそう」
 後藤はなれていない手つきで、毛糸の編物をしていた。
 それを教えている保田も、いつ後藤が失敗するのかとハラハラしながら、つきっきりで教えていた。
 編物はすでに半分ほどできており、かすかに『Y』という文字が見えている。
「ああ! もうめんど臭〜い!」
 細かい作業の連続に、ヤケを起こした後藤は思わず、編物を投げてしまった。
「ごっちん、投げちゃ駄目だよ」
 保田は、その編物を拾うと後藤に返した。
「だって保田さん、こんなにめんどくさいとは思わなかったもん」
「しょうがないでしょ。ごっちんが作りたいからって言うから、教えてるのに」
「だって……何かないかなぁ。あっという間にできる方法とか、一瞬にしてできるセーターとか……」
「無い無い……それに、ごっちんが先に言ったんじゃない。買ったものじゃ、愛が伝わらないって」
「そうですけど……」
「でもさ、ごっちんのことだからすぐにやめちゃうと思ってたよ。
 でもほら、もう半分までできてるじゃない。これをよっすぃーにプレゼントしようなんて……よっすぃー喜ぶぞ」
 そこまで言われると、後藤のほうにもやる気が戻ってきた。
「そうですよね。よっすぃーに、喜んでもらうためにがんばってるんだから……」
 そして、再び編物に没頭し始めた。
 そこへ
 ピンポーン
 後藤の家のインターホンがなった。
「あれ、ごっちん。お客さんじゃない」
「いいよいいよ。どうせ、セールスかなにかでしょ。今日は家に誰もいないし、出るのもめんどくさいから……」
「そう、それじゃあいいけど……」
 何かいやな予感がした保田であった。
 ピンポーン
 ピンポーン
 その後も何度もインターホンがなった。
「ねえ、ごっちん。いいの? 何度もなってるよ。何だったら、私が出よっか?」
「いいですよ。写真週刊誌かもしれないですし……」
「あれ、よっすぃーかも?」
「よっすぃーでしたら、この間合いかぎ渡したから鳴らさずに入ってきますよ」
「それならいいけど……」
 どうも、外のほうが気になる保田。
「あっ、保田さん。ここ、ちょっとここ見てください」
「えっ? どこ?」
 保田が後藤に近づいたとき、
 後藤の部屋のドアが空いた。
 そして、そこにいたのは吉澤であった。
「よっすぃー……」
 後藤、保田共にでた言葉であった。
「な、なんで保田さん……ごっちんにそんなに近づいているの?」
 吉澤から見た二人はまるで恋人のようにひっついているようだ。
 当然二人にも、吉澤にはそう見えてしまうとわかっている。
 茫然とする部屋の中。
「わ、私は、ここにいない方がいいね」
 そう言って、逃げるように保田は部屋を出ていった。
 残された二人、静かな沈黙が流れている部屋。
 先に口を開いたのは、後藤であった。
「保田さんとは、何でもないよ。ほら、この編み物を教えてもらっただけ」
 と、編み物のセーターを見せる。
 しかし、頭に血が上ろうとしている吉澤には、『Y』の字が吉澤のYではなく、保田の『Y』に思えてしまった。
「編み物って、何よこれ!」
 吉澤は後藤から編み物を奪い取ると、その場に投げ捨ててしまった。
「ちょっと、何するのよ、よっすぃー!」
「もういいよ。ごっちんは私のこと、もういいと思ってるんだ?」
「え? 何言ってるのよ……冗談はやめてよ」
「冗談じゃない…… 私のこと好きじゃなくなったんだ……」
「違うよ。今でもよっすぃーのことが大好きだよ」
「もういいよ……」
 それだけ言い残すと、肩を落として吉澤は部屋を出ようとする。
「待ってよ!」
 後藤が吉澤の腕をつかんで引き留める。
「さわらないで!」
 それを振りほどく吉澤。
「私がこんなに好きだったのに、ごっちんは裏切ったじゃない!」
「違う、私は今でもよっすぃーが好き!」
 二人とも、徐々に興奮してくる。
「もう聞きたくない!」
 吉澤が叫ぶように言うと、
 
 パシン
 後藤が吉澤の頬を叩いた。
 思わず、頬を押さえて後藤を見る吉澤。
 後藤は、これで吉澤が少し落ち着いてくれればと思ったのだが、吉澤が、
 パシン
 逆に叩き返した。
 これには後藤も切れた。
「ばかあ!」
 後藤が吉澤をつかむと、横倒しにし、みずから吉澤の上になった。
「何よ!」
 吉澤も後藤を降ろそうとする。
 二人は、上になったりしたになったりの、喧嘩を始めた。
 二人はお互いの髪をつかみ合い、爪を立てて傷が柔らかい肌に赤い線を残していく。
 暴れまわる手足が当たり、花瓶や机の上の物が次々と落としていく。
「何よ! 私がこんなによっすぃーのこと好きなのに!!」
 馬乗りの格好になった後藤はそう叫ぶと、吉澤の洋服のボタンに手をかけ、一気に洋服を横に広げた。
 ブチブチブチと、ボタンが外れ、吉澤のブラに包まれた吉澤の胸が露わになった。
 ブラをはぎ取ると、後藤は吉澤の両胸を揉みはじめた。
「あっ、ごっちん……イヤ、ダメ……」
 吉澤は抵抗しようとするが、力が入らない。
「ほら、よっすぃー感じているじゃない!」
 さらに後藤は吉澤が履いていたジーンズのズボンのボタンを外してチャックを下ろすと、
 そこに手をいれ、吉澤の股間の愛撫をはじめた。
「イヤ! ごっちん……やめて……」
 吉澤は首を横に振るが、後藤はやめようとしない。
「よっすぃー。ほら、気づいてよ。私がこんなによっすぃーのこと好きなんだから!!」
 怒りからか、後藤の愛撫は乱暴であった。いつもは吉澤を傷つけないようにと、まるで壊れ物を触るような接し方をしていた。
 しかしこの日は違った。吉澤がどうして自分の愛を疑ったのか。それが許せないず、こうした行為に出てしまったのだ。
 途中、悔しさから後藤の目からは涙が出ていた。また、吉澤も泣いていた。
「あっ、ごっちん、ダメ、やめて。やめて、イヤ、ダメェェェェェェェェ!」
 後藤の乱雑な愛撫で吉澤はイッてしまった。
 すぐに吉澤は気がつくと、後藤から離れボタンを閉じるのも忘れ座り込んだ。
 後藤もそれ以上は何もせず、ずっと下を向いてしまった。
「ハアハアハアハア」
「ハアハアハアハア」
 二人の荒荒しい呼吸する声が部屋には響くだけであった。
 二人とも、どうしてこんな風になってしまったのか、理解できずに、長い長い沈黙が、部屋を包み込んでいる。
 そこへ、
「ゴメン、忘れ物しちゃったから……」
 勢い良く保田が入ってきた。
 保田は一度は帰ろうとしたのだが、二人のことが気になって戻ってきたのだ。
 部屋に入ると二人の殺伐とした雰囲気に、二人に何かあったとすぐに理解した。
「ありゃりゃ、まずいときに戻ってきちゃった……」
 ボソリといい吉澤を見て、
「よっすぃー。服、破れているよ」
 心配そうに保田が言うと、吉澤はがばっと立ち上がり泣きながら、部屋を飛び出していった。
 そんな吉澤を初めて見た保田は一瞬追いかけようとしたが、後藤のほうも心配なので、
「ごっちん、どうしたの、何があったの?」
 優しく声をかけると、
「や、保田さーん」
 緊張の糸が切れた後藤は、保田に飛びつくのそのまま泣き出してしまった。
 後藤が一生懸命編んでいた手編みのセーターは、二人が暴れたときに解け、修復不能になってしまった。

「そう、そんなことがあったの……」
 後藤から話しを聞いた保田はそうつぶやいた。
 後藤のほうは、保田に話しをして楽になったか、
「でもね、やっぱりごっちんが悪いと思うな……そんなことされたらよっすぃーだって傷つくでしょ」
「ですよね……ああっ、何であんなことやったんだろう……」
 後藤は先程から、ずっと反省しきりだ。
 熱くなってしまったとはいえ、あんな風に吉澤を傷つけてしまった。後藤の中では罪悪感でいっぱいだった。
「とにかく、よっすぃーにはちゃんとあやまるのよ」
「でも……よっすぃー、許してくれないかも知れない……」
 そう思うと、また後藤から涙がこぼれてしまう。
「大丈夫だって、よっすぃーはわかってくれるから」
「そうかな……」
 落ち込んでいる後藤は、物事を悪い方へ悪い方へと考えてしまっている。
「そうだ、明日いいこと教えてあげるから、家にいて」
「えっ? 明日ですか?」
「そう、喧嘩した人が仲直りする本を持ってるから、それ持ってきてあげるから。ホラ、もっと元気出しなさい」
「はい、わかりました……」
 元気なく答える後藤を心配しながら、保田は家を出たのだった。
 
 後藤の家を飛び出した吉澤は家に戻っていた。
 家に入るなり、着ていた服を引きちぎるように脱ぐと、シャワーをあびた。
 お湯を出しっぱなしにして、じっとその場にたたずんでいた。
 吉澤は今、何も考えられなかった。考えようとしても、何も浮かばなかった。
「ごっちん……」
 そう、一つ呟いた。
 そんなとき、
 ピンポーン
 インターホンが鳴った。
 
 その翌日。
 後藤は一人部屋で保田の到着を待っていた。
 吉澤と仲直りしたい後藤は、今、保田の持ってくる本にすがる思いであった。
 ピンポーン
 インターホンが鳴った。
 後藤は部屋を飛び出すように出ると、玄関まで走り、勢い良くドアを開けた。
「あっ、よっすぃー……」
 そこには吉澤がいた。
 予期していない吉澤の登場に、後藤は一瞬どうしていいのかわからなくなってしまった。
「ど、どうしたの?」
 何とか、絞り出すようにその言葉を言う。
「保田さんに、いわれてここに来たの……」
「え?」
「実は、昨日保田さんが来て……」
 
 インターホンが鳴り、吉澤は服に着替えると、ドアを開けた。
 そこには保田が立っていた。
「保田さん……」
「やあ、よっすぃー」
 保田の言葉が言い切る前に、吉澤はドアを閉めようとした。
 しかし、保田はドアの間に足を入れ、それを防いだ。
「ちょっと、いいから、よっすぃー話しだけ聞いてよ」
「いやです、聞きたくないです!」
 さらに力を入れてドアを閉めようとする吉澤。
「ごっちん、なんてもういいんです!」
 吉澤は、今度は勢い良く、ドアを閉めた。
「イタッ!」
 今度はたまらず、保田が足を引いてしまい、ドアが閉まってしまった。
「もう帰ってください。ごっちんの話なんて聞きたくないですから!」
 ドア越しに吉澤の声が聞こえる。
 保田は一つ深呼吸をすると、
「そう、じゃあいいんだ。確かにごっちんはよっすぃーに酷いことしたけどさ、
 よっすぃーだって、ごっちんに酷いことしたんだよね」
 ドアの奥にいる吉澤からは何の返事もない。
 保田は話を続けた。
「だって、あの編み物本当に、よっすぃーのためにつくってたんだよ。だって、『Y』の横に『H』の文字を入れる予定なんだから。それを、よっすぃーは勝手に誤解して、私のだと思ったんだよね。ごっちんきずついてるよな〜」
 まだ吉澤は何も発しない。ただ、ドアに寄りかかるような音がした。
「そっか、よっすぃーはごっちんのことなんかいいのか。
 じゃあ、私が明日ごっちんを誘ってみよっかなぁ〜。よっすぃーが別れたなら、もういいよね。
 それに傷ついている人を落とすのは簡単だって言うし……」
 保田がそれだけ言うと、帰ろうとした。
 その時、
「ダメぇぇぇぇぇ!」
 吉澤が飛び出してきた。
「やだ、いくら保田さんでも、ごっちんは渡したくない! だって、ごっちんのこと大好きだもん!」
「え? でも、あんなことされたのに?」
 いたずらっぽく保田が言う。
「そ、そうですけど……それは、早とちりした自分がいけないんだし、
 ごっちんだって、あの時は混乱していたんだと思う……」
 そこまで吉澤が言うと、保田が急にケラケラと笑いだした。
 訳が分からず、ぽかぁ〜んとする吉澤。
「ゴメン、よっすぃー。私はごっちんを取る気なんてないのよ。
 ちょっと二人がすれ違ったみたいだから、それを直そうとしただけ。
 ごっちんも、きっとよっすぃーのことが好きだと思うよ」
「え? でも、あんな勘違いしちゃって、ごっちんの気持ちを分からずに酷いこと言っちゃったし……」
「大丈夫よ。明日、ごっちんの家に行ってみたら? きっと家にいると思うから」
「はい、わかりました……」
 そう言って、吉澤は部屋に戻っていった。
 一人帰ろうとする保田は、
(後は、自分たちの気持ちを伝えるだけだけど、こればっかりは本人がやらないとね)
「あ〜あ、私も恋人でも作ろっかな……」
 冗談半分、本気半分で言うのだった。
 
 吉澤は、そんな話をしながら後藤の部屋に入った。
 二人の顔や腕には昨日の喧嘩の時についた傷がまだ残っていた。
「そうなんだ保田さんが……」
 やっぱり、保田はいい人だと二人は改めて実感した。
 そして、そうなれば言うことは決まっていた。
 しかし、それが言い出せない。
 初めてお互いの気持ちを伝えようとしたあの浜辺では、自分の気持ちを言うが恥ずかしくて、いえなかった。
 しかし、今回は言わなければならないのに、その話題にふれるのが恐かった。
 特に、お互いが自分から気持ちが放れしまっているのではないと、心配しているのでなおさらだ。
 そんな中、先にあやまったのは後藤の方だった。
「ゴメン、よっすぃー。昨日はあんな酷いことしちゃって、よっすぃーに嫌われても仕方ないよね……」
「違う、ごっちん。私がもっと早くごっちんの編み物に気がついて、もうちょっと冷静に見てれば、
 ごっちんがあんなことする事もなかった。悪いのは私の方よ」
 二人はお互いの肩に手をおき、
「ゴメン、よっすぃー」
「ゴメン、ごっちん」
 そして、抱き合い、お互いの温もりを確かめあった。
「でも、やっぱり私が悪いねよっすぃー。ほとんど、レイプのようなことしちゃったし……ねえ、よっすぃー。
 もう、本当に怒ってない?」
 吉澤は少し、考えた後
「やっぱり、少し怒っているかも……そうだ、ごっちん。少しの間じっとしてたら許してあげる」
「え? 何?」
「内緒。どうする、やる? やらない?」
「もちろんやる、よっすぃーに嫌われたくないから」
「じゃあごっちん、横になって。じっとしててね」
「ええ」
 後藤が仰向けになると、吉澤は後藤のロングスカートの中に頭を入れた。
 後藤の足を広げ奥へ奥へと入っていく。
 吉澤が目的地について時には、後藤のスカートが吉澤の腰の少し上辺りまで来ていた。
「よっすぃー! どうするの」
 少し不安な後藤。
「こうするの」
 吉澤は後藤のパンティーをずらすと、そこに舌をはわせた。
「あああああ……よ、よっすぃー。いや、やだ」
「ダメ、昨日のは少し傷ついたんだから、そのお返し」
 後藤のスカートの中から吉澤の声がする。
 言葉とは裏腹に吉澤の愛撫は優しいもので、これまでのものと何ら変わるものではなかった。
「アアッン! よっすぃー。私もよっすぃーにしたいよ」
「ダメ、イクまで待ってて」
 ねだる後藤であったが、今日の吉澤には逆らえなかった。
「ごっちんのここきれいよ……」
 吉澤も、後藤を愛撫しているうちに自分まで熱く感じるものがあった。
「ああ、もうやだ。私もよっすぃーにする」
 後藤ははうように吉澤の股まで移動すると吉澤のズボンに手をかけた。
 一瞬吉澤の脳裏に、昨日の悪夢がよみがえるが、すぐに消えてしまった。
 愛する後藤が、もうあんな酷いことをしないとわかっているからだ。
 後藤はあっという間に吉澤のズボン、パンティーを膝まで降ろした。
 シックスナインの体勢だ。
「ずるいよ、ごっちん」
 吉澤の文句は後藤には聞こえていない。
「あれあれ、よっすぃー。何もやってないのに、すごい濡れてるよ」
 少し意地悪そうに言う後藤。
「だって、ごっちんをせめてると思うだけで感じちゃって……」
「じゃあ、今度はこっちが攻撃ね」
 吉澤の股間に舌をはわせた。
「ああっ。ごっちん。気持ちいい……」
「どう、よっすぃー。もう感じちゃったの?」
「ち、違う……もう、ごっちんの意地悪」
 そう言って、吉澤はお返しとばかりに後藤の股間の奥に舌を入れ、
「いっ、イイイイイイイ……」
「どう、ごっちん、もう感じちゃった?」
 と、言い返す。
「もう、こうなったらよっすぃーをせめまくっちゃう」
「こっちだって、ごっちんをヒイヒイ言わせる」
 二人とも、舌のスピードを増していく。
 そして、二人は絶頂を迎えようとしていた。
「ああっ、ごっちん。イイ! ねえ、ごっちん私、イッちゃう」
「よ、よっすぃー。私も、ねえ一緒に、一緒に……・」
「あっ、ああっ、アアアアアアアアアアア!」
 二人はほぼ同時に、イッてしまった。
 
 翌日、
 後藤と吉澤の二人は、手をつないで楽屋に入った。
「おはようございます。保田さん」
「ああ、二人ともどうやら仲直りできたみたいね」
「はい、保田さんのおかげです」
「そう、それは良かったね……じゃあ、これ」
 保田は毛糸の玉を後藤に渡した。
「これで、もう一度よっすぃーにセーターでも編んであげなさい」
「え〜。めんどくさいよー」
「でも、よっすぃーにまだ渡してないんでしょ」
「だって、あれはほどけっちゃったから……」
「だから、作るのよ。ねっ、よっすぃーもほしいよね」
「ほしい、ごっちん。がんばって作ってよね」
 気軽にねだる吉澤に、後藤は口をぷくぅ〜と膨らませるが、
「わかったよ……よっすぃーがほしいっていうなら、もう一度がんばっている」
 後藤が言うと、保田はもう一つ毛糸のためを取り出して、吉澤に渡した。
「よっすぃーもごっちんになんか編んであげな。もらいっぱなしじゃダメでしょ」
「え〜。私も作るんですか」
「そうよ、よっすぃーの編んだやつ私もほしいな〜」
 今度は後藤が吉澤にねだるように言うのだった。
 おしまい。
 
 

 

 

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