小説『BAD DAYS ON HAPPINESS』


『プロローグ 五年前』

とあるコンビニのお菓子のコーナー。
小さな女の子が、回りをキョロキョロと見まわしている。
怯えたような目つき。落ち着きがない。
明かに挙動不審だ。
矢口真里。12歳。

矢口はお菓子の棚に手を伸ばした。
ポッキーをサッと手に取ると、
手持ちのカバンの中にしまう。
そして、早足で出口へと歩く。
……バレてはいないようだ。

コンビニを出た途端、矢口は全力で駆け出した。
逃げる。逃げる。逃げる。
矢口の体はどんどん熱くなる。
額からは、汗が噴出す。
走った疲れからと、
極度の緊張感からの両方だ。

200mほど逃げると、
立ち止まる。
もう、安心だ。
矢口は、安堵のため息を漏らす。
「……フゥ。」
矢口はカバンからポッキーを取り出すと、
箱を開け、パクパク食べながら、
ゆっくりと自宅へむけて歩き出した。

「待ちなさい!!」
男の声が聞こえる。
若い男の声だ。
矢口はビクッと跳ね上がる。
見つかっていたのだろうか。
恐る恐る後ろを振り返る。
……誰もいない。
「……アレ?」
……矢口はしばらく黙り込む。
気のせいだったのだ。
そう自分に言い聞かせて、
再び歩き出す。

「待つんだ!矢口真里!12歳!A型!」
「!!」
再び、声。
振りかえる。
……そこには、矢口よりもさらに背の低い、
小柄な男の姿があった。
男と言うよりは、
むしろ少年と言った方が正しい。
童顔である。
芸能人で言うと、いしだ壱成のような感じだろうか。
アニメのコスプレのような衣装を身にまとっているが、
よくわからない。

「君!今、万引きをしたね!!」
「!!」
少年は矢口を指差して言う。ビシィ!
「ゴ……ゴメンナサイ……。」
矢口は弱弱しい声で言った。
「僕に謝ってくれたってどうにもならないさ!!
サァ!!今すぐコンビニに戻って!!
店の人に謝るんだ!!」

もし、店に戻ったらどうなるであろう。
親にも小学校にも連絡が行くに違いない。
しかし、それも仕方のないことだ。
今となっては,どうしようもない。
「ハイ……わかりまし……。」
観念した矢口は、言いかけて止まる。

この少年は何者であろうか。
明かに子供だ。
矢口より背が低いのである。
しっかりした小学生らしからぬ口調からも、
明らかに中学生以上なのだが。
せいぜい、矢口より少し上ぐらいであろう。
絶対に、店の関係者ではない。
しかし店の人間は、例の万引きに気付いてはいないはずなのだ。
この少年がわざわざ、
矢口を追いかけてきて捕まえるなんて、
普通は考えられない。
よっぽど正義感が強いのか。

矢口の脳裏を、
あまりよろしくない考えがよぎる。
(逃げちゃおう……。)
矢口は脚の速さには自信があった。
相手は中学生とは言え、
自分よりも小柄である。
逃げ切れるかもしれない。
捕まったら捕まったで、
それから、コンビニへ行っても、
対して扱いに差はないだろう。
小学生ながら、打算的な考えが浮かぶ。

「ゴメンッ!!」
矢口は180度後ろへ0.5秒程のスピードで振り帰ると、
運動会の徒競走の時以上に気合を入れて走り出した。
少年は制止するように素早く手を出し、
矢口の腕を掴もうとしたが、叶わない。
あっという間に、矢口の姿は見えなくなった。
少年が矢口を追いかけることはなかった。

少年はポツリと言った。
「あーあ。
このまま戻れば許してあげたのに。
……これであなたは、
平穏な新世紀を迎えられませんよ。
……ま、五年後の誕生日をお楽しみに。」




『汗と涙にまみれた青春』

「矢口背中流してぇな。」
裸の中澤は言った。
風呂場だ。椅子に座った中澤は、
矢口に背を向けている。
「わかった、いいよー。」
矢口は、床においてあったタワシを手に取ると、
石鹸を付けて背中をこする。
「もっと強くコスってな。」
「はーい。」
矢口は、中澤の背中をより力をこめて洗う。
「じゃ、流すね。」
「おぉ。」
矢口は風呂桶にお湯をいれると、
中澤の背中にかける。
背中についた泡が、流される。

「ふーぅ。じゃ、次はウチが背中流したる。」
「はーい。」
そう言うと、中澤と矢口は位置を入れ替わった。
今度は、矢口が中澤に背を向ける。
中澤はタワシを矢口から受け取ると、
矢口の背中をこする。
「こんな感じでええか?」
「うん。良いよ。」
「そうか……。」
中澤はそのまま矢口の背中をこする。
しばらくして、無言で風呂桶を取ると、
矢口の背中にかけて、流す。
「フーっ。ありがと裕ちゃん。気持ち良かった。」
矢口はそう言って、首だけ振りかえる。
「そうか……気持ち良かったか……。」
中澤は、やけに低いトーンでそう言う。

「?」
矢口と中澤の目が合う。
ギラリと光っている。
「じゃ、もっと気持ち良くなろか。」
「えっ?」
言うなり、中澤は後ろから矢口の胸に、手を回す。

「ちょ、ちょっと!!や、やめ!!」
「ええがなええがな。」
中澤はそう言いながら、
矢口の胸を思いっきり力強く揉みしだく。
「バ、バカ!!や、やめろ……!!」
矢口の抗議も受け付けず、
中澤は胸を揉み続ける。
乳首の先を、指先でクリクリと回す。

「あ……ん……っ!!」
思わず声が漏れる。
「なんや……感じてるんやないか……。」
中澤はは矢口の耳元で囁く。
そして耳に息を吹きかける。
大人の女性の、甘い香りがする。
「ダ……ダメだって……。」
「ダメなことあるかいな……。
さて……もう下の方も準備はええんやろなぁ……。」

「し、下って……ダメだよ!!
そっちは絶対ダメ!!」
中澤の発言。本気で拒もうとする。
しかし中澤は聞き入れない。
「なぁ……精液出したこと……あるか?」
「え?」
中澤の質問に、矢口の思考回路が止まる。
質問の意味が理解できない。
矢口の脳みそが再び動き出すより先に、
中澤は言った。
「答えられないなら体に聞くわ……。」
そう言うと中澤は、
矢口の体の後ろから、
腰に巻き付けるように左手を回し、
そして矢口の股間でいきり立つ『肉棒』を掴んだ。

「あぁっっ……!!」
矢口からだから力が抜ける。
既に肉棒の先からは、
大量の先走り液が出ている。
「ヌルヌルやな……。
ほれ。お姉さんが優しく抜いたるわ……。」
そう言うと中澤は、
激しく左手を上下し、
矢口の肉棒をしごきはじめた。

「ふぁぁぁぁぁぁっっっっっぅぅぅ!!!!」
声にならない声を発する矢口。
中澤の右手は、なおも矢口の胸を刺激している。
左手の動きと共に、
矢口の股間には何とも言い難い快感が蓄積されてくる。
それは、経験の少ない矢口にとっては、
信じられないほどのスピードだった。
アッと言う間に、
限界がやってくる。
「……な……ちょっと……!!
……なにか出る……!!」
矢口は、自分の体に何が起こっているのかを理解できぬまま、
絶頂を迎え、そして、激しく射精した。
出しても出しても、
精液は、矢口の股間から、間欠泉のように涌き出てきていた。
精液は中澤の手にかかり、
中澤の手はよりヌルヌルなるが、
中澤は一向に構わず矢口をしごきつづけた。
第何波まで訪れたのかもわからないほど、
射精は続いた。
矢口には一向に、自分に何が起こっているのかわからなかった。




『世界で一番素敵な誕生日』

「!!」
矢口はベッドから跳ね起きる。
何故、跳ね起きたのかを一瞬忘れる。
しかし、すぐに思い出す。
変な夢を見たのだ。
最初は中澤と共に風呂にはいっているだけだった。
しかしそこから中澤が変なことを自分にしようとしてきて……。
まぁそこまでなら普通にありえそうな夢だ。
しかし、そこから後が普通ではない。

中澤は、よりによって自分の……自分のいわゆる『ちんちん』を掴んで……。
そして……おもいっきりしごいて……。
最後に自分は……。
「射精した……?」
矢口は呟いた。
矢口真里。
本日1月20日をもって18歳。
女。A型。
当然これまでに、
射精の経験などは、
あるはずも無い。
女である。

自分には、射精の感覚などわかりはしない。
しかし、あの夢の中での出来事。
あれは恐らく……射精なのだろう……。
「なんつー夢だ……。」
矢口は額を手で押さえ首をガクンと落とす。
バカみたいな夢……。
これまでに体験した事の無いくらい、
ものすごく気持ち良かったのだが。
しかしそれにしても、
一体、どんな心理状態をもってあんな夢を見たのだろうか。
「ハァ……。」
溜め息をひとつつく。
周りを見まわすと、まだ薄暗い。
六時にもなっていないだろう。
「もう一眠りするか……。」
矢口はそう言って布団を再び被ろうとした。

「……?」
ふと、自分の股間に妙な感触を覚える。
……どうも、パジャマが濡れているようだ。
しかも、中から。
「……始まったかな……。
でもまだ予定日じゃないし……。
それに随分多いような……。
ていうか多いなんてもんじゃないし……。」
パンツ全体。尻の回りまでも、濡れている。
そして、妙に股間がムズムズする。
……なにか、不可思議な感触。
……パンツが、キツいのだ。
「……まさか……。」
矢口の脳裏を恐ろしい考えがよぎる。
矢口は素早く、掛け布団を剥ぎ取る。
股間に目をやると、
パンツが濡れているだけではなく、
染みが、パジャマのズボンの、
それも相当広い部位にわたって広がっているのがわかる。

「まさかね……。」
矢口はおそるおそる、
自分のパジャマのズボンのゴムと、
パンツの上の部分に手をかけ、下ろした。
「……!!」
これまでに嗅いだ事の無い、
不思議な、不愉快な匂いがプーンと漂ってくる。
案の定パンツの中には、
白く、イカ臭い液体であふれていた。
そして矢口の股間の付け根には、
その小さな体にはとても似合わない、
極太の、長い、立派な男性器が備わっていた。

「……ハァ?」
おもわず素っ頓狂な声をあげる矢口。
「……夢……ではないし……。」
夢からは覚めたばかりだ。
夢から覚めたらまた夢、なんてこと、あってたまるか。
「……病気だ・……。」
矢口は言った。
そんな病気あるわけない。
「どうしよう……病院……産婦人科でいいのかな……。」
訳のわからない心配をする矢口。

「病気ではないのだよん。」
突如、部屋の中に少年の声が響く。
「誰っ!?」
矢口は言った。
瞬間、スゥという音と共に、
矢口のベッドの隣に、
小柄な、矢口よりも背の低い、
一人の少年が現れる。
「コレは天罰なんだよん。」
少年は言った。

「キャー痴漢!!!!
痴漢!!!!!!!!」
矢口は枕もとの目覚まし時計を手に取ると、
少年の頭をおもいっきり殴り付けた。
ガンッという音。
少年の頭から、
血がほとばしる。
「痛い……。」
少年は目に涙を浮かべる。

「痴漢じゃないから落ちついて……。」
少年は言った。
「うるさいだまれこの痴漢!!
さてはお前、私が寝てる間にこんな変なモノを付けたんだろ!!」
矢口はおもいっきり大声で言った。
どういう理屈なんだか。
「しかしまぁ、
君が寝てる間にソレを僕がつけたって言うのは正解だ。
でも、僕は痴漢じゃないから、
それ以外の事を何かしようなんてつもりは無い。」
少年は少年で、訳のわからない事を言っている。

「な……なんてことをしたんだよ!!」
矢口は今にもパニックを起こしそうな声で言った。
「君が悪いんだよ。まぁとにかく落ちついて。
僕の話を聞いてよ。ね?」
少年は言う。
それを聞いて矢口は、
少し大人しくなる。
今ここで騒いでも仕方が無い。
「でもなんでこんなモノを……。」

「覚えてないかな?
五年前。君の地元のコンビニで。
万引きをして、僕がソレを見つけた事。」
「えっ……?」
矢口は考え込む。
そう言えば昔、そんなこともあったような気がする。
すっかり忘れていたが。
「……思い出した。
そういえばアンタあの時の……。」
「フフフフフ。」

矢口は改めて少年を見やる。
五年も経っているのに、
外見的にはどこも変わっていない。
童顔でいしだ壱成に似ている、
自分よりも背の低い男。
アニメのコスプレのような衣装を着ている。

「自己紹介をしよう。
僕の名前は、ジョニエル。
エロスの世界の神様さ。」
ジョニエルは言った。
安易な設定である。
「ハァ?」
矢口は言葉を飲み込めない。
「簡単に説明しよう。
五年前のあの日僕はたまたま人間の世界のコンビニで立ち読みをしていた。
すると君が万引きをしている所を偶然にも見つけてしまった。
これは、神として許すわけには行かない。
だからすぐに、僕は君を追いかけて、
すぐに戻って店の人に謝るように言ったんだ。
なのに君と来たら逃げ出してしまった。
だから僕は、君に罰を与えたわけさ。
18歳の誕生日を持って、
君の体にティムポを生やすっていうね。」

「なによソレ……。」
「本当は君は呪いで男にされてしまうところだったんだ。
でも君は美少女だったからね、ちょっとばかしもったいない。
だから、チャンスをあげたんだ。
ティムポを生やすだけっていうね。
ただ、これから僕の言う指令を、
一年以内に果たさないと、君は完全に男になってしまうんだ。」
「えぇっ!?」
矢口は驚愕した。
男になってしまう……。
自分が?
「ちょ、ちょっと!!なによソレ!!」
「僕が神様だっていう事は信じるだろう?
現に君はそんなに立派なティムポを持っている。
つまり君は、僕のいう事を聞くしかないわけだ。」
「……。」

矢口は考え込んだ。
ジョニエルという少年が神である事は、
なんとなくわかった。
自分の過去の罪のせいで、
こんな目にあっている事も理解できた。
しかし、それはつまり、
自分は一年後男になってしまうということで……。
そうすればモーニング娘。もやっていけないし、
下手すれば自分の社会的な存在事体が危うくなる……。
「ど、どうすればいいの!?
どうすれば男にならないで……!!」
矢口は言った。
ジョニエルは、
自分の人差し指と中指で、
親指を挟んでこする。
「コレだよ。」
「……。」
矢口はすぐに理解した。
相手はエロスの神だ。
なんとわかりやすい事であろうか。

「君はコレから一年以内に、
百人の人間とセックスをしなければならない。
相手は男女問わないよ。
女性器は女性器で残っているし、両方機能する。
とにかく百人の人間と、セックスをして、
その百人の人間を楽しませてあげなきゃならないんだ。
ご奉仕だよご奉仕。
学校とかでも良くやるだろ?
いたづらをした生徒にトイレ掃除をやらせたり。
それと一緒さ。きみは、多くの人を楽しませなきゃならない。」
「……。」
なんとむちゃくちゃな事であろうか。
しかし矢口には、その状況すらも飲み込めてしまっていた。
なにせティムポが生えているのである。
「まさかつけるなり君が夢精してしまうとは思わなかったけどね。
以外に君、淫乱なのかもしれないよ?ハハハ。」
「!!」
矢口は顔を真っ赤にすると、目覚し時計をジョニエルに投げつけた。
しかし、当たらない。

「僕はもう帰らせてもらうよ。
遠くから君のことを見守っている。
頑張って100人斬ってね……。
あ、そうそう。特別サービスもしておいた。
君はコレから一年間、
どんなにセックスをしても、
身ごもりはしないし、
どんなに膣出ししても、相手をはらませる事も無い。
(出る精液はメチャメチャ濃いけどね)
僕からのせめてものサービスさ。
あ、あと一年間は月経もこないので念の為……。
(夢精はするかもしれないけど)」

そう言うと、ジョニエルは姿を消した。
あとには、股間をヌルヌルに湿らせたズボンを履いた、
矢口真里の姿だけがあった。
「パンツ……洗わないと……。
……百人斬り……だなんて誰と……。
……生理こないのは……ちょっといいかも。」
以外に冷静な矢口であった。




『欲望LV3』

「おはよー。」
矢口は元気に挨拶をした。
本日の集合はAM9:00。
それを5分だけまわって到着した矢口。
既に、全てのメンバーと、それとマネージャーは揃っている。
石川梨華を除いて。
「なにぃ?石川また遅刻ぅ?」
矢口は言った。
「お前が言うなって。」
飯田の厳しいツッコミが入る。
「アハハハハ。」
笑ってごまかす矢口。
いつもと、全く変わらない日常だった。
それなりに刺激はあるが、
過不足の無い、平穏な日常。
ただひとつ、矢口の股間には、
巨大な陰茎が備わって入ることを除いて。

「しっかし石川遅いべさ。吉澤知らない?」
なっちがブーたれて言う。
石川の遅刻なんて日常茶飯事である。
とにかく日常生活全てにおいてだらしが無い女だ。
「さぁ?特に連絡受けてないし。電話掛けてみましょう……。」
そう言って、吉澤が携帯を取り出そうとした時だった。
「電話、しなくていいみたいね。」
保田が言った。
保田の視線の先を、メンバー達がなぞる。
石川が歩いてきている。
遅刻しているくせに、のそのそと。
モコモコしたピンクのコートを身にまとい、
その下には黄色いババシャツ。
毛糸の帽子を被った頭からは、
三つ編みにされた黒髪が出ている。
しかしわりと重装備であるにもかかわらず、
下半身の方と言えばお粗末なもので、
ひざ上10cmのミニスカートを履いている。
はっきり言って、不自然な格好。
相当、目立つ。

「石川遅ーい!」
矢口は言った。
「すいませーん。」
と、帰って来る、相変わらず変な声。
「雪で電車が止まっちゃったんですー。」
そう言いながら、
石川はポケットからなにかを取り出す。
紙切れだ。それを、矢口に手渡す。
メンバー全員、
それを覗き込む。
「遅刻証明書ですー。」
石川は言った。
『お客様がご乗車になった電車は、
2分送れて到着したことを、
証明いたします。○×駅、駅長。』

「つーかこんなもんもらってる暇があったらサッサと来い!!」
言うと同時に保田が石川を殴る。
「ゴメンなさーい……。」
石川は申し訳なさそうに謝った。
が、あまり反省しているようには見えない。
「大体2分送れたからって証明書ってもらうもんじゃないし……。」
飯田は言った。
確かに、普通はそうである。
「ま、しかたないよ。確かに今日も雪、かなり積っているし。」
とはなっち。
確かに、今日は東京にしては珍しく、
辺り一面に雪が積っている。
もう、大分溶けてきては入るのだが。
昨日一昨日にかけて、激しく降ったのだ。

「じゃ、いきますよ。すぐそこのスタジオですから。」
マネージャーがサッサと歩き出すと、
メンバー達はそれに金魚のウンコのようについていった。
矢口はその最後尾近くから着いていく。
ふと、さらに後ろにいた石川に話しかけられる。
「ね、矢口さん……。」
相変わらずの、変な声が耳元で囁く。
「!」
矢口には、それが妙に刺激的に感じられる。
「なっ……なに?」
おどろおどろしい声で答える。
何故か、石川の声を聞いて、妙にどきどきしてしまった。
(どうなってんだろ……。)
これも、自分に男根が生えているからだろうか。
普通の男だったら確かに、
石川にあんな風に話しかけたら、
どぎまぎしてしまうかもしれない。
自分の感覚が、男に近づいているのかもしれない。

「矢口さんだけに教えてあげますけどね、
ホントは電車、遅れてないんです。
だけどっ、何とか駅の人に頼み込んで、
書いてもらったんですっ。」
石川は、やけに嬉しそうに言う。
「……なんで?」
矢口は言った。
「だってー、そうでもしないと遅刻したら、
ひどく怒られちゃうじゃないですか。
あ、コレ、他の人には内緒にしておいてくださいね。フフフっ。」
そう言うと梨華は、
待ってーとか言いながら、
前の方に早足で行ってしまった。
「???」
なんだったのだろうか。
何故石川は、そんな事を自分に……?
正直あまり石川と親しかった覚えはない。
普通こういう事を言うにしたら、
もっと仲の良い、吉澤や後藤に言いそうなものなのだが。
矢口はなんともいえない感覚を感じながら、
今日の仕事に入ろうとしていた。

なんともいえない感覚と言えば……。
「……勃ってる……。」
石川に妙にドキドキしてしまったらしい。
「……バカ……。」
自分で自分を戒める。
仕方がないことだ。
今朝方ティムポを身に付けたばかりなのだ。
女に対する免疫なんて、ありはしない。
とにかく矢口は、
いきり立つ自分の男を、
なんとかして静めようと、
必死になって落ち付こうとするのであった。
前途は、超不安である。




『欲望LV4』

仕事先のスタジヲ。
控えの時間になった。
トイレの中だ。
小用を済ませた矢口は、
手洗い場で手を洗っていた。
すると、トイレの奥のほうの個室から、
水を流す音がした。
すぐに、個室の扉が開き、
中から人が出てくる。
矢口は、ふとそちらに目を見やった。
……石川だ。

「あ、矢口さんも来てたんですかー。」
お気楽そうなアニメ声で、
石川が話しかけてくる。
矢口が何か反応を示す前に、
手洗い場へと辿り付いた石川は、
手を洗いながら言う。
「昨日から生理始まっちゃってー、すっごく面倒くさいんですよー。
もう、昨日誕生日だったのに、最悪。」
わりと恥ずかしい事も、
女同士だからか、笑いながら言う。
「そ、……そう。」
矢口は、ドギマギして答える。
普段の矢口なら、
ここで変な反応は示さないだろう。
しかし、今の矢口は違う。
下半身は、男である。

「そう言えば矢口さん、
今日誕生日なんですよねー。」
石川は言った。
「え、えぇ……。」
矢口が返す。
「きっとみんな今日は、
お祝いしてくれますよ。
私も昨日、してもらったし。」
「そ、そうね……。」
矢口はすっかり忘れていたが、
今日は自分の誕生日である。
そしてその1日前が、石川の誕生日。
昨日自分も、石川に誕生日プレゼントを渡したのを思い出した。
確か、黒いベロアのワンピースだ。
「昨日はありがとうございましたー。
すっごく気に入りましたー。
今日は私が、矢口さんにいい物あげますから、
期待していてくださいねー。」
「え、えぇ……。」

「じゃ、先、戻りますねー。」
さっさと手を洗い終わった石川は、
スタスタとトイレの出口まで歩き、
扉に手をかけ、開けて、閉めた。
(……ちんちん一本付いてるだけで、
こんなに違うものなのかな……。)
うまく石川と会話できなかった事に戸惑う。
矢口はまだ水に濡れていた手をサッと拭くと、
石川に続いて外に出ようとした。
しかし……。
(梨華……生理中なんだよね……。)
アホな考えが矢口を襲った。
同時に、股間はムクムクと膨らんできた。

矢口はスタスタ、石川が入っていた個室にむかい、
扉を開け、中に入った。
すぐに、端っこの方にあるボックスのふたを開ける。
ボックスの中のビニール袋のさらに中、
矢口の目的のブツはあった。
(ナプキン……。)
その中には、明らかに石川の使用済みナプキンが、
無造作に入っていた。
幸い他には何も入っていない。
9割9分、石川のものだ。
(いくら捨てるからって……たたむぐらいしておけよな……。)
ナプキンの赤く汚れた部分が、
剥き出しのままである。
矢口はそれを、サッと手に取った。
矢口の興奮は徐々に高まる。

(石川の使ったナプキン……。)
使用者が石川であることを除けば、
特に珍しいものではない。
見なれている。
本人だって何年も使っている代物だ。
しかし、下半身が男になった矢口は、
どうやら感覚も男に近づいて入るらしい。
言うなればそれは助平心。
石川に対する欲望が爆発しそうだった。
矢口はナプキンを手に取ったまま、
履いているズボンを下ろした。
中から姿を表した女性用パンティから、
勃起した陰茎の亀頭と、
それに陰毛がはみ出して出てきている。
亀頭の先のほうからは透明な液体がにじみ出てきている。

(さわりたい……。)
どうにもたまらず、
自分のものを触りたくなった。
矢口はパンツも片手で下ろすと、
便座に座り込んだ。
使用済みナプキンには、
赤い液体が染み付いている。
石川梨華の、使用済みナプキン……。
そう思えば思うほどに興奮する。
おもむろに、右手で、
自分の亀頭にさわる。
「あっ……。」
あまりの快感に思わず声が出る。
勢いが少し強かったかもしれない。
ちょっと触っただけでも、
信じられないほど敏感に感じられてしまう。

「……。」
今度はゆっくりと、
自分の亀頭に触る。
カウパー液が指先について、
ベタベタになってしまうが、今更止まりはしない。
最初は指先で亀頭に触るだけだったのが、
だんだんエスカレートして、
しっかりと手で茎を握り始める。
(男の人って……こんな……。)
気持ちいい、としか言い様の無い感覚が、
広がり、矢口の体を包み込む。

「り……梨華……。」
頭の中で思い浮かべられるのは、石川のこと。
形の整った端正な、美しい顔。
細く、きれいで、美しい、
腕、手首、掌、手の指先、
腿、ふくらはぎ、足首、足の指先、
鎖骨、うなじ、腰、へそ。
そして細いからだのわりに大きく、
形の良い、胸。乳房。
柔らかそうな質感でうごめく様。
さらには股間の…・・。
どれも、皆、楽屋で、
着替えなどをしているとき、
1度は見たことのあるものだ。
そして今自分の左手の上にある、
血の付いたナプキン……。

「梨華……ハァ……ハァ……。」
息が、矢口の口から漏れる。
少しずつ、ゆっくりと、
矢口の右手は上下に動き出した。
既に滑りやすくヌルヌルになった矢口の肉棒を、
握った小さな掌が上下する。
手を上にやったときの、
亀頭の所での少しの、
親指が引っ掛かる感じが、
一層矢口を感じさせる。
しかし肉棒はヌルヌルなのである。
あっという間に滑って抜けていく。
そして、手を下に戻す。
そのとき再び親指が、
亀頭に触れて、刺激される。
信じられないほどの快感は、
ある意味で至高の時を矢口に与える。
ずっとこうしていたいと思うほどの、
天にも上るような快感。

頭の中では、相変わらず石川のことだ。
石川の顔や体が、快楽と共に矢口の頭の中から離れない。
石川のことを考えながら、
矢口は激しく自分の肉棒を刺激していた。
「あぅ……うぐぅ……。」
自然に声がこぼれる。
堪えようと思っても堪えられない。
誰かに聞かれていたら……なんてことは思いもよらない。
それほどまでに、理性が吹き飛ぶまでに、
高まった矢口の快感。
しだいに蓄積されたそれは、
爆発を迎えようとする。

「で……出るっ……。」
陰茎の中、尿道内を、
激しく精液が、上ってくる感覚がする。
白いそれは、チラッと亀頭の先に、姿を表す。
矢口は思わず、自分の亀頭に、
左手に持っていた石川の使用済みナプキンをかぶせた。
瞬間、勢い良く亀頭から、
白い精液が飛び出す感覚がする。
ナプキンにぶつかって、
鈍い音を出して跳ね帰るのが聞こえる。
矢口の目には、どれくらいの量が出たのかは映らないが、
薄地ながら吸収の良いはずナプキンの裏側に、
ほんの僅かながら染みができていること、
そして、跳ね帰った液体が、
激しく、再び、
自分の茎、そしてそれに添えられた手にかかって入ることからも、
相当な量が出たことが察し付く。

「石川……。」
矢口を急に、
射精からの脱力感がおそう。
そして同時に、また別の感覚がこみ上げてくる。
……罪悪感。
自分が石川のことを考えながら、
こんなことをしてしまった罪悪感。
ただの、仲間として、後輩としてしか考えていなかった石川梨華。
それが今明らかに、自分の頭の中で、
性欲の対象となってしまったこと。
そして、性欲の処理に使ってしまったこと。
胸の奥が締めつけられる感じがする。
矢口は、自分の手や陰茎に大量についた精液を拭うこともせず、
ただしばらく便座に座っていた。
その間ずっと、快楽の余韻に浸り、罪悪感に耽るのであった。




『デリンジャー』

「じゃ、これから石川と矢口のお祝いに行くよー。」
飯田が威勢のいい声でいった。
これから、近くの料亭へ、
メンバー揃ってお祝いに行くのである。
前日、石川の分を行えなかった分も含めて、
みんなでお祝いを行うのだ。
飯田と中澤が、予約を入れておいたらしい。
「随分金掛けるのねぇ。」
保田が言う。
「フンパツやフンパツ。
なんせ、愛する矢口のためやからな。」
中澤が言う。
そんな中澤の一言を聞いて、
矢口はドキッとする。
(そういえば今日は裕ちゃんで……。)
夢精したのである。
夢の中で中澤に、
おもいっきり手コキで抜かれてしまったのだ。
(……私おかしいよ……。)
自分の心の中にすら理解が及ばなくなる。

実は、今と言う今も、勃起しているのである。
その原因は一つ。石川だ。
石川はさっきからその腕を、
矢口の腕に絡ませて密着している。
細い腕が矢口の腕に絡み付いている。
そしてふくよかな胸が、体に当たっている。
(……石川……。)
これぐらい前は珍しい事ではなかった。
女同士でくっつく事なんてよく合ったし、
石川は特に他人とくっつきたがるタチなのだ。
よく他のメンバーに抱き付いたりもしている。
しかしそれは石川にしてみれば、
特別に変な意識を持っているわけではない。
それは矢口にだってわかっているのだ。
だが、矢口の脳がそれを受け入れても、
矢口の体はそれを受け入れない。

(……いい匂いがする……。)
これまでには全く持って意識をしていなかった些細な事に、
悶々としてしまう。
「なんや矢口?顔赤いで?」
中澤が矢口の顔を覗きこむ。
中澤と目が合った矢口は、
ますます顔が赤くなる。
何人もの、モーニング娘。に囲まれて、
密着しているのだから、
しかたのない反応なのかもしれない。
少なくとも、男であったら。
「な、なんでもないよ!!早くいこ!!」
「……?まぁええわ。そうやな、んじゃ、いこか!!」
中澤が、ワゴンに乗り込む。
続いて、矢口、石川、飯田、安倍、保田。
中学生4人は、既に別の車で送られて帰っている。
全員がワゴンに乗り込むと、
車は料亭へと向けて走り出した。

(もうちょっと狭くてもいいのにな……。って何考えてんだわたしゃ。)
車の中。いつもならメンバーだけで10人乗るところが、
今日はマネージャーと運転手を含めて8人。
狭いのになれた娘。達にはまだまだ余裕である。
矢口の心には、いつからか助平心が陰を見せはじめていた。
勃起したティムポが、
車が揺れる度にズボンと擦れあって、
妙に気持ちがいいのを、矢口は心の中で必死に否定しながら、
また相変わらず石川に腕を組まれたまま、
矢口達は料亭へと向かうのであった。
途中石川や中澤との会話一つ一つが、
妙に新鮮に捕らえられた。




『心、無口に、心、静かに、』

宴は多いに盛りあがった。
全員無礼講で、飲みまくる。
未成年者も、飲みまくる。
保田が泣き出す。
中澤が回り(保田以外)にキスを始める。
飯田も、矢口も、石川も、
大声で歌い出す。
隣から苦情がこないのか心配なほど、
飲みまくり、騒ぎまくった。
そんな騒ぎのさなかだった。

「矢口さーん、見て見てぇ……。」
トローンとした目をした石川が、
矢口の元へやってくる。
「ん?なにー?」
酒のせいでやたらテンションの高い矢口は、
よく石川のほうも見ずに、
生返事をする。
すると石川は、
自分の来ていたシャツに両手を掛ける。
「!!い、石川!!な……!!」
矢口の目が石川に釘漬けになる。
石川は、勢いよくシャツを体から剥ぎ取る。
ブラジャーだけを身に纏った石川の上半身が姿を表す。
石川は、両手で思いっきり腕を挟んで、
腹の前で組み前かがみになって、
上目遣いで矢口を見ながらいった。
「だっちゅーのっ。」

「……!!」
思いっきり目を丸める矢口。
思わず、石川の胸の谷間を凝視してしまう。
「やだー矢口さんたら、
そんなジロジロ見てー。
えっちー。」
石川が矢口の頭をペシペシ叩きながら言う。
「べ、別にジロジロ見てなんか……!!」
「だって真っ赤ですよー顔ぉ。」
「さ、酒のせいだいっ!!」
矢口はプイッと首を振って石川の顔から目を背けると、
立ちあがり、部屋の外へと向かった。

「なんや?ドコ行くん矢口。」
「トイレ。」
矢口はそう言って和室のふすまを開けようとした。
瞬間である。
「なんやオナニーかいな。
トイレ汚すんやないでぇ。」
中澤が矢口の背中に向けて言った。
矢口が振り返って中澤に言う。
「バカッ!何言ってんだっ!!」
矢口はすぐに部屋を出ると、
ピシャッとふすまを閉めた。

……しかし、オナニーというのは、
図星であった。
まさか、いわゆる、
『抜いてこよう』
だとは、誰にも想像がついていなかったのであるが。
矢口は、先程脳裏に焼き付けられた石川の体を、
忘れない内にとトイレへ駆け出していた。
期待に、心とティムポを膨らませて。




You'll have the night of fire』

矢口はトイレの個室に入ると、
便座をあげ、ズボンとパンツを下ろし、座った。
既に陰茎はギンギンに膨らんでいる。
パンツの内側には、少し染みができている。
まず、深呼吸、二つ。
そして、意を決して、
右手を陰茎に添えた。
心臓の鼓動が聞こえてくるほどの興奮。
ゆっくりと、
1回、2回、3回、と、
右手が上下する。
そしてそのスピードは、
等加速度運動の如くスピードをあげてゆく。
それと共にこみ上げてくる快感は、
矢口に再び至上の時を与えてくれる。

「り……かぁ……。」
先ほどの石川の刺激的なポーズが、
脳裏に焼き付いている。
(パイズリってどんな感じ……。)
話に聞き、いわゆるポルノ本などの写真でしか見た事は無い、
自分のちんちんを女の子の胸に挟んで擦ってもらう行為……。
男性経験が無い矢口には、
何がいいのかが解らなかった。
しかし、下半身が男となった今は、
例え経験が無くとも、解る。
あの胸に挟まれたい。
そして、擦られて、思いっきり射精したい。
石川の美しい肌に、
精液を思いっきりかけたい……。

「い……ぃ……。」
限界もそろそろ近づいてこようか。
矢口としてはこのまま、
思いっきり発射して、
そしたら、いろいろ後始末をして、
また、宴会場へ戻る。
そういうつもりであった。
しかし、ここで予想外の出来事が起こった。
誰かがトイレに入ってきた音が聞こえたのだ。
個室の外の扉を開く音と、足音。
他の客であろうか。
今の矢口には関係のないつもりであった。
どうせ見られているわけではないのだから、
このまま出してしまおうと、
そう思っていた。
しかしあせりからか、
なかなかすぐには逝けそうに無い。

そして矢口は大変な事実に気が付く。
……自分の個室の鍵が、
開いているのだ。
鍵無しでもドアが閉るタイプの個室だったのだ。
そしてうっかり掛け忘れていた。
……これは非常にまずい。
もし万が一、
今外にいる人が間違えって入って来たら、
大変な事になる。
普通なら、相手がゴメンナサイと言うだけで済む事だが、
今は普通ではない。
矢口にはティムポが生えているのだ。
しかも今は、オナニー中なのだ。

(し、閉めないと……。)
そう思った矢口は、
しごくのをやめて、立ちあがった。
そしてさっきまで手淫行為に使われていた右手をドアノブに伸ばし、
鍵に手を掛けようとする。
しかし、矢口が鍵に触れるより少し早く、
ドアノブがクルリと回った。
「……!!」
ズボンを上げてはいない。
ティムポ丸出しのままである。
今からではもう抑えられない。
扉は100%開けられてしまう。
そして知らない誰かに、
この姿を100%見られてしまう。
ティムポの生えた女。
しかも、ギンギンに勃起中。
矢口は終幕を感じた。




It's crazy for you』

ドアが開く。
(終わりだ……。)
矢口はまるで眩しい光でも見るかのように、
目を細める。
開く扉の陰には、人影。
この人影が自分の姿を認識したら、
一体どのような反応を示すのか。
うまく収まった所で、
マスコミにこの体の事がバレて、
モーニング娘。を辞めさせられるのか。
しかも料亭のトイレでオナニーをしていたという、
恥ずかしい話まで添えられて……。

ドアの向こうに立っていた女。
扉が開ききると、矢口はその顔を認識した。
「……え?」
女は、きょとんとした目つきで矢口の顔を見ている。
他の客だろうかと言う矢口の予想とは外れていた。
ドアの向こうにいたのは、
たった今矢口がオカズにしていたその人、
石川梨華だった。

化粧は薄めだが、まだ若いだけあって、
肌はきれいである。
先ほどまで下着姿だったはずだが、
誰かに着せられたのか、
Tシャツを羽織っている。
しかしTシャツからは、
ピンクのブラジャーが透けている。
下には長いジーンズを履いたラフなスタイル。
しかし、それでも充分華のある外見。
まぎれもなく、
モーニング娘。の石川梨華だ。

一瞬の間の後、
石川はにへら〜とした表情を浮かべ、
「あれ?矢口さん入ってたんですかぁ?」
と言った。
相当酔っ払っている。
「え、いや……その……。」
石川の意外な反応に戸惑う矢口。
……何故意外なのか。
……もっと別の反応をすると思っていたからである。
呑気に、入っていたんですかぁなどではない、
別の反応。そう、確か……。

「!!」
矢口は自分の股間に目をやった。
出しっぱなしである。
しまうことを忘れていた。
もちろん扉が開いてからしまったところで、
何の意味も無いことは始めからわかっていたが。
「あ!……う……!」
矢口は頭の中がパニックになっている。
石川は、矢口が下を向いたのにつられて、
やはり下を向いた。
そしてその瞳は、矢口の股間をしっかりと捕らえた。
「ぃ・・…ぃゃ・・…石川……これは……。」
矢口が何かを説明しようとする。
しかし、何も適切な言葉が出てこない。
やっと出てきた言葉が、
「ご……ごめん……。」
何を謝っているのかが解らない。

「矢口さん……。」
石川が、低いトーンで言った。
「は、はい……。」
やぐちが弱弱しい返事をする。
果たして何を言われるのか。
悲鳴を上げられなかっただけでも良かったのかもしれないが、
一体石川の口からは次にどんな言葉が飛び出してくるのか。
不安でいっぱいになる。
「……もうっ……。」
石川はそう言うと、
突然しゃがみ込んだ。
「えっ?」
矢口の脳は回転が止まっている。

「ふぁぅっ!」
刹那、矢口を信じられないような快感が襲う。
柔らかい何かが、
自分の男根に触れたのだ。
湿っぽく、柔らかい何かが。
「い……石川……?」
矢口はおぞおぞ下を見た。
石川の頭が見える。
石川の頭は、矢口の股間にうずもれている。
何が起こっているのか理解するのに時間がかかった。
やっと矢口は気がつく。
石川が、自分のものを、舐めている。

柔らかく、濡れた舌は、
矢口の男根回りを、滑り降りてはまた昇り、
滑り降りてはまた昇り、を繰り返している。
「石川……っ!?何を……。」
石川は返事をせずに、
矢口のものを舐めつづけている。
「んっ……んんぅ……。」
石川の息遣いの声が、
矢口の耳に入ってくる。
「んふぁぁぅぅぅ……。」
矢口の口から思わず声が漏れる。
気持ち良い。
先ほどから経験しているオナニーの、
数倍、いや数十倍も。

(フェラチオ……?)
矢口が味わう始めての快感。
自分の手でしごくのとは比べ物にならないほどの。
「ん……んっ……。」
次第に石川の口の動きが変わる。
口全体で亀頭を包み込み、
奥の方へと導く。
石川の口に、矢口の男根が完全に包まれる。
生暖かい感触と、柔らかな触り。
石川は頭をゆっくりと上下させ始めた。
「ぁぁぁ……ぅぅぅ……。」
男根は先から根元まで、
既に矢口の先走りと石川の唾液でネトネトである。
すべりの良い表面を、
石川の唇が、最初はゆっくり、
そして次第に速く動き始める。
「るぅぅ……んぅぅぅぅ……。」
矢口の声は言葉にならない。
既に体には、限界が来ていた。
石川の頭の動きは既に相当速くなっている。
そしてその相当速いスピードで、
石川の唇は矢口を刺激している。

「……でるっ……。」
腰が引けていた矢口が、
腰をおもいっきり反らせる。
しかし石川の口は、矢口の男根の先に食い付いてはなれない。
矢口の尿道を、激しく精液が通りぬける感覚。
そして矢口は、
石川の口に入れたまま、
思いっきり射精した。
「ぁ……ぁ……。」
矢口の口からは快楽にうずもれた声が漏れる。
石川は男根を、おもいっきり強く、吸っている。
口の中には恐らく相当濃い精液が、
ドクドクと物すごい勢いで流れ込んでいる。
量も、相当多い。
男根は、ビクン、ビクンと痙攣を続けている。
矢口は射精している間、
快感以外の全て一切の感情を忘れた。

精液が完全に出尽くした後も、
石川はなお肉棒にしゃぶり付いたままだ。
矢口も石川も、激しく肩が上下している。
矢口の息を吸ったり吐いたりする音が、
トイレの中で響いている。
石川は、ゆっくりと上を見上げた。
矢口と目があう。
矢口の顔を、不思議そうな表情で、
上目遣いで見つめている。

「……。」
「……。」
少しばかりの沈黙が流れる。
その後石川は、矢口の瞳を見つめたまま、
男根からゆっくりと口を離した。
そして一気に、
口の中へと放出された精液を、飲み込んだ。
ゴクンと言う音がした。
石川の首の中を、
液体が流れていく様が、確かに見えた。
口元から、
少しばかり溢れ出た精液がツーッとあごの方へと伝っている。
矢口の体には未だ、
電撃が走りつづけている感覚がしていた。
もうこのまま死んでも良いと、一瞬本気で思った。
そして、欲望は開放されたばかりであるはずにもかかわらず、
石川の精液を飲み込む様、そして口元についた精液を見ると、
未だ興奮は覚めやらず、
なおも熱く燃えたぎる感じがしているのであった。
男根はまだ勢い良く、天へ向かって伸びていた。




Gazin' you』

「い……石川?」
矢口は言った。
しかし、それに続く言葉が出てこない。
何を聞けばいいのかはわかっているのである。
何故、こんなことをするのか。
そして何故、矢口のこんな姿を見ても驚かないのか。
しかし、あまりに気持ちいい射精のせいなのか、
頭の中がとろけて、
うまく言葉に直す作業ができないのだ。
「矢口さん……。」
石川は立ちあがり、
矢口を見下ろした。
石川自身、飛びぬけて背が高いわけではない。
まぁ、体格としては普通である。
しかし身長145cmの矢口と比べると、
相当な差がある。
結果、やはり体勢としては見下ろす形になる。
そして当然、矢口のほうは、
石川を見上げる体制になる。

「ダメじゃないですか……。
溜まってたんなら言ってくれないと……。
私がいつでもしてあげたのに……。」
石川は言った。
「あ……うん。」
矢口は石川の強い口調にやや戸惑い、
つい石川に無条件で従う意思表示をしてしまう。
しかし石川の今の発言は、
普通に考えて非常識な発言だ。
「石川……その……コレなんだけど……。」
矢口はコレといいながら、
自分の男根を指差した。
仕方ないから事情を説明するつもりだったのだ。

しかし矢口が言い終える前に、
石川が喋り出した。
矢口は、言いたい事を言い切れないままに、
発言を中断せざる終えなくなる。
「ダメですよ。こんなトコロでオナニーしちゃ……。」
そう言っている石川の顔は、赤い。
ふと矢口は、トイレ内がものすごく酒臭いことに、気が付いた。
(石川……すっごく酔ってるんだ……。)
先ほどから気付いていたことではある。
しかし、これは要するに……。
(お酒飲むと……淫乱になるって……ヤツ?)

石川は言った。
「まだ立ってるんですね……。
じゃ、もっとしてあげます。」
石川はそう言うと、
個室の中へと踏み込んできて、
扉を閉め、鍵をかけた。
「あ……。」
「これで誰にも邪魔されませんね。」
……ドキドキする。
密室の中で、二人きり。
……しかも恐らくこれからの展開は……。

「石川……コレ見て何とも思わないの?」
矢口は自分の股間を指差して言った。
「え?あぁ。立派なおちんちんですね。」
「えぇっ?」
石川の反応に、戸惑う。
普通、ありえない反応。
(普通はビックリするとか悲鳴を上げるとか……。)
「そんなことより……。」
矢口が考えているのをよそに、
石川は矢口のみ身元へと顔を寄せながら言った。
そして、ふっと呟く。
「早く……しましょ。」
「……。」
そう言われた途端、
矢口の脳みそから、疑心が一切吹っ飛んだ。
(ま……いっか……。)
こんな場面では、
後先考えずにやるしかない。
普通は、それ以外できない。

「服汚れちゃいますよ……脱いで……。」
石川はそういいながらTシャツをものすごい速さで脱いでしまう。
かと思ったら、もうすぐに、
ブラジャーを外し、ズボンのベルトを外し、
パンツと一緒に下ろす。
その間矢口は、何もせずにただ見ているだけ。
石川の体に、見とれている間もない。
(速っ。)
矢口は慌てて、自分も服を脱ぎ始める。

矢口も服を脱ぎ終わった。
トイレの個室の中に、裸の女が二人。
どちらも、かわいい。
ただ、片方には、
立派なティムポが生えているが。
「矢口さん……。」
石川が矢口の目を見つめて言う。
矢口の顔は、さっきから真っ赤だ。
「かわいいっ!!」
そう言うなり、石川は、
矢口の体をギュッと抱きしめ、押しかかる。
なにせ矢口は、軽い。
うわっと言いながら、
便座へと座り込んでしまう。
そしてそのまま石川は、
強引に矢口の顔を抑えて、キスをする。
「ん〜〜〜!!」
(嫌〜〜〜!!)
精液がまだ付いている口があてがわれて、
矢口は抵抗しようとするが、
力では石川にはかなわない。
押さえられたままだ。

また別に、徐々に抵抗できなくなっていくことがあった。
石川は矢口の唇に自分の唇を当てると、
そのまま舌を中に入れて、
矢口と絡ませる。
その動きのゆったりとした感覚は非常に濃厚で、
いわゆるねっとりとしたディープキスとういうものが、
如何なものかを矢口は思い知らされる。
あっという間に矢口の目は、
とろーんとしてくる。
中澤のキスも相当上手いが、
ここまでは興奮しなかった。
何の違いであろうか。
やはり今、互いにはだかである事からなのであろうか。

「……んっ……ハァ……。」
石川はやっと唇を離し、矢口を解放した。
抱き合った体が、少し離れ、
石川は立ちあがり、座っている矢口を見下ろす。
矢口は少し咳払う。
「な、なにすんだよこんな……!!」
矢口は石川に抗議しようとする。
フェラ後のキスは、
やはり男はみんな嫌がるものだ。
矢口もそうである事には変わりない。
そして石川は石川で、そう言われる事はわかっていた。
「これからえっちするのにキスしないなんてダメですよぉ。
自分で出した精子なんだから、別にいいじゃないですかぁ。」
石川の強引さに、
矢口は逆らえない。
「そんなぁ……。」
言い終えると石川は、
矢口と対面になるように、座りかかった。
矢口はちょっと重く感じるのだが、そこは我慢する。
「矢口さん。誕生日おめでとう。
プレゼント、もらってくださいね。」
「……!!」
矢口の理性が吹っ飛ぶ。
先ほどまで真っ赤だった顔が、
ますますひどくなる。
耳まで、真っ赤だ。




treasure』

矢口の手を石川が掴み、
股間へと導く。
柔らかい陰毛へと矢口の指先が触れる。
かなり、ヌルヌルになっている。
「ここを……触って……。」
石川は矢口に指示を出す。
言いながらも心成しか、
目つきが虚ろになってきている。
矢口は石川の股間を下へと、
指を這わせる。
やがて女性器の上部へと、指が触れる。
(オマンコ……。)
あっという間に指は、
所謂穴の部分へと滑ってゆく。
「そこを触って……優しく……。」
矢口が指を動かすと、
クチュクチュという音が聞こえる。

石川の局部に目をやる。
割れ目の中へ吸い込まれている自分の指。
付け根のあたりには、
赤い、ヌルヌルした、液体。
「いしかわ……生理……。」
矢口が不安そうに言う。
生理中にこんなことしていいのだろうか。
「大丈夫だから……指……。もっと奥に……。」

(どうすればいいんだろう……。)
矢口には男性経験がない。
お陰で、どこを刺激されれば気持ち言いのかがわからない。
オナニーぐらいはした事もあるが、
正直、それほどいいと感じた事も無く、
18歳の今日を持っても直、耳年増に甘んじている。
「い……しかわ。
き……、コレって……気持ちいいの……かな。」
矢口は石川に尋ねる。
女が感じているときは、声が出てしまうものだと聞いている。
石川は先ほどから、息遣いは荒いものの、
所謂喘ぎ声と言うものは上げていない。
充分に濡れてはいるのだが。
「大丈夫ですよ……。
気持ちいいですから……。安心して……。」
石川はそう言うと、
左手を矢口の首の後ろへ回し巻き込んだ。
そして右手を矢口の左胸へとやり、揉み始める。
「っ!」
「矢口さんのおっぱい……柔らかいんですね……。」
石川はそういいながら、
矢口の頬に顔を擦りつける。

「い……石川……。あっっ……。」
「矢口さんは……随分感じているみたいですね?」
そう言うと石川は、左手で矢口を抱き寄せる。
より一層、二人の体の距離は近づく。
石川の大きな胸が、矢口の身体に触れる。
矢口の指が、石川の局部から離れてしまうがそれどころではない。
「じゃ……入れましょうか……。」
そう言うと石川は、右手を矢口の胸から離し、
股間へと伸ばす。
今だヌルヌルで、またしても先走りが始まっている肉棒に、
指先でつまむように触れると、
矢口の膝の上に座っていた腰を、浮かせる。
そのままゆっくりと腰を肉棒の上へと導き、
ゆっくり、下ろす。
ワレメが亀頭に、ツとあたる。
陰毛のジャリっとした感覚が、
神経の敏感な部分へ不思議な感覚を植え付ける。
「石川……。」
「入れますよ……。」
ゆっくりと石川は、腰を下ろし始めた。

「んんっ……。」
肉棒を柔らかい質感が、ゆっくりと吸い込んでゆく。
思わず矢口の口からは声が漏れる。
深く、深く入り込んでいくと共に、
外部から快い刺激が与えられる個所が増えてゆく。
それと共に矢口は声を抑えられなくなってゆく。
石川の膣内は、思ったよりもキツい。
というのも、矢口のモノが大きすぎるからなのだが。
「ふぁぁぅぅっ。」
「矢口さん……気持ちいいですか……?」
「ぁ……ぅ……ん……。」
肉棒は、あっという間に、
膣の中へと完全に入りこむ。
いわゆる、座位の姿勢になった。
矢口の太く、長いモノを、
石川が包み込む。
本能的に、二人は腰を少しずつだけ、動かしている。
生理の液体のせいか、非常に滑りやすい。

「矢口さん……動きますよ……。」
そう言うと、石川は、両手を矢口の肩から回し、
抱き合った体勢になる。
そしてゆっくりと少しづつ、
腰を上下させ始める。
「んぁぅ……ぁぁっ……!」
矢口は何も考えられない。
例えば、どうやって責めればいいのか、
感じさせる事ができるのか、
そんなところにまで考えが及ばない。
ただひたすら、石川の動きに、身を委ねている。
始めて味わう女性の体内。
何と言おうか、暖かい。
そして柔らかい。しかし、
しっかりと肉棒を捕らえ、離さない。

先ほどのフェラの、断片的な、
所々を細かく刺激する感覚、
そして、口でこんなものを動かされていると言う、
背徳感から来る興奮。
それとはまた違った、何と言おうか、
絶対的な快感。
自身の肉棒全体を、余す所なく、
亀頭の先から、陰茎の根元まで、
強く、強く刺激する膣。
それはまるで、
男性器に快感を与えるためだけに作られたかのような錯覚すら、
覚えてしまう。
まるで160km/hの直球のような、
正統派な、かつ強烈な快感。

「ん……んんっ……!」
この世の物とは思えないほどの快感が、
先ほどから、常に矢口を襲いつづけている。
はっきり言って、先ほどの濃厚なフェラが無かったら、
とっくに矢口は射精してしまっているだろう。
しかし、最初の射精から、全く間を置かずに行われるこの行為は、
矢口の男性器にとっては、危険な物であった。
射精の直前から直後、
男性器は最も敏感な状態なのである。
にもかかわらず、石川の容赦無い攻撃。
並の人間なら、失神するか、死んでしまうほどの快楽を、
矢口は味わっていた。
「あぁっ……すごい……矢口さんの……大きい……。」
石川は始めて、本能的に声が出た。
いつも石川は、
ボルテージが相当高まってくるまでは、
声を出さないのだ。
なにせ石川の膣内に入っている矢口の肉棒は、
日本人の平均をはるかに上回るモノである。
石川もコレまでに入れた事がないほど、大きなモノ。
それが、今、膣の中に入ってきているのだ。
わりと入れ始めてすぐなのだが、
快感は高まってきている。

「気持ちいぃ……よぉ……。」
石川はそう言うのを矢口は聞く。
それと同調してか、石川の腰を動かす速さも、
上昇してきている。
石川の口から、声が漏れ始める。
「あぁんっ……あっ……あっっっ……!」
高い声。石川は、変わった声をしている。
何と言うか、アニメのキャラのような声だ。
女の矢口でさえも、普段から、
石川の声はかわいいと思っていた。
その声で石川は、今、喘いでいる。
何が何だか解らない矢口ではあったが、
その事についてだけは、妙に興奮していた。
「ふぃ……ぅ・・…らぁぁぅ……。」
矢口もつられて声が出てしまう。

「っ……矢口さんも……っ……動いて……。」
石川は言った。
理性の30%も働いてはいない矢口ではあったが、
石川の言葉はなんとか理解する。
矢口は、自分の肩から首を巻き込んだ石川の手を、
ゆっくりと解かせた。
「?」
石川の上半身が、少し引いた体制になり、
二人は互いに顔を見合う。
石川は、少し、不思議そうな顔をしている。
快楽の表情と入り混じったそれは、
なんとも不思議なものなのであるが。
矢口は、とろんとした目つきだ。
口は半開きになっていて、
どう見ても理性を保った人間の顔ではない。
しかし、少女のような顔をした矢口がその表情を浮かべると、
なんとも不思議な、ある意味男女問わない興奮をもたらすような、
不思議な効果があったのだが。

「や……ぐちさ……えぇっ!?」
石川は驚きの声を上げる。
というのも、突然矢口が立ちあがろうとしたのだ。
矢口の膝の上に座っていた石川は、
腰に身体の重心を寄せていたのだが、
それが旧に、脚の先へと寄せられる。
矢口は立ちあがり、石川の事を、
前へ、つまり個室のドアへと押しやる。
石川は、ドンドンドンッと、
後ろへ引く。
厳密には二人の身体は今だ密着したまま。
矢口が、前倒しに出ようとするのだ。
「痛っ!」
矢口の全体中をかけられて、
石川の背中はドアへぶつかる。
「矢口さ……なにを……あぁっっ!!」
石川が言おうとするのだが、それは叶わない。
矢口は腰を思いっきり、上下させ始めたのだ。
立ちあがった体位でのいわゆる、ピストン行為だ。
誰に教えられたわけでもなく、本能的に、
矢口が行う。

石川の膣の中を、
矢口の肉棒が激しく上下する。
先ほどとは比べ物にならない勢いだ。
まるでガドリングガンの様に、
矢口は石川を攻めつづける。
「あっ、あっ、あんっっ、あっ、あっ、や……ぐちさっ……す……ごいっ……!」
石川も先ほどまで想像もつかなかったほどの、
矢口の凄まじい突き。突き。突き。
次第に石川の理性も、吹き飛び始める。
「あぁんっ……!
あっ……!あっ……!
やぐちさんっ……!イイっ……!」

石川も、わけが判らなくなっていた。
先ほどまでとは明らかに違った立場。
ついさっきまで、
どう見ても経験の少ない矢口さんを、
リードして、優しくしてあげるつもりだったのだ。
しかしいつのまにか、
その矢口さんに思いっきり攻められ、
ここまでも感じてしまっているのだ。
不思議な感覚だった。
そしてある意味の、背徳感を感じてしまっていた。
こんな経験のすくなそうな矢口さんにおもいっきり攻められて、
信じられないほどに感じてしまっている――。
そしてそんな自分自身に、ある意味、
相乗効果となった興奮さえも感じていた。

「り……かぁ……。」
矢口の限界が近づきつつあった。
普段は苗字で読んでいるくせに、
快感が高まってくると名前で呼んでしまうのは、
矢口の癖なのかもしれない。
とりあえずは、そんな事お構いなしに、
矢口の身体の中を、
射精感がこみ上げ始めてくる。
「あぁっ……あぁんっっ!!」
石川は返事ができない。
矢口の本能からなされる突きに、
身体は完全におかしくなってしまっている。

「イッちゃうっ!!イッちゃうよぉっ!!」
石川がそう言うと同時に、
矢口は、石川の膣の締める力が、
より一層強くなるのを感じた。
それをきっかけとして、
矢口の限界はあっという間にやってきた。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁんんんんっ……!!」
「……ぁぁぁっっ……!!」
石川が、その日一番強い力で、
思いっきり矢口の肉棒を締め付けた。
それと同時に、矢口は石川の膣内へ、
思いっきり射精した。
石川も矢口も、何度も、何度も、
波となって、膣が締まり、
液が出るのを感じていた。
互いの身体が結び付きあっていた。
石川は、身体の中に、
相当な量の成績が放出されたのを感じていた。
そして二人は、互いにトロンとした目つきで、
見つめ合った。
そしてそのまましばらく、互いの身体を話す事も無く、
陰茎を膣から抜き出すでもなく、快楽の余韻に、浸った。




『D・N・A』

どれぐらい経ったであろうか。
とりあえず、抜き出す。
トイレットペーパーで、拭き取る。
この間、二人は無言。
互いに目を合わせるでもなく。
まるで先ほどまでの熱さが嘘のように。
無言で処理を済ませ、
無言で衣類を纏う。
二人とも衣類を纏い終わっても、
個室から出るまでもなく、沈黙が流れる。
「……あのさ、石川……。」
先に沈黙に絶えきれなくなって話しかけたのは矢口だった。
「コレのことなんだけど……。」
矢口は、先ほどと同じように、
自分の股間を指差す。
石川は矢口の方を見ようとしない。
「色々事情があってさ……。」
矢口の言葉を聞いているそぶりは見せない。
旧に、無愛想に、なったような感じだ。

「よく考えると変ですよね……。」
石川がやっと口を開いた。
「うん、実は……。」
「どうも今朝、
矢口さんを見たときから、
何か変だな?っては思ってたんですよ。」
石川の言葉が、矢口にものを言わせない。
「なんか……今日の矢口さん……、
私を見る目がいやらしいとは思ってたんですけど。」
「う。」
返す言葉がない。
実際、いやらしい目で見ていたし、
オカズにも使った。
「それに、なんか、矢口さんの傍にいると、
女の子の傍にいる気がしなかった。
男の人といるような、そんな感覚だった。」
「……。」
そう言うと、石川は矢口の方を始めて見やった。
「事情、話してくれますよね?」




RING!RING!RING!』

「つまり……罰が当たったってことですか?」
石川は言った。
ここは宴会場だ。
とりあえず二人は戻った。
飯田や中澤が酒を進めるのもそこそこに、
部屋の端っこで二人座り込み、
互いに目は合わせず、話している。
「……うん。まぁ、そんなところ。」

「で……。
百人の人とえっちしなきゃいけない……と?」
「……うん。」
何故か石川が怒っているように感じられる。
「じゃ、早速もう、一人分果たしたわけですね。」
「……。」
今朝から、石川の様子がおかしい。
明らかに、矢口に対する態度が昨日までと違う。
……実際わかるのだ。
まちがいなく、自分に惚れている。
だから、怒っているのだ。
もちろんそう思った所で、
矢口がそんな事を口にする事はないのだが。

「別に……私のほうからしたんだから、
私が怒ることじゃないですけどね!」
石川は言った。ごもっともだ。
明らかに、石川が矢口を襲ったのだ。
しかし、何故か矢口は申し訳なくなく感じられて、
核心に触れた発言ができない。
「……。」
少しの沈黙のあと石川が続ける。
「……私……矢口さんのこと好きです。
何か、今日、逢った時、今まで感じたことのない感じ、
矢口さんに感じました。
でも、多分ソレって、違ったんですよね。
本当に私が、矢口さんのこと好きになったわけじゃなかった。」
「……。」
矢口のほうとしては何も言えない。
実際矢口だって、
それほど石川のことが好きだったわけでもないし、
まして恋愛感情なんて、
今までに、そうそれは先ほどから、
石川のことを助平に見るようになってからでさえ、無い。
好きでもない女とセックスしたあとの男は、
いつもどのような感情を抱くのだろうか。
そんな疑問を自分に投げかけていた。
石川の話を聞くのもそこそこに。

「矢口さん……。
何とか言ってくださいよ……。」
石川は、矢口の顔をのぞきこんだ。
至近距離で目があう。
思わずドキッとする矢口。
まだ、やり足りない、とか、
そう言うわけではなく、
ただ普通に、石川梨華の顔を至近距離で見たときの、
自然な反応。
助平心などなくても十分刺激的だ。
「……私は……その……ね……。
石川のこと……好きだけど……。
なんていうか……。えっちな感じでだけ……。
その……。
……ゴメン。」

「別にいいですよ。」
石川は言った。
「……思うに、私が矢口さんに抱いていた感情は、
本当に『好き』という感情じゃないですから。
矢口さんの与えられた不思議な力に、
ちょっとだけ迷っていた、そんなトコロから生まれた気持ちなんです……。」
「……。」
「一応、恋愛経験は豊富なつもりですからね。
なんとなく、わかるんです。
あぁ、今回は、違うなぁ、って。」
「……。」
こんな時自分は何を言えばいいのか、
矢口にはわからない。

しばらくして矢口は口を開いた。
「……このことは、他の人たちには隠しておいて欲しいんだ。」
石川はそれに応えた。
「わかりました。」
もし矢口が今こんな状況である事を、
他のメンバーに知られたらどうなるか。
ティムポだけでもヤバいのに、
まして百人斬りを狙っているというのだ。
ある意味、他のメンバー全員だって、
標的には含まれる。
確かに、他のメンバーとやってみたいという思いはあるのだが。
「……協力しますよ。」
石川が不意に言った。
「……何に?」
「……えっち。」
「ハァ?」
「なんとか他の人と上手くやれるように、
協力してあげますよ。」
「……?」
「なんならテクニック仕込んであげたっていいし……。」
「……。」
矢口はひたすら赤面した。




Like @ angel』

窓からこぼれ出す光は、
遠くの夜空さえも照らすような、
そんな感覚を覚えていた。
矢口の自宅のベッド。
隣で石川が寝息を立てている。
ここ三日間、石川はずっと矢口の家に泊まりにきていた。
そして二人は、暇さえあれば、
やっていた。

石川の初体験は中学校一年生だったらしい。
矢口でさえ18になる今でも、
男性経験が無いにもかかわらず、
石川の進んだ事には、かなり驚かされた。
自分がまだ処女である事は、
この際隠しておいたのではあるが。
石川は中学校二年から三年にわたり、一年半。
知り合いの男性と半同棲のようなことをしていたと言う。
このことがバレると、大変なスキャンダルではあるが、
事務所の、極めて上層の、部が、
その男には手をつけてくれたらしい。
そしてその一年半の半同棲で、
石川は相当なテクニックを授けられたらしい。
自分よりも二つもしたの女が、
こんなに濃い経験をしてきたのかと思うと、
少し、胸が痛くなったのだった。




come again』

今朝は、石川は家に来ていなかった。
矢口がミニモニ。として活動しているので、
明日のスケジュールが全く違う。
だから、集合場所と時間の都合上、
石川は矢口の家に泊まりに来なかった。
それともうひとつ。
変わったことがあった。
というのも、マネージャーからの先ほどの電話だ。
事務所の車に、急に空きがなくなってしまったと言うのだ。
というわけで、集合場所まで、
電車で来て欲しいというのだ。

石川の盗聴事件以来、
アップフロントエージェンシーは厳戒体勢、
なのかどうか、
メンバー全員車で送り迎えをするようになっていた。
電車に乗るのは久しぶりである。
混んでいなければいいが。
そう思っていた。

電車に乗る。
決してすいてはいなかったが、
それほど混んではいない。
しかし座れる席は無かった。
矢口は入り口の近くの縦の手すりにつかまる。
当山だが、吊革に手が届かないからだ。
そしてそのまま、電車は進んだ。
矢口は少し苛立っていた。
やはり電車通勤と言うものは少し面倒くさい。

車内にはサラリーマン風の男たちしかいなかった。
幸い、誰も矢口に気付いてはいない。
相当目立つ身なりの矢口ではあるが、
帽子を深くかぶっていれば、
わざわざ覗き込む人間もまずいないため、
あまり気付かれはしないのだ。

二駅ほど進んだ所で、
異変は起こった。
正直電車に乗っているとき、
一番遭遇したくない部類の集団だ。
それは、遠足へでも向かうのかと思われる、
小学生の集団だった。
大体全員、3、4年生ぐらいであろうか。
何十人いるのかもわからないが、相当多い。
入ってくるなり、
車内は嫌な空気に包まれる。

……うるさいのだ。
電車内での小学生の集団とは。
しかも、この集団が入ってくると、
電車の中の気温が5度ぐらい上がるのだ。
何故か、小学生とはものすごく暑ぐるしいのである。
寄りにも寄ってそんな集団が、矢口の近くに、
バァーッと並んでしまった。

(勘弁してくれよぉ……。)
只でさえイラついていた矢口は、
更に穏やかさを無くしていった。
しかし、ここで何かをすることはできない。
もし注意でもして、気付かれたら、
大変な騒ぎになってしまう。
最近はミニモニ。の活動の影響か、
特に矢口達の、小学生からの知名度は上がっているだけに、
尚の事である。

電車は走り出した。
矢口の周りには、
うごめく子ジャリ共が、
イクラのようにバァッと散らばって、
もぞもぞ蠢いている。
引率の教諭の注意を聞き入れている生徒は皆無に等しい。
このまま、しばらくこの環境に耐えなければならないのか。
矢口は運命を呪う。
あと目的地までは、6駅もあるというのに。

「?」
ふと矢口の後ろに、不信な気配を感じる。
チラリと後ろを振り返る。
……何者かが、
矢口の後ろにピッタリとくっついて立っている。
(気付かれたかな……?)
矢口派、慌てて顔を下へ向けた。
(怪しいなぁ、もう……。)
恐らく先ほど小学生とともに乗ってきたのだろう。

矢口の後ろに立っている者の姿を、
矢口自身、正確に捉えることはできなかった。
服装からして、恐らく男である。
オリックスの野球帽を被っていて、
上下にはGパンとジャケットを身に纏っている。
身長は、まぁそれほど高くはない感じか。
何より怪しいのは、
サングラスをかけていることだ。
真っ黒なサングラスと、男の黒髪が、
金属板のようなテカリを矢口の目に飛び込ませ、
印象的だった。

(なんでこの人こんなにくっついてくるんだろ……。
そりゃ、込んでるから仕方ないけど……。
もしかしたら気付かれてるかも……。どうしよう……。)
矢口は少し焦るが、
結局結論として、どうにかなるわけでもない。
そのまま、静止していることに決めた。
今はこの暑ぐるしい環境から早く逃げ出したいと、
心に願うだけにしておいた。

しかし、少し経って、異変が起こった。
「!!」
一瞬何が起こったのかはわからない、
しかし、妙な感触を、矢口は感じた。
(お尻……触られてる……。)
電車内での配置的に、この男しかありえない。
(どうしよう……痴漢だ……。)
まさかこの時間帯に電車で痴漢にあうとは思っていなかった。
もう、ラッシュは少し過ぎているのである。
(私のこと……。やっぱり気付いてるの……?)
後ろの男が気付いているのであれ、
気付いていないのであれ、とにかくこれは大変だ。
(……どうしよう……。)
矢口の心に恐怖が込み上げてきた。
果たしてこれからどうするのか。




『Love me tender』

(やだっ!ちょっと……!!)
初めのうちは、そっと触れているだけだった。
しかし、徐々に男の片手――吊革につかまっていないほうの、
左手は、激しく矢口の尻を揉み始めた。
18の少女の柔らかい肉の質感が、
男のあまり大きくは無い手の中にうずもれ、うごめく。
「……っ。」
ここで声を出すわけにはいかない矢口は、
ただ、何もできない。
抵抗することも抗議することも逃げることすらできない、
絶望的な状況。
(嫌っ……。やめて……。)
思いはするのだが、声には出せない。

矢口はこんな時間が速く過ぎ去ってくれることだけを祈っていた。
しかし状況は、ますます酷くなってゆく。
なんと男は、矢口の履いていたミニスカートの中に手を突っ込んできたのだ。
「ふぁっ!」
一瞬、声をあげてしまう。
しかし回りの子供たちは気付かない。
手はするりとスカートの中に滑り込み、
そしてパンツの中にまで入ろうとしてくる。
(やだっ!!嫌っっ!!)
矢口の心の中は急激に閉めつけられる。
女としてのショックは、
屈辱的という言葉が最もしっくりくるであろうか。
見ず知らずの男に、こんな所まで触られるなんて許せない。

矢口は少しだけ首を後ろに曲げた。
もう我慢の限界だ。抗議をしようとした。
しかし、男の顔を見られない。
……こういう時の女の無力さを、
心から感じ、恨んだ。
しかし何とかして口を開き、
男の顔から目をそむけたまま言葉を吐こうとした。
しかし、その瞬間、男は言った。
「黙ってな。」
低いトーンで矢口の耳元に囁きかけた。
服装からの印象と違って、少年のような声をしていた。
それほど迫力のある、あるいは凄みの効いた声ではない。
しかし、今のおびえきった矢口を黙らせるには、
充分だった。
矢口は、ブルブル震えながら、
顔を落とした。
矢口の頬を、僅かだが涙が伝う。
しかし男はそのことには全く気付いてないらしく、
尚も強く、矢口の尻を直接揉みしだく。
男には誰であれこんなことを許したことは無いにも関らず。
そしてさらに、男はエスカレートしていく。

「……ひっ!!」
なんと男は、矢口の肛門に、
人指し指を突っ込んできたのだ。
指はそのままズルズルと入ってゆく。
パンツの上から手を入れているため、
配置上、それほど深くまでは入って来れない。
しかし指の第二関節にさしかかろうかと言うあたりまでは、
指は、ゆっくりと、入って来た。
「ぁぁぁぅっっ……。」
矢口は声が出るのを必死で堪える。
信じられない。この世界に、これほどまでの屈辱があろうかと言う事。
そして、これほどまでのことを電車の中で平気でして来る人間がいることが。

「ぁぁぁ……。」
そして矢口は、
死にたくなるほどの絶望を味わう。
己の男根は、心底傷ついている矢口の心とは裏腹に、
勢いよく勃起してしまったのである。
普通、女性が痴漢にあって、
それで感じてしまうなどという事は、
まずあり得ないのだ。
先ほどまでの矢口のように、
身体に与えられる刺激よりも、
精神に受けるダメージの方が遥かに大きいのである。
また女性の場合、
自分が今感じようと自ら思っているという、
心構えが無い限りまず感じることができないものなのだ。
しかし、今の矢口は普通の女ではなかった。
股間には立派な男根が携わっていた。
男根は、物理的刺激にはとにかく弱い。
とくに、石川とヤリまくっているとは言え、
矢口は今だ精通から半月も経っていない、
普通の男であればいわゆる小学生みたいなものなのである。
でん部、そして肛門への強い刺激は、
勃起を導くのには充分過ぎるほどであった。

「い……やぁ……。」
矢口はもはや抵抗する力を無くしてしまった。
絶望的状況、耐え難い屈辱、
それに反して感じている自分。
全てに絶望を覚える。
そしてそんな矢口の脳裏には、
ひとつの不安がかすかによぎっていた。
もし、この男が、
前に手を回してきたらどうなるのか。
自分の男根に触れたこの男は、自分をどうするのか。
そしてやはりこの男根のことが、
世間にばれてしまうのか。
起こりえる事象は非常に多く、
矢口の想像の範疇を超えていた。
そしてそれ以上に、矢口の心理は、
屈辱、ショック、快楽、背徳感等から、
すでに正常さを失いつつあった。
矢口が一瞬考えた不安も、
すぐに脳裏から追い出されてしまった。




Neva Enuff』

既に亀頭の先は、ヌルヌルに濡れ、
パンツの中を湿らせていた。
前日は石川が泊まりに来ていないため、
溜まっているせいもあってか、
神経は相当敏感になっていた。
男の指は、ゆっくりと動き、
矢口の肛門を刺激する。
「んん……っ……、んっ……。」
矢口は必死に声が出るのを堪える。
何が何だかわからないが、
とにかく耐えなければならない。
声を押し殺さなければならない。

「らぁっ……。」
男の指が突如肛門から抜けた。
急激な指の動きは、
矢口により強い刺激をもたらす。
しかしそれどころではない。
男の手は、ゆっくりと腰を回って、
前へやってこようとしていた。
「……いや……お願い……。
やめてぇ……。」
矢口は嘆願しようとするが、
あまりに声が小さい。
男の耳にすら、恐らく届いてはいないだろう。
手はゆっくりと腰を回り、
そして、矢口の陰部へ触れようとするかのごとく、
這う。這う。

(注:
かなり前に述したが、
矢口には女性器もいちおう残されてはいる。
生物学的な理屈云々についてはともかくとして、
染色体異常の人間としてはありうる身体であり、
またとりあえずどこかが矛盾していたとしても、
そのあたりは、エロスの神の力として、
無理にでも納得していただいて、
特に突っ込まないように願いたい。
とにかく、男性器が、女性器の部分よりも、
少し上の部分についている構図となるのだ。
つまりどういう事かと言うと、
今この状況で、痴漢が矢口の女性器似触れようとした場合、
まずまちがいなく男性器に手を触れる、
すなわち男性器の存在に気付くということである。)

男がいよいよ、
前に手を出そうとしていた。
「ぁ……。」
矢口の肉棒を、強い刺激が襲った。
男の手が、矢口の肉棒に触れていた。
(もう……ダメだ……。)
こんなことを思ったのは、
例の、石川との初体験の時、以来であろうか。
しかし今回は、石川のように身内の人間ではない。
行きずりの痴漢である。
口に戸をたてる術もありはしない。

そして今一番重要なことは、
この男の反応。
もしかしたら、
これで、辞めてくれるかもしれない。
そんな期待も、矢口の脳裏をよぎっていた。
しかしとりあえず、
男は普通の反応を示すだろう。
この普通でない状況で一番自然な反応。
男の指の動きがビクッと止まったのを、
矢口は感じた。
矢口には、
男の次の反応が大体予想がついた。
案の定男は、何かを言おうとして、
息を軽く吸ったのが、矢口にはわかった。

「なんなのよ、これ……。」
男は、素っ頓狂な声で言った。
先ほどのような、少年のような声で。
いやむしろ、少女のような声で。
「え?」
矢口も、一層驚いた。何かが、違う。
(……この痴漢。まさか……?)
少しだけ冷静になった矢口を、
ある考えが襲った。
この痴漢の声には、
どこかで聞き覚えがある。
懐かしい、もう長い事聞いてはいない、
あの優しい声に似ている……。
(まさか……。まさか……。)
矢口は少し混乱した。
だが、あの男としては高くない背格好。
男としては高すぎる声。
服装こそ男っぽかったが、何かが違う。
そしてオリックスの帽子。
矢口が今思い浮かべている人物は、
元オリックスのイチローのファンだったような気がする……。
(まさかそんな……。そんなハズ無い……。)
しかし矢口の推測は、ある一つの方向へと導かれていた……。




My eyes』

「あんた……矢口真里だよね?」
痴漢は言った。
(やっぱりバレてるんだ……。)
しかし矢口の頭中はそれどころではなかった。
(紗耶香……。紗耶香なの?)
振り向いて尋ねる勇気がない。
やはり未だ、この痴漢が恐ろしい。
もし聞いて、そして、
この痴漢が市井じゃなかったらどうするのか。
きっとどうにもならないからだ。
「矢口……なんだろ?」
痴漢は少し口調を強めて言った。
「……。」
矢口は恐ろしくて後ろを振り返られないので、
そのまま頷いた。
このとき始めて、
モーニング娘。の矢口真里が痴漢にあっていることを認めてしまったのかと思うと、
少し悔しかった。

「じゃコレはなんなんだよ。」
そう言うと痴漢は乱暴に矢口の肉棒を握った。
「あぁぁっ!!」
思わず大きな声が出てしまうが、
回りの子供たちのうるさい声からか、
誰も気付いていないようだ。
「なんだ……感じてるんだ……。ふーん。」
そう言うと痴漢は、
思いっきり手首を動かし、
矢口の男をしごき始めた。
「あぁんっ……!あっっ……!!」
周りがうるさいのをいいことに、
矢口は思いっきり声を出してしまった。
バレてはいないようだが。
「こんなもの付けてるのに、感じ方は女の子みたいなんだね。」
そう言う痴漢の手の動きは、
少しづつはやくなってくる。
カウパーがどくどくと尿道から溢れ出てくる。

矢口に与えられた物理的刺激は、
痴漢相手に感じたりしたくないと言う、
矢口のプライドでさえ壊しかけていた。
そして矢口は、
この痴漢が市井かもしれないという期待に甘えて、
すこしずつ心を解放していた。
「ぁぁ……ぁ……。」
矢口のかわいらしい声は、
痴漢をも興奮させたのか、
手の動きは更に加速されている。
矢口は、最後の一線の1歩手前にいた。
見ず知らずの痴漢相手に逝くわけにはいかないという、
女としてのプライドと、
速く逝きたい、射精したいという、
男としての本能の境界線。

「さ……や……か……?」
矢口は、小声で呟いた。
痴漢が市井であるのかどうかを確認したかったのだ。
もしこの痴漢が市井であるなら、
すぐにでも逝ってしまいたいと思っていた。
見ず知らずの男に抜かれるのは絶対に嫌だが、
市井なら構わない、という考え。
少しずつ矢口の小さいからだの、
背中はエビ反りになっていった。
そしてその視界には、
ゆっくりと痴漢の顔が飛び込んできた。
真っ黒な短髪の髪型。
黒いサングラスに覆われた小さな顔。
「紗耶香……なの?」
矢口は言った。
痴漢は、口元をニッと傾かせ、そして、頷いた。
矢口は思いっきり、
自分のパンツの中に射精した。
パンツの中に、熱い精液がこぼれ出した。
市井の手には、
大量の精液が浴びせ掛けられた。
市井は開いている右手を吊革から離すと、
矢口の右肩からスッと手を回した。
左手をパンツの中から出す。
そしてその左手も上へと持ってくる。
そしてその手を自分のの口に持っていき、
べっとりと付いた精液をゆっくりと舐め取る。
おおかた舐め終えると、
左手を矢口の左肩に回し、
胸元で自分の右手と組み合い、
優しく、強く、矢口の身体を抱きしめた。
そして耳元に、そっと囁きかけた。
「へ、ン、タ、イ。」
矢口の顔は一気に真っ赤になった。




IS THIS LOVE?』

「さやかぁ……。」
矢口の目はトロンとしている。
何がなんだかわからない心境なのではあるが。
堕ちてしまったのである。
矢口の肉棒は未だいきり立っていた。
市井の手を掴むと、
指先にしゃぶり付いた。
「もっと……。」
思いっきり甘えた声で、ねだる。
しかし市井はその手を制して、どけた。
「また後でね。今日仕事が終わったら、ココに来て。」
市井はポケットから紙切れを取り出すと、
矢口の手に握らせた。

丁度その時、
電車は止まった。
市井は無言で矢口の体から離れた。
矢口の顔は市井を追いかける。
しかし市井は、そのまま出口へ行き、
外へ出てしまった。
そして矢口の方を見て、
ニコッと笑い、手を振ると、
そのままどこかへ行ってしまった。
矢口は市井の後姿をずっと目で追っていた。
いつしか、電車は走り出し始めた。

矢口は市井に手渡された紙を見た。
『○×ホテル 1511室』
そう書かれていた。
都内にある高級ホテルである。
矢口はその紙を、大事そうにポケットにしまった。
そしてそのまま、電車の中の柱に、
ウンザリしたようによりかかった。
「さやか……。」
無意識のうちに、口から言葉がこぼれていた。




『TIME OVER』

仕事が終わると、
急ぎ足で矢口はホテルへ向かった。
今朝、市井にされた事をネタに、
オナニーしてしまいそうなのを、
必死に堪えていたのだ。
膨らむ股間を抑えながら、
なんとか矢口は指定されたホテルへ着いた。
エレベーターに乗り、15階へ向かう。
特大エレベータで直行だった。

15階に着くと、
矢口はエレベータから駆け下りた。
早く市井に会いたい、その一心だった。
11号室は、エレベータから出てすぐ、
右側に曲がりそのまま真っ直ぐ。
突き当たり近くにある部屋だった。
矢口はとにかく急いだ。
ごく短い距離が、ものすごく長く感じられた。

着いた。
1511号室。
間違いない。
この奥に、市井がいる。
そして、これから自分は市井と……。
そんな期待で頭がいっぱいになる。
矢口はドアをノックした。
……返事は無い。
「……さやか?」
矢口は呟いた。
もう1度ノックをする。
……返事はやはり、無い。
矢口はドアノブを握った。
そして、回す。
……鍵はかかっていない。
「紗耶香……。入るよ……。」
言いながら矢口は、扉を開いた。

扉を開いた矢口の目には、
ホテルの窓から、夜の都会を写しこんだ、
華麗な夜景が飛びこんだ。
なんともロマンティックな光景である。
一瞬矢口はそれに見とれる。
しかしすぐに、今はそれどころでは無い事に気付く。
(さやかぁ〜〜。)
矢口の股間は今にも爆発寸前なのだ。
「入るよ〜。」
矢口はゆっくりと、部屋の奥へ入って行った。

少しずつ、矢口の視界には、
ベッドが入ってきた。
大きなダブルベッドだ。
そしてベッドには、確かに女が横たわっている。
見たところ、裸のようだ。
なんとも市井の準備のいい事か、と思った。
「さ〜や〜か〜。……!!」
女の姿が完全に矢口の視界に入り、
それを認知した時、矢口は大変驚愕した。
ベッドの上には確かに裸の女が横たわっていた。
しかし、その女は市井ではなかったのだ。
市井にしては髪の毛の色が茶色すぎる。
今朝の市井の髪の毛は真っ黒だった。
それに少し長い。
体格事体は市井と同じ位だろうか。
しかし、市井にしては肉付きが良すぎる。
市井は手足がもう少し細かった気がする。
また、うつ伏せになって横たわっているため、
顔が良く見えない。
だが、どこかで見た事があるような気がする。
今ベッドに裸で横たわっている女は、
非常に見なれた姿であるような気がする。

女はゆっくりと顔を上げて矢口の方を見やった。
そして当然、矢口の目には、
その女の顔が映った。
少し垂れ目ぎみの左右の目は、
結構離れているか。
しかし全体的には整った感じで、美少女といえる。
一見大人びたようで、
だが良く見ると非常に愛嬌のある顔だ。
それは、確かに矢口が以前見た事がある、
いや、未だ毎日のように見ている顔だった。

女は虚ろな目で、矢口の目を見つめている。
よく見ると身体中汗まみれだ。
表情も、どこか疲れているようである。
ベッドのシーツもびしょ濡れだ。
あまりにも乱れた姿に、
矢口は女の顔を見ても、
それが誰なのかすぐにはわからなかった。
しかし少しの間を置いて、
矢口は女の正体を認知する。
同時に、勢い良く言葉が矢口の口から飛び出してきた。
「後藤!?」




『Just Place Of Love』

後藤は矢口の目を見つめたままゆっくりと口を開き言った。
「なんで矢口がココにいるの……?」
その声には、少し怒りがこもっているようにも感じられた。
矢口は言った。
「何故って……紗耶香に呼ばれ……。」
「ウソよ!!」
後藤に言葉を遮られる。
後藤が怒っていることが、
表情からハッキリと見て取れた。

矢口の考えには大きな疑問が浮かんでいる。
「後藤こそ……どうしてここに?
それにその格好……!!」
突然、ガンという鈍い音が脳味噌に直接入りこんできた。
後頭部に衝撃。
視界に星が散った。
何があったのかわからない。
そしてそのまま、何があったのかわからないまま、
矢口はベッドに向かって倒れこんだ。
――暗転。
そのまま意識を失った。




『sign of destiny』

「……んっ……。」
ゆっくりと、そしてうっすらと、矢口は瞳を開いた。
(痛っ……!)
激しい頭の痛みを覚える。
一瞬、何がなんだかわからない。
しかし、すぐに思い出す。
(私……誰かに殴られて……。)
少しずつ脳味噌が冷えてきた。

視界がゆっくりと開けてくる。
自分はどうやら椅子に座っているらしい。
(……縛られてる……。)
矢口の手は後ろ手に、
椅子にくくりつけられていた。
……動けない。
さらに自分の格好。
上には、今日着てきた白いブラジャーのみ。
下にも、今日履いてきた白いパンティのみ。
つまり、下着だけの格好なのであった。

ふと、前を見ると、
目の前には、ベッド。
(……?)
人間が二人、ベッドの上にいる。
よく目を凝らしてみてみる。
(……後藤……と紗耶香……?)
ベッドの上にいるのは、
確かに、後藤と市井のようだ。

市井は矢口の座っているのと平行に、
ちょうどこちらに体を向けて、
ベッドの上に座っている。
上には、黒いTシャツを着ている。
しかし下には、何もはいていないようだ。
足を大きく開いたその格好は、
まるで裏本でも見ているかのようだ。
そしてその股間に、
先ほど見た後藤が、裸で、
顔をうずめている。
市井の大事な部分は、
後藤の頭で、よく見えない。

市井が矢口に気が付いたようだ。
矢口のほうを見やる。
その表情は冷たい。
そして、少し上唇を上げて、
意地悪そうに、言った。
「矢口……気が付いたんだ。」
「……。」
矢口は何も言えなかった。
市井のそのしゃべり方に、
何故だか恐怖感を抱いた。

「後藤。辞めな。」
市井はそう言って、
後藤の頭に手を当てると、
自分の股間から離した。
後藤の頭で見えていなかった市井の股間が、
矢口の目に飛び込んでくる。
「……!!」
矢口は大きく目を見開いた。
驚きから、である。
市井の股間には、立派な男性器が備わっていた。

市井はまた、意地悪そうに言った。
「チンポ生えてんのは矢口だけじゃないんだよ。」
市井の言った意味が、
よくわからなかった。
しかし、市井の股間には、
確かに男性器が存在することだけを、
矢口は強制的に認識した。
「ん……。」
同じくして、矢口の男根は、
条件反射のように勃起した。
何の前触れもなく、勢いよく。
亀頭の先が、パンツの全面に引っかかって、
少し苦しい。

自分の目の前で、
市井と後藤が、なにやらいやらしいことをしていたのだ。
よくは見えなかったが、
後藤が市井にフェラをしていたのだろう。
矢口はそんな光景を一瞬想像してしまったのだ。
それが、股間に形となって表れた。

市井は、目ざとくそれに目をつける。
「あは。勃っちゃったんだ。
市井と後藤がやってんの見て、勃っちゃったんだ。」
市井の口調は、さも子供をしずる様に、
嫌味ったらしかった。
やっと矢口は口を開く。
神妙な顔で。
なるべく自身が劣情を催していることを、
声には出さないように、気を付けて。
既にそんな事をしても無駄であることは、
股間の男根が証明しているのだが。
「紗耶香……どうして……。」
どうして、の後に何を続けたかったのか。
どうして男根が生えているのか、ということか。
あるいは、
どうして後藤とこんなことをしているのか、ということか。

「どうして、じゃないわよ。」
市井は今度は、冷たい口調ではき捨てるように言う。
「そんなチンポギンギンに勃たせちゃってさ。
体縛られて手足どこも自由が利かないってのに。
チンポだけは活動的でさ。
バッカじゃないの?サルじゃあるまいし。
挙句の果てに『紗耶香……どうして……。』
なんてさ。チンポザルのくせに、いきがっちゃって。」
セリフの途中から、市井の表情には少しずつ、
嘲笑が混ざってきたように見えたのを、矢口は感じた。
しかし、市井にいくら何を言われようとも仕方がない。
この状況で勃起するな、と言うのは、実際無理な話だ。
それでなくても、後藤真希のフェラシーンを見たようなものなのだから。

「まぁいいわ。
矢口はとりあえずソコで見てなさい。
いいもの見せてあげるから。」
そう言うと市井は、今度は矢口とは垂直の方向へ、
つまり90度体の向きを変えた。
そして無言で後藤の頭を手繰り寄せ、
自分の股間へ押しつける。
後藤は、何も言わずとも、
さも心得た様子で、
黙って市井の男根を咥えた。

「後藤。矢口によく見えるようにね。」
市井がそう言うと、
後藤は頷き、そして、顔を上下させ始めた。
後藤の唇の中を、市井の男根が、
何回も行き来する。
柔らかい唇の感触が、
市井の男根を優しく刺激しているのだろう。
矢口は、そんな感触を想像すると、
居ても立ってもいられなくなってきていた。
既に亀頭の先からはかなりの量のカウパー液が出てきているのがわかる。
矢口のパンツの全面は、
おもいっきり湿っているのが、僅かに見て取られる。
少しすると、後藤は市井の男根から、
少し口を離すと、
今度は亀頭を下で嘗めまわした。
滑らかな動きで、満遍なく先を転がしてゆく。
次第に嘗める個所は下へと下がって聞き、
全体全体を、あます所なく刺激する。
やがて再び、口全体で男根を咥えこむ。
深く、深く咥えこみ、顔を上下させる。
矢口はそんな様子を見て、
ただただ興奮するばかりであった。
そしていつのまにか、
自然に自分の腰を上下させていた。

縛られている体制では、
自分で触ることもできない。
しかし目の前で繰り広げられる光景。
もはや、黙って見ていられるものではなかった。
せめて少しの刺激を与えようと、
少しだけ腰を椅子から浮かせては、
戻し、浮かせては、戻し、する。
すると、パンツと亀頭が擦れあい、
僅かながら刺激が与えられるのだ。
しかし、如何せん刺激が弱すぎる。
逝く事が、できない。

「ぁぁ……さやかぁ……。」
矢口の口から、なめまかしい声が漏れる。
市井はそれに気付いているのだが、
わざとそれを無視する。
矢口の腰の動きは、次第に速くなり、
椅子の軋む音が、キィキィと部屋に響くが、
それでも、市井の構う所ではない。
「さやかぁ……。
おねがい……。イカせてぇ……。」
矢口は言った。
得に考えて言ったわけではない。
自然に出てきた言葉なのだ。
冷静だったら、18歳の矢口には、
決して言えるものではなかった。

その言葉を聞いて市井は、
ニヤッと口元を緩ませた。
また、何か悪巧みを考え出したような、そんな顔だった。
「後藤。もういいよ。」
言うと後藤は市井の男根から、
三度口を離した。
後藤の唾液と市井の先走り液が混じったような感じで、
つぅっと男根から口元へ糸をひく。

市井はベッドから立ちあがった。
そのまま矢口の座るいすの方まで歩いてきた。
そして、矢口の顔を覗き込んで、
目を見つめて、茶化すような表情で言った。
「いきたいの?」
矢口は、素早くブンブンと首を縦に振った。
市井はそれを見て、
嬉しそうな表情を浮かべる。
「ふーん。スケベ矢口は、
目の前で起こってるフェラシーンに我慢できなくて、
すぐにでもいっちゃいたいんだぁ。」
そう言う市井の姿が、
矢口には本気で悪魔に見えた。

「いいこと考えたんだ。」
市井は嬉しそうに言った。
市井は、スタスタとクローゼットの方へ向かう。
クローゼットを開けて、
中からカバンを取り出した。
恐らく、本人のカバンなのだろう。
カバンの中へ、手を突っ込む。
ガサゴソと中身を漁る。
そうしながら、
首を矢口のほうに向け、
ニッコリ笑って、言った。
「矢口。死んだらゴメンね。」
その表情はとても嬉しそうだった。




sure』

市井は自分のカバンをゴソゴソと漁ると、
中から何かを取り出した。
矢口からは、遠くてそれが何なのか見えない。
やがて市井は、
それを両手に持って、
矢口のほうに歩み寄ってきた。
そして、後藤のほうを見て、言う。
「ほどいてあげて。」
後藤は頷く。
「わかった。」
そう言うと後藤はベッドから立ちあがり、
矢口の座る椅子の後ろへ回った。
そして乱暴に縄を解く。
その間に市井は、
両手に持っていた何かを、
ベッドの上においた。

「さやか……?」
矢口は座ったままきょとんとしている。
そこへ市井はゆっくりと近づく。
腕を肩から回しこむ。
「さやかぁ……。」
矢口は甘えた声を出す。
これほどひどい目に会わされても、
市井の腕に抱かれると、
何故か安心してしまう。
そんな心に戸惑うことでさえ、
今の矢口は忘れていた。

「!!」
突如、市井は腕全体を使って矢口の首をしめると、
そのままベッドの方向へブン投げた。
いわゆる首投げだ。
矢口は思いっきりベッドに叩き付けられる。
あまりに突然のことに、
痛みを感じることさえも忘れる。
倒れ込んだ所から起き上がろうとしながら、言う。
「っ……!な、何を……!!」
矢口が起き上がるより早く、
後藤が矢口の上に倒れ掛かってきた。
「ぐぇ!」
重い。後藤にボディプレスを食らって、重くないはずがない。

そのまま後藤は矢口の両手を押さえつける。
少し体を浮かせると、
矢口の視界には後藤の腰より上全てが映る。
矢口は口を開き何かを言おうとする。
しかしそれよりやや早く市井の声。
「後藤、おさえといてよ。」
その声に反応してか、
後藤が矢口を抑える力が少し強まる。
矢口は必死に両手を動かし抵抗するが、
後藤の力に叶わない。

「んっ……。」
矢口はふいに自分の股間に変な感触を感じる。
誰かの手。
極限状態の矢口は、
かなり感じてしまう。
「ぁぁ……。」
しかしそんな快楽もすぐに終わってしまった。
「んぐるっ・……。」
自分の男根に痛みを感じる。
何か、締めつけられるような。
矢口は精一杯首を曲げ、
自分の股間を見やる。
やがて、何があったのか理解する。
(ちんちん縛られた……。)
矢口の男根の根元には、
ヘアゴムがきつく縛りつけられていた。

「そう簡単にいかれたら困るからね……。」
そう言う市井の声が聞こえる。
後藤の体に視界をほとんど塞がれ何も見えないのだが。
しかし、右腕に後藤の手とは別の何かの感触を感じる。
恐らく、市井の手だろう。
市井は、矢口の手を掴むと、
ベッドの上に方へ導く。
「何を……。」
矢口は言った。
「大人しくしてもらわなきゃね……。」
腕に、何やら圧迫感を感じた。
何が起こっているのか理解できないままだった。

少し経った。
矢口は後ろ手を、
ベッドの頭の部分の枠に縛られていた。
先ほどの椅子とは違い、
ベッドに縛られているのだ。
そして男根の根元には、
同じくキツくヘアゴムが巻かれ縛られていた。
矢口の頭の中は、
既に正常ではなかった。
矢口の顔からは表情が消えている。
トロンとした目つきで、
どこを見ているのかもわからない。
そんな矢口の様子を、
市井と後藤は楽しそうに見つめていた。

矢口を愉快そうに眺めている市井は言った。
「矢口にいいものあげるよ。」
矢口は無言で市井の方に顔を向ける。
市井のかざす左手には、
何やら棒状の物。
「何だかわかる?」
市井は言った。
矢口は無言で首を振る。
もはや物質認知の機能すらあやしい。
市井はなおも楽しそうに、言った。
「最近筋肉痛ひどくてさぁ。
コレ手放せないんだよね。アンメルツヨコヨコ。」
相変わらず矢口にはその言葉の意図が汲めなかった。




『パピヨン』


市井の言っていることの意味がわからない。
何の事を言っているのかわからない。
しかしただ矢口の心の中に漠然と会った感情は、恐怖。
「後藤。パンツ脱がせて。」
そう言うと後藤は無言で頷き、
矢口の元へ歩み寄る。
ベッドの上に乗っかり、
矢口の足元に座りこむ。
乱暴にパンツに手を掛ける。
矢口は抵抗する気力すら失っている。
スルッとパンツが脱がされると、
相変わらず大きい男根が、姿を表した。
カウパー液がパンツから伝い、糸を引いている。

「いいことしてあげる。」
いつの間にか市井は矢口の足元へ座りこんでいた。
おもむろに市井は左手で矢口の男根を掴む。
「ふぁぁぁっ!!」
矢口の口からは本能的に、大きな声が出る。
恐怖と、また同時に快楽にうずもれた声は、
なんとも不思議ないやらしさを醸し出していた。
市井の左手の力は、ひたすら強い。
市井の右手にはアンメルツが握られている。
そして市井は、それを矢口の肉棒へゆっくりと近づける。
矢口はアンメルツの先端を不安そうな表情で見つめている。
これが自分の肉棒に触れると、
果たしてどうなるのか。
混乱している矢口には予想が付かない。

アンメルツの先端が、矢口の亀頭に触れた。
冷たい液体が、僅かながら流れ出し、伝う。
「ひぁぁぁっっ!!」
矢口はまたも大声を上げた。
先ほどよりは、悲鳴に近い感じか。
味わう感覚は、何なのであろうか、判断が難しい。
ただとにかく、異常に鋭敏な感覚である。
液体は瞬間的に乾き、
矢口から一気に体温を奪う。
そしてその衝撃は、確実に矢口を狂わせてゆく。

市井はそんな矢口の様子を、
未だ、本当に楽しそうに眺めていた。
まるで、子猫を虐めているかのごとく。
「ほら……気持ちいいでしょ……?」
「ふぁぁぁぁぁっっっ……!!」
市井は言いながらアンメルツの先で、
矢口の亀頭をグリグリ弄る。
その動く範囲は、亀頭に留まらず、
男根全体、根元から先まで、
まんべんなく広がってゆく。
いちいち与えられる強い刺激により矢口は、
なおのこと苦悶の表情を浮かべ、声をあげる。
そんな仕草が、なおのこと市井を悦ばせる。

「ひぃぃっ!ひぁぁぃっっ!!」
――快感。
矢口にとってそれは確かに快感だった。
アンメルツを肉棒に押し付けられ、
無理矢理にこね繰り回され、弄ばれる。
何よりも苦しく、何よりも辛く、
そして何よりも気持ち良かった。
「ホラ……もっと鳴いて……。」
市井の声に、ただあても無く従っていた。

「さやかぁ……。」
矢口は市井の顔を見つめて、ねだる顔つきをした。
矢口の願いは今、ひとつだけだった。
――射精したい。
ただそれだけだった。
先ほどからキツく男根に縛りつけられたヘアゴム。
これによって、矢口の射精感は無理矢理に抑え付けられていた。
既に矢口は九割方正気を失っている。
残るのは、本能による、射精欲のみであった。

市井はそんな矢口の考えを、すぐに察した。
そしてそんな市井が、
素直に矢口を逝かせるはずも無い。
当然市井は、別の責め方に転向することを思い立つ。
市井は左手を矢口の肉棒から離すと、
右手に持ったアンメルツのフタに手をやった。
そしてそれを素早く回す。フタが開く。
中には、液体がまだ大量に入っている。
市井はニヤリと笑うと、
アンメルツの容器を、
矢口の肉棒の上で、ひっくりかえした。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
アンメルツの液体がこぼれ出す。
それはバシャッという音を立てて、
矢口の肉棒に降り注いだ。

「あひぃっ!ひぃっ!!ひぃぃっ!!」
矢口はただひたすら暴れる。
気持ちいいだとか気持ち悪いだとか、
そう言った感覚も無しに。
ただひたすら、暴れる。
「いやぁぁぁっっ!!あぁぁぁぁぁっっっ!!」
体中を反らせて、跳ね回る。
両手をベッドに縛られていなかったら、
一体どうなっていたのか。
とにかくものすごい勢いで暴れる。
体重は軽めのはずの矢口の体から発せられたものとは思えないほどの、
重い、ドシン、ドシンと言う音が、
部屋中に響く。

矢口の足が、
市井の顔を蹴った。
市井は眉ひとつ動かさない。
「あはは。もうおかしくなっちゃってるんだね。」
市井はそう言うと立ちあがり、
後藤に視線をやった。
矢口は暴れ続けているが、
構わず、そちらを見ない。
「じゃ、とりあえずこのバカはほっといて、
やろっか。」
市井はそう言うと、
後藤は嬉しそうに頷いた。
「さやかぁぁぁぁ!!」
矢口が言うのを、
市井は無視する。
市井はそのまま、後藤を押し倒す。
ドシンという音が聞こえる。
矢口にはその様が見えないが、
すぐに、後藤の喘ぎ声が聞こえてきた。
――放置。

「ぁぁぁぁぁ……。」
矢口は切なげな声をあげた。
相変わらず、腰は激しく暴れまわっているが、
肝心の部分に物理的刺激を与える要素は何ひとつとして無い。
「いちいちゃん……あぁ……。」
「後藤……。」
矢口の耳に、そんな二人の言葉が入り込んできた。
矢口の頬を、涙が伝っていた。




lovers』

市井は横たわる後藤の上に覆い被さると、
右手を後藤の首の後ろに回し、
左手で後藤の右手首を掴む。
そのまま、後藤の体を自らの体の近くまで抱き寄せ、キスをする。
「んっ……。」
「……。」
口付けをしたまま、二人の目が合う。
互いに大きく目を開き、見詰め合う。
そのまま流れる時間は、
1秒1秒が、まるで永遠の長さにも感じられるほどだった。
しかし少し経って、
二人の唇は離れる。
ぷはぁ、と、互いに息が漏れる。

「市井ちゃん……。」
後藤は言うと、両手を市井の首の後ろに回そうとする。
市井に掴まれた右手は、
流れるように解放される。
市井は余った左手も、
後藤の頭の後ろに回した。
二人はゆるく抱き合う。
後藤の舌は市井の顔を、
市井の舌は後藤の顔を、
互いに満遍なく嘗めまわす。
その姿は、まるで互いに温もりを求め、
嘗めあう犬の親子の用だった。
「後藤……。」
市井の左手は、徐々に下へと下がって行く。
後藤の背中を優しくさすると、
後藤は安心したような表情を浮かべる。
そんな後藤の顔を見ると市井は、
心から癒されることを感じる。

市井は、その左手を、
さらに下へ回した。
後藤の尻へ手が行くと、
その肉を掴み、ゆっくりとこねくり回す。
「あんっ……。」
後藤が声を漏らす。
その声に、市井は完全に欲情したのか、
突然目つきを鋭くさせる。
今度は速く、後藤の尻を撫で回す。
「ぁぁぁ……。」
後藤が切なげな声を漏らす。
先ほどから後ろのほうで、
矢口が何か騒いでいるが、無視する。
市井はガサゴソと手を動かした。
「んんっ!」
後藤が突然、驚いたような声をあげる。
市井が後藤の肛門に、
人差し指を突っ込んだのだ。
ズブズブと市井の指は、
後藤の肛門の奥へと入り込んでゆく。
それに合わせて、
後藤は切なげな声を断続的に出しつづける。
「ぁぁ……。イイ……。」

後藤の態度といったら、
もう慣れたものだ。
自らに、いくらそれほど太くは無い女の指とは言え、
それが第二関節のあたりまで、ズッポリ入っているにも関わらず、
戸惑った様子や、苦しそうな様子は見せない。
むしろ、楽しんでいる。
快楽に、全てをうずもれさせている。
市井は、そんな後藤の姿に、
いささかの物足りなさを感じていた。
性的に、物足りなさを感じるところがあった。




『追憶のマーメイド』

それは半年以上前のことだ。
事務所の社長室。
社長は市井に言う。
「その体では……もう辞めてもらうしかないな。」
「はい……。」
「すまないが、仕方ないことだ。
男をモーニング娘。のメンバーにしておくわけにはいかない。」
「……。」
それは事実上の解雇通告だった。

市井は自分がモーニング娘。を辞めることを、
まず後藤に告白することにした。
自分の部屋に呼び寄せる。
後藤はまた何か、別の期待をしていたようだが。
市井は唐突に言った。
「後藤……。
私、娘。辞めることになった。」
突然言った割に、後藤は驚いた表情を見せなかった。
「なんで?」
市井は黙ってズボンとパンツを脱いだ。
後藤はそれを見て、すべてを理解した。
「そっか……。
でも、これからも会えるんでしょ?
だったらいいじゃない。
それよりも……。」
後藤の表情は、光惚していた。
「んっ……!」
後藤は、市井の男根を力強く握る。
「せっかくあるんだから、使わなきゃ。」
例えTVカメラの前でも見せないほどの、
かわいい顔で、後藤は市井の顔を見ながら微笑んだ。




Believe in you』

なんだかんだ言って、飽きたのである。
清純でない女に。
市井自身の欲望としては、
まだ経験不足で清純だった、後藤真希とやりたいのである。
少なくても一年前の後藤は、
肛門に指を突っ込まれてよがったりはしなかった。
綺麗なものを汚す。
そんな、背徳的な行為にこそ、
市井は悦びを感じるような気がしていた。
そして今朝、偶然見かけた矢口に、
ちょっとだけかましたいたずら。
矢口に自分と同じように男根があることは意外だった。
しかしそんなことよりも、
自分に責められている矢口の反応。
まだ性的経験に乏しい人間の見せる、恥じらい。
そして抵抗力の無さ。
市井は久々に興奮したのだった。
――虐めたい。
そんな欲求が、興奮が、市井に降り注いだ。
そして矢口を、ホテルへと呼び出したのだ。

「っ……。」
市井は苛立った様子で、
なおのこと指を激しく上下させる。
後藤の尻の中の柔らかい肉の感触が、
なんとも不思議な感じだ。
体中のどこの肉よりも柔らかいのではないかと思えるほどである。
「ぁぁ……。気持ちいいよぉ……。」
後藤の声は、まるで15歳の中学生とは思えないほど、いやらしい。
「後藤ッ……!」
市井の口から言葉がこぼれる。
そして後藤はそれに呼応し、口を開いた。
「……市井ちゃんってさ……。
お尻に指突っ込むの好きだよね……。」
あからさまな指摘をされて、
一瞬市井は顔が赤くなるのを感じた。
しかしそれを、何とかして抑え付ける。
しかし市井が動揺しているのは後藤の目にも明らかだった。
「ま、まぁね……。」
少しどもる。
間髪を入れずに後藤は言った。
「矢口もそうやってイジったんだ?」
市井の顔がこわばる。
改めて後藤を見つめる。
後藤はいつになく真剣な顔をしている。

やはり、怒っているのである。
今日は、矢口よりも先に、
後藤と会う約束があったのだ。
市井としては、
後藤も矢口もいいようにしたいと考えていたのだが、
やはりそう上手くはいかないのである。
女として後藤がそんなことを許すはずも無かった。
先ほど矢口が部屋に来てからずっと、
後藤は機嫌が悪い。




『BREAK IN2 THE NITE』

「後藤っ……!」
「市井ちゃんは本当にアタシのこと好きなの?」
市井は焦った。
何故だかわからないが焦った。
後藤の質問の先には、
何かとても恐ろしいものが待っているような気がしていた。
このままでは、何もかもすべてが壊れてしまうような、
そんな感覚に捕われていた。
「市井ちゃんはアタシのこと好きなんじゃなく、
ただヤリたいだけなんじゃ……ンッ!!」
言いかけた後藤に市井は唐突に口付けた。
言葉をさえぎるためだけのそのキスには、
愛情というものは、あんまり入っていなかった。

「んふっ……ん……。」
「……。」
そのまま強引に市井は後藤に覆い被さった。
左手の指を肛門から抜き去る。
そのまま左手は己の肉棒をつかみ、
後藤の肛門へと導く。
市井の亀頭の先が、後藤の肛門の入り口へと触れる。
市井はなんとも言えない感触を味わう。
そしてそのままゆっくりと、
腰を前へと突き出した。
肉棒はゆっくりと後藤の肛門の中へと入っていった。
後藤が何か声を出そうとしているが、
市井の唇に抑え付けられ、
叶わず、ただ、んー、んーという声にならない声だけが辺りへ響く。

市井は後藤の顔を見た。
あまりの至近距離に、
全体を捉えることはできず、
市井の目の前には後藤の目が在った。
そのまま目が合い、
二人は見詰め合ったままになる。
やがて、後藤の肛門が完全に市井の男根を飲み込む。
肉が、男根の根元を締め付ける。
しかし根本の締め付けの強さの割に、
亀頭の辺りに加わる力はいささか弱く、
なんとももどかしい。
しかし市井は構わずに、
腰を前後させた。はじめから、激しく。
「んぁっ……。」
「ハァ……ハァ……。」
互いの唇、そして顔は離れた。
市井は思う存分に、腰を動かした。
不安から逃げるかのように。
苛立ちを開放するかのように。

「あぁっ!……あっ!あっ!
……んっ!うぅんっ!!あっ!」
後藤はやがて激しい喘ぎ声を出す。
光惚した表情を浮かべている。
肉棒の根本から亀頭の先までに、
まばらな刺激が与えられる。
やはり快楽に身をうずめることは、避けようが無い。
市井は思いっきり、感じていた.
「あぁっ……っ!……っ!」
「イィッ!!アァッ!もっと!もっとぉ!!」
二人の腰の動きはいっそうに激しくなる。
肛門の入り口の部分のすぼまりが、
市井の男根の根本を攻め立てる。
「市井ちゃん!!あぁぁぁ!!」

「後藤っ!!……出す……よ……ッ!!」
市井は腰を最大限に振り動かす。
「ぁぁ……出して……ッ!
市井ちゃんの……後藤のお尻に出して……ッ!!」
体の中を強烈な射精感がこみ上げてくる。
肉棒の根本から先端まで、
何かが上ってきた感触がしたかと思うと、
それは先のほうで一瞬止まり、
そして直ちに、後藤の肛門の中へと発射された。
「!!」
「ぁ……。」
生暖かい感触が、
尻の中中に広がった。
後藤の顔は、快楽に埋もれきったように、
目は閉じ、口は大きく開いている。
市井はといえば、射精からか、
強烈な脱力感に教われている。
「……後藤。」
「市井ちゃん……。」
市井は後藤の頭を再び抱き寄せ口付けた。
思いっきり逝った後なのに、
何故かスッキリしていなかった。
ただ、自分が後藤を愛していることだけは、確認した気がしていた。




SweetHeart』

「ひぁぁぁっ!!ひぃぃぃぃっ!!」
矢口は相変わらずもだえていた。
付かれることも忘れて、
ドタドタ暴れまわっていた。
亀頭の先からは大量の先走りが出ていた。
もはや矢口の腹部は、
零れ落ちたそれでいっぱいになり、ヌルヌルである。
先ほどから行われていた、
市井と後藤の行為は、
視界に入っていなかった。
しかし後藤の喘ぎ声は充分聞こえていたし、
矢口の想像を掻き立てるには十分であった。

後藤との行為を終えた市井が、
立ち上がったらしく、
寝そべる矢口の視界に入った。
市井は矢口の顔を見ている。
矢口は口を開いた。
「お願いっ!紗耶香ぁ!
オナニーさせて!オナニーさせてよぉっ!!」
それはとても18歳の女の口から出てくる台詞ではなかった。
しかし今の矢口は、
何を構っている暇も無かった。
とにかく射精したくて、夢中になっていた。
矢口の瞳からは、
激しく涙が伝っていた。
「ヒック……。オナニィさせてぇぇ……。死んじゃうよぉ……。」
言いながら矢口は激しく腰を振っている。
しかし矢口の肉棒に物理的刺激が与えられることは、無い。

「そんなに出したいんだ?」
市井は矢口の目を見ながら、
冷たく言った。
「おねがいっ!!コレ解いてっ!!
オナニーっ!!オナニーさせてっ!!」
矢口は思いっきり首を縦に振りながら言う。
「……わかった。
じゃあ市井が抜いてやるよ。」
その言葉を聞いた瞬間、
矢口の顔にぱぁっと嬉しそうな表情が広がった。
「ぁぁ……紗耶香ぁ……。」
散々焦らされて、放置されて、
もはや我慢の限界が来ていた。
しかしやっと、射精できる。
しかも紗耶香の手で、
紗耶香が抜いてくれる。
そう思っただけで、矢口は心底嬉しかった。
胸いっぱいに期待が広がった。
しかし、それはすぐに遮られた。

「待って!」
後藤の声がした。後藤も立ちあがり、
矢口の視線に入った。
いつに無く真剣な表情をしている。
市井は後藤を見た。
二人の目が互いに合っている。
二人とも、真剣な、
しかしとても機嫌悪そうな顔で、
見合っている。
やがて後藤は口を開いた。
「後藤がやるよ。
市井ちゃんは引っ込んでて。」
その言葉を聞いた市井は、
何か言いたそうな顔をした。
しかし後藤の表情が、
それさえも遮った。
「……。」
市井は無言で頷いた。
そして、どこか矢口の視界の外へ、消えた。

矢口にしてみれば、どうでも良かった。
今はただ、射精したくて仕方なかったのだ。
市井が後藤に変わろうが、射精できれば良かった。
できれば後藤より市井の方が良かったが、
贅沢はいってられなかった。
「後藤……。……して……。」
矢口は言った。
後藤は冷たい表情で、矢口を見下ろした。
それは嫉妬にまみれた表情であることに、
矢口は気がつかなかった。
何故後藤が機嫌が悪そうなのか、
少しだけ不思議だった。




feel like dance』

後藤は矢口の上に覆い被さった。
矢口の腕は相変わらず縛られたままなので、
なすがままだ。
「後藤……。」
矢口は言うが、後藤は無言だ。
そのまま強引に、口付けられた。
「ん……ふぅっ……。」
息苦しい。
しかし、それでも矢口は、
後藤の唇の感触に、埋もれていた。

亀頭の先が、
少し後藤の体に触れているだけで、
もう逝きそうだった。
ヘアゴムで縛られていなければ、
既に逝っていたかもしれない。
それほどまでに、矢口の肉棒は、
大変な事態になっていた。
(後藤……すごい……。)
矢口の目は、トロンとしていた。
体中に与えられる刺激が、
どれもひとつひとつ、
信じられないくらい強かった。

「プハッ……。」
後藤と唇が離れて、
思わず声が出る。
しかし依然として後藤は無言のままだ。
そしてそのまま、
体を下の方へとスライドさせた。
後藤が始めて口を開いた。
「市井ちゃん、バイブ借りるよ?」
すぐに遠くから市井の、
いいよ、と言う声が聞こえた。
後藤はベッドの下の方においてあったらしい、
バイブを手につかんだようだ。
矢口には見えていないが。

「後藤……?何を……ふぁっ!!」
矢口は言おうとしたが突然、
自分の肛門に不思議な感触を味わった。
異物が、グイグイと押しこまれてきている。
「ぁぁっ・…うぅ……。
ご、後藤……。い、痛いよ……。」
構わず後藤はバイブを矢口の肛門へ突っ込む。
「ぁ……ぁぁぁ……。」
気持ち良い、とかそれどころでは無い。痛い。
「ダ、ダメだって後藤……!!
そんな太いの……入らな……あぁぁ・・…!!」
ある程度矢口の肛門がバイブを飲み込んだところで、
スイッチが入ったらしい。
バイブは微妙な機械音を建てて、振動を始めた。
「あぁっ!!あっ!!ぁぁぁぅぅぅっ!!」

「バカ矢口……。」
後藤はそういうと、
自信の上半身を矢口の股間に寄せた。
矢口の肉棒を右手で掴むと、
たぐり寄せ、自分の胸の間にあてがった。
左手で胸を寄せ、挟む。
「うぁぁぁっっ……!」
矢口の肉棒に、柔らかい感触が覆い被さる。
後藤の張りのある胸が、
矢口の肉棒を優しく包み込んだ。
「ご、後藤ッ……!」
矢口は言った。
首を精一杯曲げて、
自分の股間の方をみると、
後藤の胸に、自分の肉棒が挟まれている。
そんないやらしい光景を見て、
ますます興奮してしまったのか、
ますます矢口の肉棒はパンパンに腫れ上がる。

「ほどいてあげるよ。」
そういうと後藤は、
自分の胸の間に手を突っ込み、まさぐった。
矢口の肉棒に、いちいち刺激が与えられる。
「あぁっ!ぁぁっ!!」
後藤は矢口の肉棒の根本を手探りで見つけだすと、
巻き付いているヘアゴムに手を引っかけ、
肉棒の先の方へと引っ張り上げた。
そのまま後藤は、
矢口から漏れ出てきた先走り液でヌルヌルになった胸を使って、
ゆっくりと矢口の肉棒をこすった。
「後藤の……胸……気持ちいいよぉ……。ぁぁ……感じちゃうよぉ……。」
矢口がそう言うと、何故か後藤はムッとしたような顔をした。
しかし矢口はそれに気づかずに、よがっている。
後藤は、ギュッと力を入れて、思いっきり強く、
両手を自分の胸にあてがい、
先ほどよりも強く、矢口の肉棒をこすった。
「あぁ!!あぁっ!!ダメぇっ……!イッちゃうよぉ……!」
矢口の体を、何かが駆け上がってきた。
肉棒の先に、一瞬白いものが見えたかと思うと、
それは一気に、飛び出した。
「ぁぁぁっ……ぁぁ……っ……!」
ものすごい勢いで発射された精液は、
一度、二度、三度、四度ほどの波となって、飛び交った。
矢口の顔は、自身の精液が大量にかかり、
見るからにベトベトになってしまった。
「……はぁ……はぁ……。」
顔を流れる精液が、口の中に入ってきて、
少し苦かった。しかしそれどころではなかった。




『A SONG FOR YOU』

「楽しそうなことしてんじゃん。」
市井の声が聞こえた。
いつの間にか後藤の背後に回っていたらしい。
市井は、後藤に後ろ手に抱きついた。
「……後藤だってヤリたいんでしょ?」
そう耳元で、わざと矢口に聞こえるくらいの声で囁いた。
「……。」
矢口はそんな二人のやりとりをただじっと見ていた。
「あ、そっか。」
市井は後藤の胸の谷間の間に手を突っ込むと、
そのまま奥にある矢口の肛門へ手をやった。
「こんなもんまだ刺さってるんだよねぇ。」
言いながら、矢口の肛門に刺さったバイブの電源を切り、
グイグイと前後させいじった。
「ぁっ!」
「まだ感じてるんだ?イッたばっかりなのに。
……まぁいいや。後藤、ちょっと退いて。」
そう言って市井は後藤から離れた。
後藤は市井の指示に黙って従った。

「矢口のオマンコってどんな感じなの?」
そう言って市井は、
左手で矢口の肛門と男根の間をまさぐった。
「ぁっ……、ダメぇ……。」
ぬるっとした感触が、女性器の部分を覆っていた。
「うわ、なんなんだろねコレ。
我慢汁ってコレ、どっちから出たの?わけわかんないや。」
市井は、調子よく、矢口を責める。
「あぁぁ……ぁぁ……。」
市井は空いた方の手で、矢口の肛門に刺さったバイブに手をかけた。
「苦しいでしょ?抜いてあげる。」
市井は手加減無しに、思いっきり矢口の肛門からバイブを抜き取った。
「ひゃぁぁっ……。」

実際、気持ちよかった。
男性器を触られている快感とはまた違うもので、
それはどこかもどかしくはあったが、
肛門にバイブを出し入れされることも、
市井に女性器をいじくられることも、
矢口にとって確かな快感となっていた。
「入れるよ。」
市井は言った。
「ダ、ダメッ!!そっちだけはっ……!」
市井はそれを聞かずに、
自分の肉棒を左手を使って、
矢口の女性器へと導いた。
「はじめてなんだっけ?大丈夫だよ。すぐ慣れるから。」
矢口は自分の秘部に、堅い肉の固まりが押しつけられるのを感じた。
「……あ……あぁぁぁぁっっっ!!」
市井の肉棒はゆっくりと矢口の膣内に頭を突っ込ませてきた。
それが処女膜に遮られ、なかなか奥に入ってこられない。
「だ、だめっ!!痛いっ!痛いよ!!やめて!!」
矢口は激しく抵抗するが、市井に無理に押さえつけられる。
「黙ってな。」
市井は強く腰を押し出した。
そして、突き破った。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっぁぁぁぁぁっぅ!」
矢口は獣のような声をあげた。




ain't_afraid_to_die』

市井は、ゆっくりと腰を前後させはじめた。
「あぁぁうっぅっ!!あぁぁっ!!」
頭の中はパニックになり、気が狂いそうだったが、
市井はかまわず腰を動かし続けた。
「矢口、こっち勃ってるね……。」
市井は爪の先で、矢口の亀頭を軽く突いた。
「痛っ!!」
「……いいことしてあげるよ。」
そう言うと市井は、少し自らの腰を引いた。
矢口の腰に手を当てる。
「後ろ向いて……。」
矢口の腰を、回させた。
「ぅぅぅ……。」
回転時に市井の亀頭と膣がこすれあう感触が、
矢口には何ともいえないものとなっていた。
二人はそのまま、背面に入れる体制となった。
「動かすよ……。」
市井は再び腰を動かしはじめた。
「ぁぁっ!!ぁぁ……。」
矢口の口から思わず声がこぼれた。
「……感じてんだ?」
市井は矢口の体へ後ろから覆い被さり、耳元で言う。
「……ハァ……ハァ……。」
矢口はもはや言葉を発することも出来ない。
市井は少し速く、腰を動かしはじめた。
それに呼応して、矢口の声が激しくなる。
「アァァッ!アッ!アッ!アァッ!アッ!!」
「あぁ……矢口・……気持ちいいよ……。」
「ファァァッ!!」
市井は矢口の太股に手を回すと、
そのまま足を持ち上げ、抱え上げた。
矢口の膣に市井の肉棒が刺さったまま、
二人は座る体制になった。
「ハァ……ハァ……。矢口……。
ほら……。……見てごらん。……ハァ。
矢口のオマンコに……市井の……。
市井のちんちんが……入り込んでるの……。
見えるでしょ……?……ハァ……。」
矢口は自分の股間に目をやった。
まず肉棒が見える。
射精したばかりだというのに勢いよく勃起している。
先ほどの射精の残り汁と先走り汁とが混ざり合っている。
そしてその下の方では、わずかにではあるが、
市井の肉棒と矢口の膣の結合する様が、見て取られた。
「……紗耶香ぁ。……あぁっ。……うぐぅ。」
自分のいやらしい姿を見てしまったせいか、
矢口の肉棒はますますパンパンにふくれあがった。

「こっちも……してあげる……。
初めてだよ……。女の子の中に入れながら手でするなんて……。」
言うと市井は、矢口の肉棒を左手でギュゥと掴んだ。
「ぁぁぁぁぁ!!」
矢口に快感が走る。
市井は再び腰を動かしはじめた。
「あぁぁっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あぁっ!」
規則的な動きで、矢口の体は突き上げられる。
そしてそのたびに、市井の手と、
矢口の肉棒が擦れあい、両方の秘部に、
一度に刺激が与えられた。
「痛いっ!ぁぁっ!!」
矢口は喉が痛くなるほど大声で叫んだ。
ゲホッとむせかえしていしまい、声が出なくなる。
「ぐ……る……っ……!!」
市井はかまわず腰を上下させ、肉棒を擦った。

「るっ……!イク……っ!!」
矢口の体に限界が近づいてきていた。
肉棒を取り囲む快感が、矢口の理性を完全に飲み込みつつあった。
「あぁっ……オチンチンがぁっ!オチンチンがぁっ!すごいのぉっ!!」
既に、痛みは忘れていた。
大好きな紗耶香と、こんなにいやらしいことをしている。
そして、その紗耶香が、自分のちんちんを擦っている。
それだけで、痛みなんて忘れ去ってしまうほどだった。
「矢口……ぃ。オマンコは……?……オマンコは!?」
市井は言った。市井もかなり興奮しているようで、息が荒い。
「オマンコもぉ!オマンコも気持ちいいよぉっ!!
……あぁぁぁっ!!出るぅ!!チンチンから出るぅぅ!!」
「ん……い……私もっ……出すからっ……!」
市井の表情が快楽にゆがんだ。
瞬間、市井は矢口の肉棒を、さらに強く握って、
思いっきり動かした。
その拍子だった。
「あぁぁぁあっぁぁぁぁっ!!」
矢口の男根から、勢い良く、大量の精液が飛び出した。
本当に、ビュッ!ドビュッ!という音が聞こえた。
精液はそのまま、勢いよくベッドの上に飛んだ。
その光景が矢口からはよく見えて、何ともいやらしかった。
同時に、何か、電気のようなものが走った感覚がした。
乳首の先から、足や首の裏側辺りに、
何かがものすごいスピードで走り去ったような、そんな感覚。
それは紛れもない快感で、どれ程の言葉を使っても言い表せるものではなかった。
「ぁぁぁっ!」
市井の声。
そして、矢口は膣内に、何か温かいものを感じた。
市井が矢口の膣内に射精したのだ。
自分の体の中に、市井の精液が広がっていくのを感じた。
「紗耶香ぁぁぁぁっ!!」
矢口は言った。未だ、気力一杯だった。




FAKE STAR』

「紗耶香ぁ!!もっとしてぇ!!
もっとグチャグチャにしてぇぇっ!!」
矢口が思いっきり手を動かすと、いつの間にか縛られているロープはほどけていた。
矢口は市井に抱きついた。市井のティムポがゆっくりと矢口の膣から抜き取られた。
その時だった。
「随分楽しそうなことしてるんだね。」
聞いた覚えのあるセリフが、聞こえた。
後藤だ。ものすごく不機嫌そうに、言った。
「市井ちゃんも矢口も、勝手に何回も逝ってるみたいだけど。
私まだ逝ってないんだよね……。」
後藤の目を見て市井は言った。
「後藤……やっぱり怒ってる?」
矢口は言った。
「……怒ってる?」
後藤は言った。
「あたりまえだっ!!」
言うと後藤は、市井と矢口に倒れかかった。
強引に二人の男根を掴む。
「うわっ!ご、後藤!!何を!!」
「ほらっ市井ちゃんなによそのフニャチンは!
まだ16なのに一発出したぐらいで情けない!こんなの入るか!!」
「ご、後藤!!私二回目出したばっかりだから……!」
「るっさい!矢口じゃ勃って私じゃ勃たないって言うの!!」
「後藤がキレたー!」
「誰のせいだバカ矢口!ほら!あんたもチンポだせっ!」
後藤は矢口の男根に、思いっきり吸い付いた。
ひどく乱暴に、強く吸い上げる。
「や、やめてぇ!苦しいっ!!」
矢口が言うのを無視して、後藤は市井の男根を自分の膣に寄せる作業。
「ちょ、後藤……!少し休ませて……!」
「逝くぅー!」
矢口射精。後藤は矢口の精液を飲み干して、そして言った。
「今夜は寝れると思うなよ……。」
市井と矢口は青ざめた。

次の日、後藤と矢口は筋肉痛やら何かの疲れやらで、
仕事がろくに出来なかったのは言うまでもない。




stund up』

「あぁんっ!!あっ!!あっ!!イイッ!イッちゃう!!イッちゃうよぉ!!」
「り、梨華ぁ……!!」
矢口は後ろから石川を突いていた。
石川の腰に手を当て、自身の腰を激しく動かしていた。
その末に、矢口も石川も限界が来ようとしていた。
「あっ!あっ!あっ!あぁっ!」
「だ……出すよ……。」
「出してぇっ!矢口さんの熱いの、梨華の中にいっぱい出してぇっ!!」
「あぁぁっ!!」
矢口は肉棒の中を精液が勢いよく通り抜けるのを感じた。
膣内に、精液が一杯に広がった。
自身の肉棒を、温かい液体が包み込むのがわかる。
「ぁぁぁ……。」
石川は石川で逝ったらしく、脱力して倒れ込む。
「ぁぁ……。良かったですぅ〜……。」
石川はうっとりして言った。
「ふぅ……。」
矢口も、脱力感に襲われ、ベッドの上に座り込んだ。
「矢口さん……上手になりましたね……。」
寝っ転がったまま、石川は言った。
「あ……。うん。まぁね……。」
一月頃からずっと、矢口と石川はしょっちゅう、ヤッているのだ。
それなりの技術も身に付くという物。
「ところで……。」
石川は起きあがり、矢口の顔を見て、言った。
「何人ぐらいとエッチしたんですか?」
「え?」
「だからほら。百人としないとだめなんでしょ?」
「う、うーん……。」
「もう四ヶ月も経つわけですし。
当然二十人ぐらいとはしたんでしょ?」
「いや、それが……。」
「それが?」
「三人。」
「ハァ?」
顔が2chのアスキーアートになる石川。
「三人って……全然ダメじゃないですか!」
「だって……そんなそうそうにエッチなんてできないよ……。」
「うーん……。」
石川は散々考え込んだ末に、何かをひらめいたらしく、
矢口の耳元に顔を寄せて、囁いた。
矢口の顔が驚きに染まる。
「そ、そんなことするの……!?」
「それぐらいしないとダメですよ。」




君のためにできること』

TV曲の楽屋。待ち時間。
娘。達はそれぞれに語らいあっていた。
そして部屋の隅の机には、矢口と吉澤が座っていた。
「ねぇよっすぃ。」
矢口は言った。
「なんですか?」
吉澤が答える。
「よっすぃって幾つになったの?」
「歳ですか?十六歳ですよ。」
吉澤が言うと矢口は呟いた。
「十六歳か。聞くだけで勃起するわい。」
「……えっ?何か言いました。」
「ううん!なんでもないよ!そっかぁ十六歳かぁ……。」
いいながら矢口は立ち上がると、
ジュース買ってくるね、と言って、
スタスタと歩いていってしまった。
「……?」
このとき吉澤は、後に自分に降りかかる災難のことなど知るよっすぃも無かった。




save me』

「あれー矢口さーん?」
「矢口ぃー。」
「どこいったべか……?」
番組の収録が終わってすぐだった。
ミーティングをしようと、モーニング娘。は全員、
楽屋に集まっていたのだが、
矢口の姿がない。
「私、探してきます!」
と石川。
「よっすぃもついてきて!」
と吉澤を促す。
「あ、……わかった。」
吉澤も、ついノリで立ち上がる。
自身が地獄への階段を上っている最中だと言うことも知らずに。
二人は、楽屋を出た。


しばらく歩く。すると、T字路に出た。
「じゃ、私はこっち行くから、よっすぃはこっちね。」
石川は、半ば強引に、互いのルートを決める。
石川は右曲がり。吉澤は左曲がり。
「あ、うん……。」
何も言えないまま、石川に決められたルートを吉澤は進む。
しかし吉澤の行った先はすぐに突き当たりになり、
トイレ以外は何もなかった。
「……。あれ?こっちは何もないな……。
トイレか……。もしかしてトイレにいるのかな……。」
吉澤は、トイレの扉を開けた。
中には、小さくなってうずくまっている金髪の女の姿があった。
……矢口だ。
「矢口さん。こんなところに居たんですか……。」
あきれながら声をかけようとするが、止める。
矢口の肩が、小刻みにふるえている。
「矢口……さん?」
吉澤は改めて、矢口の肩に手を置く。
かすかな振動が体へと伝ってくる。
「矢口さん泣いてるんですか……?」
言うと矢口は振り向いた。
泣き顔で、矢口は吉澤を見た。


「矢口さん?一体どうしたんですか……?」
「よっすぃ〜。え〜ん……。」
矢口は吉澤の胸に飛び込んだ。
「……?ど、どうしたんですか?何か言ってくれないと……。」
矢口は答えた。
「私の身体……ヘンだよぉ……。」
矢口は吉澤を見上げて、言う。
「ヘン?ヘンって一体……?」
「ここじゃ恥ずかしいから、個室に……。」
矢口は吉澤の体から離れ、スタスタとトイレに歩き出した。
「……?」
吉澤もやむなく着いてゆく。
やがて二人が個室にはいると、
矢口はドアの鍵を閉め、吉澤を泣き顔で見つめながら言った。
「ヘンなのが生えてきたよぉ……。」
矢口は、ズボンとパンツを一気にずりおろした。
勢いよく勃起した男根が姿を現した。
「えっ!?」
吉澤の顔が驚きに歪んだ。
その一瞬、矢口が憎たらしくニヤリと笑ったのを、
吉澤は見逃していた。




Endless Sorrow』

「こ、これって……。」
「多分……ちんちん……。」
吉澤の顔が真っ赤になる。
そんな吉澤の顔を見て、思いっきりにやついてしまうのを、
矢口は必死にこらえる。
「なんで……。」
「わかんないよ……。」
矢口は吉澤の顔を見つめる。
明らかに困惑したその表情が、
妙な興奮を誘った。


「……よっすぃ。
ちょっとコレ……。
引っ張ってみて……。」
矢口は言った。何とも白々しいことだが、
吉澤は矢口が確信犯であることに、
気づく様子は全く無い。
「でも……。」
「お願いっ!」
矢口は吉澤の右腕を掴むと、
強引に自分の股間へたぐり寄せた。


「キャッ!!」
吉澤が悲鳴を上げるが、
かまわず押さえつける。
観念した吉澤は、矢口の肉棒を掴む。
「ぁっ……。」
今度は矢口が、声を上げてしまう。
「え、い……痛かったですか!?
ご、ごめんなさい!!」
吉澤の見当違いな質問に、矢口は笑いながら答える。「ううん……。大丈夫……。続けて……。」
矢口がそういうと、吉澤は意を決したように、
表情を真剣に整え、
そして、矢口の肉棒を、
力の限りに引っ張った。
「あぁぁぁっっ!!」


矢口の肉棒を、強烈な痛みが襲った。
そしてそれと同時に、
何とも言えない快感が押し迫ってきていた。
実際、市井達とのキツい体験以来、
矢口にとって、多少の痛みは快楽であった。
お陰で、亀頭の先には、
あっという間に先走り液がほとばしり、
吉澤の手はヌルヌルになってしまった。


「矢口さん……。なんか出てる……。
「ぁ……。」
反応を示せない矢口に、
どうにも吉澤は苛立ちを見せ始めていた。
そしてそれはすぐに、爆発した。
「やっぱりおかしいですよ!
とにかく誰か人を呼んできます!!」
吉澤はいきなり手を離すと、
個室のドアを開け、
スタスタ外へ出てしまった。
しかし、その行く先へ矢口は、
素早く走り込み、回り込む。
「ど、どうしたんですか……?」
吉澤は困惑する。
「……メなんだ……。」
矢口がボソッと呟く。
「えっ?なんですか?」
吉澤が聞き返そうとしたその時であった。
「ゴメン!!」
矢口は、勢いよく吉澤に突進すると、
そのまま勢いで、押し倒した。


「キャッ!な……嫌っ……!!」
吉澤の両腕を矢口が無理矢理に押さえつける。
「ハァ……。ハァ……。
ゴメンよっすぃ……。
ハァ……。もう……。
我慢できないんだ……。」
「ちょ、ちょっと!何を!!」
矢口は吉澤の体に馬乗りになると、
ズボンとパンツに手をかけ、ずりおろした。
吉澤の陰部が、あらわになった。
「イヤァァァァァッ!!」
吉澤は、精一杯、叫んだ。
「黙ってて!」
矢口は吉澤のズボンとパンツを完全にはぎ取ると、
パンツを手に取り、
吉澤の口に、無理矢理に突っ込んだ。
「んご……!んぐ……!んぐぅ……!ム……!」
吉澤は必死に暴れ回ったが、
それをうまいこと、矢口は押さえつけていた。
「すぐに終わるからっ!」
矢口の言葉が、吉澤の耳に届く。
吉澤の瞳から、大粒の涙が伝った。




通過駅とこの恋を呼ぶけれどね』

「!!」
吉澤は膣へと堅いモノが押しつけられるのを感じた。
「ぁ……ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
肉棒が、無理矢理に押し込まれてくる。
「ぐ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!」
吉澤は精一杯叫ぼうとするが、叶わない。
「ぁぁ……よっすぃ……。キツい……。ぁぁ……。」
言いながらも、
亀頭と肉の壁が無理矢理にすりつく感覚に、
矢口はうっとりとしている。
「が!がえぉぉ!!がぁぁ!!」
吉澤は必死に手を振り回そうとするが、
何故か力が入らない。
「あんまり濡れてないんだね……。
それにキッツイし……。これじゃ入らないよ……。
もっと力抜いて……。」
「んーー!!!」
しかし吉澤の力は益々増。
肉棒が滑って抜けそうになり、なかなか入らない。


「もう……。んんっっ!!!」
矢口は、更に気合いを入れ、
肉棒を強引に押し込もうとする。
すると矢口のカウパー液でヌルヌルになった膣に、
やっとのことで肉棒が頭を滑り込ませていった。
そして肉棒は、吉澤の処女膜を付きあげてゆく。
「ぁぁぁあl!!!らぁぁぁぁ!!!」
吉澤の叫びは、無視。
亀頭が膣の入り口膜を突っ張る。
それは柔らかい割に意外に強いのか、
なかなか破れない。
「……一気にいくからね。」
「らめぇぇーー!!」
矢口は、フン!とばかりに腰を少し引くと、
一気に突き出した。


「っがぁぁぁぁ!!!!!」
吉澤の顔が苦悶の表情に染まる。
目は思いっきり閉じられ、
口が、これでもかとばかりに開く。
その拍子に、詰め込まれたパンティが取れた。
急激に口が開放されたせいで、むせかえる。
吉澤は口が自由になったものの、
今更大胡麻植で助けを呼ぶ気には慣れなかった。
そして、そんな吉澤の思いはお構いなしに、
矢口の肉棒は吉澤の膜を突き破り、
一気に膣の奥へと進んでいった。
辺りに血が迸る。
「ぁぁ……。」
吉澤の顔と裏腹に、
矢口の顔は大変心地よさそうだった。


「いいよよっすぃ……。ぁぁ……。」
吉澤は首をブンブン振る。
痛みのあまり、声を出すことすら叶わない。
「動かすよ……。あぁ……気持ちいい……。
気持ちいいよよっすぃのオマンコ……。」
矢口は、バコバコ腰を突き動かした。
「ぁぁぁぁああああああ!!!!!」
「ハァ……ハァ……。」
腰は規則正しいリズムで動かされる。
そしてその拍子拍子ごとに、
吉澤の表情が段々と暗くなってゆく。
痛みにそろそろ慣れてきたせいか、
今、吉澤にとっては、
自分を襲う痛みよりも、
レイプされているという事実の方が、
重要な問題であった。
いつの間にか、涙は枯れていた。


「ぁぁ!!イク!イクよぉ!!」
矢口の腰を動かすスピードが上がる。
素早い動きが、吉澤の体を揺らす。
「ぐぅ……。」
殆ど声を出す気力もない吉澤は、
ただ、
矢口が早く逝ってくれることを願うばかりであった。
「ぁぁっっ!!!!」
吉澤の膣の中で、
矢口の肉棒がビクビクッと痙攣した。
かと思うと、吉澤は、
自分の膣の中に、熱い物が広がっていることを感じた。
精液が大量に、吉澤の中に放出された。
その波は、二度、三度に及び、
出ている量は、膣内射精のため見えなかったものの、
相当な量であることは間違いなかった。
射精の波が終わると、
矢口は一瞬体全体をブルルッと揺らすと、
肉棒を膣から抜きながら言った。
「……フゥ……。よかったよよっすぃ……。」
「……。」
吉澤は死人のような顔で、
その場に寝込んだまま、起きあがろうとしなかった。
 



『気付かずまた誰を』

「……ゴメンね。」
矢口は言うと立ち上がった。
トイレの個室へ行き、脱いであったズボンを履く。
吉澤は倒れたままだった。
天井を、虚ろな顔で見つめている。
焦点が定まっていない。
矢口は吉澤の足下にあるズボンとパンツを手に取る。
「履きなよ。」
「……。」
吉澤は反応を示さない。
「ねぇよっすぃ、」
「やめてください!」
吉澤は口以外を全く動かさずに言った。
「……。」
とうとう矢口は諦めて、
ズボンとパンツをその場に置くと、
そのまま外へ出ていってしまった。


矢口が出ていくと、 トイレには吉澤一人が取り残された。
しばらく、放心して、そのまま、動けない。
しかししばらく経つと、 ふと、枯れていた涙が、再び湧き出てきた。
それと共に、忘れかけていた悲しみと、 絶望が、一気に吹き荒れてくる。
「……ヒクッ。……ンッ。
ぁぁ……。わあぁぁぁぁっっっ!!」
吉澤は初めて、声を出して泣いた。
止めることが出来なかった。




『出逢えた二人を運命と呼べるのなら』

矢口が廊下を出る。
石川が待っていた。
「終わったんですね。」
「……うん。」
「気持ちよかったですか?」
「……うん。」
矢口の顔は浮かない。
「どうしたんですか?
せっかくよっすぃとエッチできたのに。」
「……。」
矢口はうつむいたまま、黙っている。
「大丈夫ですよ。
メンバー同士のことなんですから。
バレて問題になったりはしませんよ。」
……矢口の表情は暗い。
しばらく黙り込んでいたが、
やがて口を開く。


「よっすぃ……始めてみたいだった。
終わった後……なんか……まるで……、
死んじゃったみたいになってた……。
……なんか……。
絶対にしちゃいけないことした気がする……。」
矢口が言うと、石川は口を開く。
「大丈夫ですよ。そのうちどうにかなりますって。」
「……でも……。
これから私どうやってあの娘に接していけばいいの!?
ずっと、仕事をしていって、毎日会う、
大事な仲間なのに!!
……私は……!!私は……っ!!」
矢口の語気が荒くなる。
そこで石川が何かを言おうとしたとき、
トイレの方から、なにやら、
叫び声のような鳴き声が聞こえてきた。
……吉澤だ。


「……!!
……よっすぃ!!」
矢口が振り返ってトイレの方に走り出そうとするのを、石川が遮る。
「私が行きます。」
石川は落ち着いた口調で言うと、スタスタと早足で歩いていった。
矢口はそんな石川の後ろ姿を、不安そうな顔で見つめていた。
「……。」
矢口の頬を、涙が伝っていた。




『この手がもし君から離れてしまったなら』

結局その日は、
何も知らない石川が吉澤を見つけだしたことになった。
吉澤は石川に、レイプされたことをうち明けたが、
犯人が誰だったのか間では言わなかったらしい。
結局この件は、石川と吉澤の二人だけの秘密ということになった。
番組の収録などは、さすがにプロだからか、その後も吉澤は問題なくこなした。
しかしその日を境に、吉澤の顔から、本当の笑顔は消えた。
実際にそのことに気付いているのは、石川と矢口だけであったが。
そしてそれから一週間以上、矢口と吉澤はプライベートでの関わりは一切なくなった。




『パンダが居ない』

例によって行為を終えた矢口と石川は、ベッドに座り込んだ。
「ねぇ……最近よっすぃどう?」
例の一件以来、吉澤は石川以外と、殆ど会話を交わさなくなってしまった。
しかし吉澤の精神状態が気になる矢口は、定期的に石川に吉澤の様子を尋ねていたのだ。
「変わり在りませんよ。
あまりたくさんは喋らないですけど……。」
矢口の中には、苛立ちが生まれつつあった。
そもそも石川が原因で、
自分が吉澤としゃべれないのに、
当の石川が、今唯一の吉澤の心のよりどころになっている事実に、
苛立っていた。




『また来週さよならニッポン』

「ねぇ……ユウキ……。しよ?」
ソニンはユウキの腕に手を回すと、
上目遣いでユウキの顔をのぞき込み、言った。
「え、だ、だめだって。だってここは……。」
TV曲の楽屋である。見つかったらエライことだ。
「もう我慢できないのぉ。
おねがぁい。チンポちょうだぁい……。」
言いながらソニンは、ユウキの股間に手をやる。
「だ、だからダメだって……!!」
そう言っているユウキの股間は、
ギンギンに膨らんでいる。
「……ユウキだってしたいくせに。」
「そ、そりゃあそうだけど……。
でもいくらなんでもこんな所で……!」
「大丈夫だよぉ……。」
そんな会話をしているうちに、
ユウキのズボンは完全に脱がされ、
巨大な物が姿を表わしている。
「……ぁ……。」
ユウキの顔の表情が歪む。
ソニンの舌が、ユウキの肉棒を覆っている。
その柔らかい感触は、
じっとりとした湿気と共に、
ゆっくりと、少しずつ快楽を与え続ける。


「……バ、バカ!そんな……!」
ユウキはソニンの頭に手を当てると、
股間から引き離そうとする。
しかし、ソニンが顔を上げてユウキの顔を見つめると、
その手に力が入らなくなる。
「……やめへ欲ひい?」
ソニンは口の中に物を入れたまま言った。
「……。」
ユウキは返事をすることが出来ない。
ただ、気まずそうに、ソニンから目を離す。
「らまっておねえひゃんのいうほろききなさい。む……。ん……。」
ソニンはユウキの男根をしゃぶり続ける。
「んっ……。」
ユウキは必死に表情が歪むのを押さえる。
感じていることをソニンに悟られたくなかった。
もっとも、ここまで触れ上がった男根と、
先ほどからにじみ出ている先走り液を見れば、
それも無駄な努力であることが一目瞭然なのだが。


「……で……出る……。」
「いいよ。口の中にらして……。あむッ……。ん……。」
「あぁっ!!」
ユウキは肉棒が激しく痙攣するのを感じた。
そしてそれと同時に、尿道を精液が通り抜けていくのを感じる。
ソニンはユウキの男根に強くしゃぶりつく。
肉棒の先がソニンの喉の奥に当たる。
そして尿道から射出された精液が、
ソニンの喉の奥に引っかかってゆく。
「が……ぁ……。」
ソニンがむせかえって、口を歪ませると、
ユウキの肉棒には、ますます強い力が加わる。
「ああ!」
ユウキは肉棒を強く絞られているような感覚を受ける。
実際、ソニンはユウキの肉棒にしゃぶりついて、
精液が一滴も出なくなるまで、しゃぶりつづけた。


「……はぁ……はぁ……。」
「ユウキ……今度は私に……。」
そう言ってソニンがズボンを脱ごうとしたときだった。
「なにやっとるんじゃこのエロボケども。」
楽屋に声が響いた。
ソニンとユウキはハッとして楽屋の入り口の方を見た。
そこには、後藤と矢口の姿があった。
「ま、真希ちゃ……。」
「それに矢口さん……。」
ソニンとユウキは気まずそうな顔で矢口達を見る。
「……二人がここに来てるって聞いたから……。」
「遊びに来てみればアンタラは……。」
矢口と後藤が冷たい目で二人を見る。
「あはははは………。」
ソニンとユウキは笑ってごまかそうとする。
「……ユウキ、話がある。ちょっと来なさい。」
後藤がユウキに指図する。
ユウキはなお気まずそうに、ズボンを履きながら立ち上がる。
後藤がスタスタと歩いていってしまったので、
靴を履いてそれに慌ててついてゆく。
入れ替わりに、矢口が部屋の中に入る。
「入らせてもらうよ。」
矢口は中に入り込むと、ソニンの隣の、
先ほどまでユウキが居た位置に座った。


「矢口さん……その……コレは……。」
「まさかユウキとやってるとはね……。
しかもそうとう定期的にやってるっぽいねこりゃ……。
和田さんが知ったらなんて言うかなぁ……。」
矢口は意地悪そうな顔をしてソニンを見る。
「そ、それだけは勘弁してください!
なんでもしますから!」
ソニンは手を合わせて、絶対に言ってはいけないことを言ってしまった。
「……なんでもする?ふ〜ん……。」
矢口は言うと、ズボンに手をやった。
「じゃぁ……。」
言いながらズボンを下げる。
間、ソニンは不思議そうな顔をして矢口を見ている。
やがて、矢口の股間に、
先ほどのユウキの物以上の大物が姿を表わす。
ソニンの目が驚きからまんまるに大きく見開く。
「これ、舐めて。」
矢口は自分の股間を指さし、言った。




『それは永遠に』

ソニンは驚いたような顔をして、
ジッと矢口の肉棒を見つめていた。
(……そんなじっくり見られてもなぁ……。)
矢口の顔が少し赤くなる。
「どうしたんだよ。早く舐め……ふぁぁっ!」
ソニンを促そうとしたときには既に、
矢口を不思議な感覚が襲っていた。
ものすごい勢いで、ソニンが矢口の肉棒にしゃぶりついている。
「ちょ……!そ、そんな、強すぎ……!」
ハッキリと痛みを感じるほどの強さで、
肉棒が吸い上げられる。
しかし矢口は例によって、おもいっきり感じていた。
「ぁぁ……。すごい……ぁ……。」
うっとりした顔になる。
ソニンの顔を見下ろすと、
必死に肉棒にしゃぶり付く姿が見えて、
何気に興奮が増してくる。
「ソニン……いいよ……気持ちいい……。」
ソニンは、更に深く肉棒を飲み込んだ。
喉の奥に亀頭が押しつけられる。
ソニンは、歯と歯との間で軽く、
矢口の肉棒を挟み、優しく、噛み付いた。


「ぁぁぁ!!」
矢口は我慢できずに、大声を上げる。
「……ちょ、もういい……もういいから……!」
矢口はソニンの顔に手を当てると、
無理矢理に股間から離そうとする。
しかしソニンはそれに抵抗して、
肉棒に食いついたまま、なかなか離れようとしない。
「ダメぇ……ダメだってばぁ……。」
矢口は言いながら、なんとかして、
やっとソニンを肉棒から離すことに成功した。
「もう……イッちゃうかと思った……。」
矢口は安堵した。
しかし、ソニンは間髪入れずに、
矢口の小さな体の上によりかかった。
「ちょ、ちょっと……!」
矢口は抵抗しようとするが、
あっと言う間に押し倒されてしまう。
「矢口さん……ちんちん……。」
ソニンは矢口の亀頭に手をあてがうと、
腰を浮かせて自らの秘部をあてがった。
「すごい……。大きいよぉ……。」
ソニンは一気に腰を落とした。


「んっ!」
「うわぁぁぁ……!」
ゆっくりと、ソニンの膣が矢口の肉棒を包み込んでゆく。
そして、矢口の亀頭の先が、
ソニンの子宮に突っかかる。
「すごい……奥まで入らないよぉ……。」
「……ソニン……。」
矢口は呆気にとられて、何も出来ないでいた。
いつの間にやら、二人は騎乗位の体制になっている。
「動きますよ……。」
「ウン……。」
いつの間にやら、ソニンが矢口をリードしていた。
(まいったな……。)
矢口としては、先ほどからソニンを上手く脅して、
なんとかセックスしてしまおうと言う考えだったのだが、
これでは脅している意義は全くない。
(ま、いいか……って……あ……ヤバい……。)
ソニンが腰を動かし始めた。
肉棒を、柔らかいソニンの膣が、包み込み、擦りあげる。
「矢口さん……ハァ……動いて……!」
ソニンの腰の動きが、いつの間にかやたら激しくなっている。
矢口はソニンに促されるままに、腰を突き上げる。


「ああっ!あんっ!いい!あっ!あっ!あっ!」
「う………ん……。」
二人は、激しく腰を動かす。
次第に、矢口の限界が近づいてくる。
「ソニン……で、出るよ……。」
「ん……もうちょっと……。」
ソニンは、矢口の射精を止めたかったが、
今更腰の動きは互いに止められない。
「あ、あぁぁ!!」
矢口の動きが腰を突き上げた体制で、止まる。
激しく痙攣する。ソニンの膣の中に、
なま暖かい液体が広がってゆくのを、二人は感じた。
「……早いよ……もっと……。」
ソニンは、なおも続けて腰を動かそうとする。
しかし、矢口は手をかざし、止めさせる。


「ゴメン……もう……。」
「えぇ……酷い……。」
「……。」
矢口がこれ以上続ける気がないことをソニンは悟った。
渋々、ゆっくりと、腰を上げる。
膣に包まれていた肉棒が姿を表わす。
膣から、白い精液が糸を引いて伝っている。
「……。」
ソニンは、明らかに不満そうにしている。
矢口は口を開いた。
「なんだよ。その態度。
和田さんに言われたくないんだろ……。」
ソニンは不機嫌そうに頷いた。
「……どうしてもイキたきゃオナニーでもしてな。
じゃ、矢口は忙しいから、またね。」
矢口は立ち上がると、近くに置いてあったティッシュを手に取り、
股間を拭く。パンツとズボンを履くと、
さっさと外へ出ていってしまった。
「……ちぇっ。あんなデカいちんちん……。
滅多に無いのに……。
……仕方ない。オナニーしよっと。」
ソニンは再び寝っ転がると、股間に手を当てた。
手に精液がまとわりついた。指を動かすと、
膣がクチュクチュと音を立てる。
ソニンは呟いた。
「そういえばなんで矢口さんにちんちん……?
……ま、いっか。それより……ん……ぁ……。」
ソニンは、激しく指を動かし始めた。
結局不幸にも、逝けないままに番組の収録時間が来てしまうのは、
これから三十分後の話であるが。


楽屋の外の廊下で、
矢口は早足で歩いていた。
後藤がユウキを、女子トイレに連れて行く手はずになっている。
「次はユウキか……。忙しいなぁ……。」
ぼそっと呟いた。




『時は誰も止められないから』

EE JUMPの楽屋から、
少し離れたところに在る、
テレビ局の女子トイレ。
たまたま、誰も居ない時間帯だった。
後藤とユウキは二人きりだった。
後藤はユウキを壁庭に追いつめていた。
「随分といいご身分だね。」
後藤はユウキに詰め寄る。
「……。」
ユウキはうつむいたままだ。
気まずそうな表情を浮かべている。
「……同じユニットのメンバーとやってるなんて、
何考えてるんだかね。そんなことやって、
何か問題が起こったらどうするの?」
後藤はユウキを責め立てる。
同じユニットのメンバー云々の下りは、
相当に自分と市井のことを棚に上げているのだが、
そんな事実後藤の御都合主義の前には無力だった。


「でも……。」
「でもじゃない、このボケザル。」
言うなり、後藤はユウキの頭を思いっきりブン殴った。
「っ!痛えーな!何すんだよっ!」
ユウキは後藤に掴みかかる。
後藤の襟元を掴むと、ドンドンと詰めかける。
後藤はユウキに押され勢いよく後ずさり、
壁にぶつかる。
「キャッ!」
「!!」
ドンと言う音。二人の動きが止まる。
首元に当てられたユウキの腕の力は、
意外に強く、後藤は緊張した。
後藤はユウキの顔を見やった。
二人の目が合う。ユウキの何時になく、
真剣な顔を見て、後藤は胃が痛くなるのを感じる。
二人の時が、暫くの間、止まる。
ユウキはずっと、後藤に組み付いている。
慣れた弟であるユウキが、全く別人のように見えた。
……後藤がユウキに対し今感じている感情。
それは、紛れもなく、恐怖だった。


「……なによ。……やめてよ。」
声を出して後藤は失敗したと感じた。
後藤の声は、明らかに震えていた。
後藤が恐れを抱いているのが、バレバレだった。
「……真希ちゃん、俺は……。」
ユウキが言いかけたその時、
後藤はユウキを思いっきり突き飛ばした。
「うわっ!」
不意を付かれたユウキは、
思いっきり吹っ飛び、腰から落ちる。
「いたたたた……。」
ユウキは腰をさすりながら、立ち上がる。
後藤の方を見た。
後藤は、ユウキがこれから何をするのか気が気でなかった。
しかし、ユウキが後藤と距離を置いたまま口を開いたので、
少しだけ安心する。
「真希ちゃん……。ごめん……。」
ユウキはそう言うと、気まずそうに目をそらした。
後藤は、意を決してゆっくりと口を開く。
「……ユウキ。……お願いが在るんだ。」
言われたユウキは、意外そうな顔をして、
再び後藤に顔を向けた。目が合う。
後藤は続ける。
「……エッチして。」


ユウキが驚くのを、後藤は見て取る。
「そ、そんな……。
だって俺たちは姉弟……。」
ユウキは言うのを聞いて、後藤は慌てて言った。
「だ、誰が私とって言ったのよ!
ちが、ちが、違うっ!わよっ!
私とじゃなくって……!」
後藤が言うのを聞いて、
やっとユウキは心を落ち着ける。
「……な、なんだ。
……そ、そっか……。ビックリした……。」
ユウキは呟く。
心なしか残念そうにも見られるのだが。
後藤は言った。
「……エッチして欲しいのは、
私じゃなくて矢口だよ……。
ちょっと事情があって……。」
後藤は言う。普通に考えて、ユウキが事情を察せられるはずがない。
「……や、矢口さんと……俺が……?」
ユウキはおどおど、言う。
妙に嬉しそうな顔をして。
「な、何喜んでるのよバカッ!」
後藤が言ったときだった。
トイレの扉が音を立てて開いた。
「ごとー。居るー?
いやー良かったよソニンのオマンコは……。」
脳天気そうな声を上げて、矢口がやってきた。




『華奢なプライドでも貫きたい』

「あぁ、矢口、こっち。」
後藤が手を招く。矢口は後藤の顔を見ると、
嬉しそうな顔をして、そちらへと歩いてゆく。
ユウキと言えば、先程から、
何がなんだか判らないといった様子で、
矢口の顔と後藤の顔を交互に見ている。
「じゃ、とりあえず個室に。」
後藤は二人を個室へ導いた。
ユウキが個室の奥に。その前に矢口が立ち、
後藤が入り口の外から中を覗いていた。
「私が見張ってるから、さっさとやってね。
ユウキもスタジオ入らなきゃいけないし。
じゃ、ユウキ、パンツ脱いで。」
「あ、……うん……。」
ユウキは言われるままに、パンツを脱ぐ。
現在のこの状況に、疑問は大ありなのだが。
「……。」
矢口は無言で、ひざまずき、
ユウキの男根を掴んだ。
ユウキの顔が少し歪んだのを見て、
後藤は口元をゆるませる。


「じゃ……するよ……。」
矢口は言うと、口をめいっぱい大きく開き、
ユウキにしゃぶりついた。
「……。」
ユウキの顔が真っ赤になる。
矢口はそんなユウキの様子に気付かないまま、
一生懸命にユウキの男根を舐めては、しゃぶる。
しかしその動作は不慣れで、非常にもどかしい。
男根を舐めることにやはり抵抗があるのか、
いちいち刺激が弱い。
舌が殆ど動いていない。
(矢口さん……下手だ……。)
ユウキは思わず苦笑いをする。
日頃からのソニンの濃厚なフェラに慣れたユウキには、
どうにも刺激が弱すぎた。
しかしそれでも必死に男根を舐め続ける矢口の姿を見ると、
自然に興奮し、硬直した。
「矢口さん……かわいい……。」
自然に言葉がこぼれる。


そんな二人のやりとりを見て、後藤は苛立っていた。
矢口の下手くそなフェラは、見ているのが辛い。
「……ちょっと矢口下手すぎ!」
思わず、せかす。
矢口は言われると、フェラを辞め、後藤の方を振り返る。
「……下手……かなぁ……。」
矢口は首を傾げた。
後藤は苛立って言う。
「そんなんじゃ一億年続けたって逝けないって!
もう!どいて!」
後藤は強引に、矢口と位置を変わる。
ユウキは驚きの声を上げる。
「ちょ、ちょっと真希ちゃ……マズいって……!」
「うっさい。……んぐ……。」
後藤は思いっきり、ユウキに吸い付いた。
「うわ……ちょ……す、すごい……。」
後藤の唇は男根を包み込むと、一気に飲み込み、
舌が全体を舐め上げる。
その吸い付く力は、まるで吸盤か何かのようで、
信じられないほどに強かった。
さすがに、市井としょっちゅうやっている後藤にとって、
フェラなんてお手の物であった。
「ま、真希ちゃん……出るっ……!」
聞くと、後藤は口の動きを止める。
急いで口を話して、言う
「ちょ、だ、ダメだってば!って……キャッ!」
言ったときには遅かった。
ユウキの男根から、精液が勢いよく飛び出て、
後藤の顔におもいっきりかかっていた。


「……バ、バカッ!矢口とやんなきゃ意味ないのにっ……!」
「だって……真希ちゃんの……すごすぎる……。」
「早漏!死ね!このボケ!」
姉弟げんかが始まる。
矢口が、放置されつつある。
このままでは自分の入る間が無くなると感じた矢口は、
強引に二人の会話に割ってはいる。
「ね、ねえ!それどころじゃないじゃん!もう時間が……。」
矢口が言うと、後藤は大声を上げる。
「あーそうだ!もう!
あんたが出さなけりゃこのあと矢口のマンコに突っ込んで、
出して終わりだったのに!このバカバカバカ!」
後藤がユウキを三回連続で殴る。
「いた、痛いって!だったら真希ちゃんがフェラしなけりゃ良かったんじゃないかよ!」
ごもっともな意見である。
「とにかく……。もう一回……。」
矢口はユウキの股間に目をやる。
「あ。」
ユウキの逸物は、完全にしぼんでいた。
「いや……もう勃たないっすよ。だってこの一時間で俺もう二回も……。」
ユウキが頭を掻きながら、言う。
「困ったわね……。」
「うーん。」
後藤と矢口は首を傾げる。
「こうなったら……。」
「仕方ないわね。」
後藤と矢口の目が光った。
ユウキの背中に悪寒が走った。
「え?」


後藤は言った。
「……早漏なアンタが悪いんだ。ユウキ、後ろ向け。」
「へ?」
「いいからケツ出しなさい!」
後藤に無理矢理、ユウキは後ろを向かされる。
「あのー何を……ふぁっ!。」
ユウキは肛門に、柔らかいものが当たるのを感じた。
「ちょ、何をぉ……!」
後藤はユウキの尻に顔を埋めると、
舌をつきだして、ユウキの尻を攻め始めていた。
「……あ……そんな……汚い……。」
「私だってあんたの汚いケツなんか舐めたくないわよ!
でもそうしないと痛いだろうから……!」
「え?痛い?痛いって……?」
ユウキは後ろを振り返ろうとする。
「前向いてろ!こっち見るな!」
後藤に言われて、ユウキは気まずそうに顔を前に戻し、うつむく。
表情は快楽に歪みっぱなしである。
後藤の舌から、ねばねばの唾液が分泌され、
ユウキの肛門の周り、そして中に塗りたくられる。
充分にユウキの尻がぬらされると、後藤の舌が離れる。
「こんぐらいでいいよね。じゃ、矢口……。」
「わかった……。」
矢口はズボンを脱ぎ始めた。
「な、何を……?」
ユウキは訳もわからずに、問いかけるが、
その問いに答える者は居なかった。
肛門に、何やら堅いモノがあてがわれているのを感じた。
「な、……なに?な……あぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
モノが勢いよく、ユウキの肛門へと滑り込んできた。
「あぁぁぁっ!あっ!ちょっと……あぁぁっ!!」




『誰も居ない星空の下』

矢口の陰茎はユウキの肛門の中へと、
それはもう矢口自身が驚くほどに、
なめらかに滑り込んでいった。
尻の中の肉壁に、男根中が包まれる。
ユウキの身体はさすがにもう在る程度の年齢だけに、
女性のそれと比べて明らかに筋肉してであったのだが、
それとは全くうってかわって、柔らかい。
矢口の顔が快楽に歪む。
「ぁぁ……。気持ちいい……。」
ゆっくりと、矢口が腰を動かす。
動かすたびに、ユウキの尻が、
矢口の男根にからみつく。
「ぁぁ……。ぁ……。」
ユウキはただひたすら悶絶している。
「うわ……。ユウキ凄いよ……。ぅぅ……。」
矢口はコレまでに、アナルセックスの経験が無かった。
厳密には、
入れられたことは在るのだが、入れたことがない。
石川とするセックスは常にスタンダードな物であった。
お陰で、始めて味わう尻の感触に、必要以上に感じていた。
奥の方は殆ど締めつけないのだが、
根本は、女性器以上の力。
「や、矢口さ……。」
ユウキが声を上げるが、
無視して矢口は腰を動かす。
後藤の唾液で濡れていたからか、
驚くほどスムーズに、肉棒は動いていた。


「ぁぁ……。ユウキ……。イイ!イイよぉ!!」
矢口の腰の動きは益々速くなる。
まるで、普通の女の子と前のアナでセックスをしているかの如く。
どう考えてもアナルセックスとしては無理のある、
所謂切れ痔になりかねないほどの勢いだった。
「ぁぁ……矢口さんっ!!あぁぁっ!」
ユウキの声が、次第に大きくなる。
「ぁぁっ!ぁぁん……っ!ぁぁ!」
気が付けば、ユウキもまた、激しく腰を動かしていた。
すっかり萎えたはずのユウキの陰茎は、
元気を取り戻し、そそり立ち、先走りを大量にはなっている。
「ユウキ……!ああ!……ん……!」
「ぁ!ぁぁ!ぁぁん!ぁぁ!!」
二人の腰は押しては引き押しては引き、
互いに擦れあい、刺激を与え合っている。
(ユウキ……女の子みたいな声出してる……。かわいい……。)
矢口の興奮は、絶頂を迎えようとしていた。
「ユ、ユウキ……!出す……よ!」
「ぁぁ……ぁぁ!!!」
「……んっ……んっ……!!」
矢口の陰茎を、液体が通り抜ける感覚を味わった。
「……あああ!!」
声と共に、肉棒の先から、勢いよく、精液が迸った。
「ぁ……。」
ユウキの顔が、歪む。
快楽に、埋もれきっている。
何時の間にやら、ユウキもまた、射精していた。
矢口もユウキもただ、快楽の余韻に浸っていた。




『いつか悩みの種は運命の花になるから』

二人のプレイが終わり、身支度をしていたときだった。
ずっと見学をしていた後藤が言った。
ユウキと矢口は後藤の顔を見る。
「何?真希ちゃん。」
「?」
二人はきょとんとした顔をしている。
後藤は、ユウキの方を見ると、詰め寄った。
「な、なに?」
「……。」
後藤は怒った顔で、ユウキを睨み付けている。
矢口は言った。
「どうしたの後藤?
もうすぐユウキの収録始まっちゃうから早く返してあげようよ。」
後藤は無視し、言った。
「ユウキ……。
あんたのケツに……なんで矢口のチンポがあんな簡単に入るワケ?」
「へ?」


「へじゃないわよ!お尻の穴にそんな簡単に、
あんな簡単に矢口のデカイチンポが入るわけないじゃない!
あんた調教されてるわね!?
……ホモ!?
ホモなの!?あんたホモなんでしょ!正直に言いなさい!」
後藤は半分キレている。
ユウキは黙り込んだままだ。
「ユウキ!てめえ何とか言え!このホモ!ホモ!ホモホモホモホモホモホモホモ!」
……ユウキは暫く黙り込んでいたが、やがて口を開いた。
「別に男に掘られたりなんかしてねーよ。
一応、女にしか興味は無い。」
ユウキが言うと、後藤は益々興奮して、言う。
「じゃあなんであんた調教されてんのよ……!
男以外にケツに掘られるなんて!
オナニーでもしてたっての!?この変態。
……全く。そんなオナニーまでしてるなんて……。
もう……。……あれ?」
後藤が首を傾げる。
うつむき、考え込む。
「まさか……。ま……さか……。」




矢口が後藤の顔をのぞき込む。
「なに?どうしたの?」
後藤の顔は、青い。
「ねぇ後藤。どうしたんだよぉ。」
矢口は言った。ユウキはさっさとトイレから出ると、
「じゃ、そろそろ時間だから。じゃーねー。」
心なしか、気まずそうだったのか、逃げるように。
後藤も矢口も止めるまでもなく、
ユウキは出ていってしまった。
「ねぇ後藤!どうしたんだよう!ねぇ!ねえってば!」
……後藤は暫く黙り込んでいた。が、やがて口を開いた。
「ねぇ矢口……。
ウチらの周りにさ、一人、いなかった?
やたらお尻の穴に物突っ込むのが大好きな人。」
「え?」
「ほら……。ねぇ……。男じゃないけど。ちんちん生えてる……。」
「あ……。」
「あいつら……何時の間に……。」
矢口と後藤の脳裏には、例の、あの、男前な女の子の顔が思い浮かべられていた。




『息が止まるほどの甘いキスをして』

石川の自宅に、矢口と、吉澤と、後藤が集まっていた。
四人は、麻雀卓を囲んでいる。
吉澤は、石川に、家に遊びに来いと呼び出されていたのだ。
例の一件以来、石川には心を許していた吉澤であっただけに、
しかしいざ来てみれば、あの矢口が、石川の家に居る。
吉澤は本気で帰りたくなったが、石川や後藤に不審に思われてしまうので、
仕方なく留まる。
やがて、石川が言い出した。
「麻雀でもやりませんか?」
と。何故か、石川の家には卓が在った。
吉澤達は全員、一応、麻雀の心得が在ったので、では、やろう、と言うことになった。
自然な成り行きで、金をかけることになった。
レートはかわいい物で、100点/10円程度であった。
吉澤自身、例え飛んでも、3000円程度であれば、まぁ、大丈夫だ、と思っていた。


しかし、例によってそれは、矢口達の罠だったのだ。
矢口も、石川も、後藤も、全員がグルだったのだ。
吉澤には、災難が降りかかることになった。
まず、矢口が、ルールを青天井にしようと言い出した。
満貫などの切り捨てを省いて、得点計算をするルールだ。
吉澤は、二つ返事で訳もわからないままに、それに応じてしまった。
それが、いけなかったのだ。それさえなければ、
吉澤は悲劇を味わうこともなかったのかも知れない。


それは、南場第一局。
吉澤が34000点でのトップで迎えていた。
親番は、矢口。ちなみに吉澤は矢口の対面の西家である。
そしてそこで、後藤と石川と矢口は動いたのだ。
それはもう、お前等本当にアイドルなのか?と言うくらいの。
絶妙な、動きで、積み込みを。
しかし、吉澤はそれに気が付いていなかった。
吉澤は、それほど強いわけではないので、気付きようも、無かったのである。


吉澤は配牌を見て驚愕した。
なんと、配牌で、天牌しているのである。
西家。吉澤の心臓は爆発寸前であった。
もし、人和になっちゃったらどうしよう。
役満なのかな?むしろツモで地和にならないかな?
などと、皮算用に励んでいた。
ところがそこで、
少しだけ予想外の出来事が起こったのである。
矢口が、ダブルリーチをかけたのである。
吉澤は、それが、この局が荒れ場である、との解釈をしてしまったのだ。
実際は三人掛かりでの積み込みによるものだとも知らずに。
南家の後藤が切った西は、矢口にも吉澤にも当たり牌では無かった。
そして、吉澤の、ツモ。


……わかり切っていることであるが。
このツモ牌は、矢口の当たり牌なのである。
六萬だった。これは、吉澤の待ち牌ではなく、
手変わりにかかることもあり得ない、完全な不要配であった。
吉澤は、決意をしてしまった。
追っかけのダブルリーチである。
あと少しでも、ほんの少しでも吉澤が強ければ、
これは絶対に切らないはずなのである。
ダブルリーチに、真ん中の牌。
だが、配牌で天牌、ダブルリーチ可能と言う事実と、
吉澤自身の経験の甘さが、
振り込みへと、繋がってしまったのだ。




『探して 夢見て 答え出して』

「ダブルリーチです。」
吉澤は、千点棒を出し、六萬を切った。
心臓はバクバクだった。
確かに、振り込んだらどうしよう、と言う不安は在ったのだ。
だが、ダブルリーチの魅力に、それはかき消されていた。
そして、吉澤の心臓は、止まった。
「ロン。」
矢口が、牌を倒した。


吉澤の大きな目は、益々大きく見開く。
矢口の牌を見る。
三萬、三萬、三萬、三萬、
四萬、四萬、四萬、四萬、
五萬、五萬、五萬、五萬、
六萬。そして振り込んだ、六万。
矢口は言った。
「これは……役の解釈の仕方も色々あるね……。
チンイツ二口盃……っても取れるけど、
この場合……。」
矢口は牌を並び替える。
三萬、三萬、三萬、
四萬、四萬、四萬、
五萬、五萬、五萬、
三萬、四萬、五萬、
六萬、そしてロン牌。
矢口は言った。


「これで……。えーと。
ダブリー、一発、タンヤオ、チンイツ、
サンアンコウ、えーと、あ、ドラ四だ。」
吉澤は王牌を見る。
ドラ表示牌は二萬。つまりドラは三萬である。
吉澤の顔が青ざめる。
「裏も見ないとね、……うわ。乗っちゃった。」
裏ドラ表示牌は、やはり、二萬だった。
「ドラ八ってことは……。えーと。21潘だね。
アンコ三つにノベタンてことは40符だから……。」
矢口はどこからともなく、
計算機を取り出した。
……計算をしている。


計算が終わった。矢口は、言った。
「えーとね。503316500点。
吉澤、悪いけど、飛びだね。
えーと、-503282500点だから、
……50328250円だね。
五千三十二万八千二百五十円。」
矢口はニッコリほほえんだ。
吉澤の表情は、無くなっていた。




『見えない物を見ようとして』

「そ、そんな……そんなお金払えるわけが無いじゃないですか!」
吉澤は言った。無理もない。
「そんなことないさ。よっすぃなら四、五年もあればそれぐらい稼げると思うよ?」
矢口は笑顔で言い放つ。
「そ、そんな……。」
じっくりと見なくても判るほどに吉澤の顔にはショックが浮かんでいる。
矢口は言った。
「ま、どうしてもってんなら、考え直さなくもないけれどね……。」
矢口は言うと、立ち上がり、卓を回り込み、吉澤に歩み寄った。
座り込む吉澤の元へ座ると、肩に手を回す。
「よっすぃ……。」
「ちょ、ちょっと!」
矢口が吉澤に抱きつこうとすると、
吉澤は明らかな拒否反応を見せる。
矢口は構わずに、言う。
「チャラにしてあげてもいいからさ……。
ね……いいでしょ……?これから……そうだね、五年間。
矢口の奴隷になってよ。」


「……。」
吉澤は困惑している。
「5000万の大金に比べれば、別に安いもんだと思うけどな……。」
矢口は、吉澤の股間に、手を伸ばした。
「……!ダメッ!!」
吉澤は、矢口を思いっきり突き飛ばした。
「キャッ!!」
矢口の小さな身体は、思いっきり吹っ飛び、卓にぶつかる。
積み上げられていた牌が辺りに散らばる。
矢口と吉澤のやりとりをただ無表情に眺めていた後藤は、
驚いて吉澤を見る。
石川は、倒れている矢口をただ助け起こすこともなく、見つめている。
「いたた……。ひどいよ……。」
矢口は、吉澤の方を見やった。
すると吉澤は、なにやら助けを求めるような表情で、
石川を見ている。つられて、矢口も、
石川を見た。石川と、目が合う。
石川の顔には、表情がない。




Believe in desire』

三日ほど前だった。
石川から矢口に、この麻雀の計画が持ち込まれたのは。
日頃から、矢口、石川、後藤、それに、
他のメンバーは、よくよく麻雀を打っていた。
しかし吉澤は、最近麻雀を始めてばかりであったので、
イカサマにも簡単に気が付かないだろうし、
吉澤は石川を信用しきっているので、
まさか三人がかりで吉澤を鴨にしているとは思わないだろう、と。
矢口は石川に言っていた。
「でも、今更そんなよっすぃを陥れるようなことをしてどうするの……。
もう、これ以上よっすぃに酷いことしたくないよ……。」
石川は答えた。
「大丈夫ですよ。よっすぃの欲望を引き出してあげれば、
むしろ、喜んでくれるはずです……。」
矢口には、石川が何を言っているのかわからなかった。




『儚くてもう泣いてしまうけれど』

矢口は石川の顔から目をそらし、
吉澤の方を再び見やる。
「いいじゃん、ねぇ……。」
矢口は立ち上がり、再び吉澤に迫る。
「いやっ!やめて!」
吉澤は抵抗しようとする。
「もう……。ねぇ、後藤、手伝ってよ。」
「わかった。」
後藤も、吉澤へと歩み寄る。
後藤は吉澤の腕を、
矢口は吉澤の足を押さえつけた。
二人がかりで押さえつけられ、
吉澤は身動きが取れなくなる。
「ごっちん……なんで……。」
「だって仕方ないじゃん。負けちゃったんだから……。」
「そんな……。」


「じゃ、ズボン脱がすよ……。」
「いやぁぁぁっっ!!」
吉澤は抵抗するのだが、
後藤の力が強く、手が動かない。
矢口の手が足を放れたので、
必至になって、二人を蹴るのだが、効かない。
矢口の手が吉澤のズボンの裾にかかった。
「梨華ちゃん助けてぇっ!」
吉澤は石川の方へ向かい、叫んだ。




『あなたの空へ 愛よ 届け』

矢口と石川、後藤が吉澤を陥れる計画を立てる、更に二日前のことだった。
吉澤は石川の家に招かれていた。
石川も吉澤も、当たり障りのない会話をし、馴れ合っていた。
吉澤の心の傷も、少しずつ癒えてきたかのようだった。
石川は言った。
「ねぇよっすぃ。一緒にお風呂入ろうよ。」
「えっ!?」
吉澤は困惑する。
「今日はレッスンで汗かいちゃったしさ。ね?」
「い、いや……。ちょっと……。」
「えー、いいじゃない……別に女同士だしさ……。」
石川は、吉澤に迫った。
石川には、一つの、計画があった。
要するに、矢口と吉澤が険悪になっているのをいいことに、
吉澤に近づき、自分の物にしようとしていたのだ。
先日の一件以来、男性に対する不信感は、
確実に高まっているであろう吉澤を、
自らの性技で虜にする自身は、在った。
とりあえず、風呂にでも誘って、
そこから、どさくさにまぎれて、
どうにかしてしまおうと思っていたのだ。
しかし、風呂に入ることを拒まれては計画も糞もない。


「い、いや、ダメだよ!ダメなんだって!」
吉澤は本気で拒む。
石川は心底ムッとする。
まるで自分を汚い物のように扱われたかのようだった。
「なんでよー!」
石川は明らかに不機嫌そうに、なおのこと吉澤に迫る。
「い、いや、ちょっと事情が……。」
「事情って?」
「そ、それは言えないよ……。」
吉澤の態度に、石川は不信感を覚える。
吉澤の顔が、赤い。妙な様子だ。
共に風呂にはいることを強要されて困っている顔ではない。
むしろ、何かに照れているような、そんな感じだった。
(……!)
石川の頭の中を、ある予感が駆け抜ける。
(まさか……。)


思うに従い、石川は、わざと吉澤の身体に擦り寄った。
「……よっすぃ……私のこと嫌いなの?」
上目遣いで吉澤の顔を見上げる。
「い、いや、そういうわけじゃ……。」
「だったらいいじゃない……。」
言いながら、石川は、吉澤の肩に手を回す。
「私は無理矢理変なことしたりしないよ……ねぇ……。」
強引に、唇を奪った。
「ん……。」
吉澤の顔が歪む。
「……。」
「……ん。」
吉澤に拒む様子はなかった。
徐々に、深く、深く、石川は吉澤の中にのめり込んでいった。
下が絡み合い、組んずほぐれつ、交わり合う。
「ぷぁっ……。」
「ぁぁ……!」
二人の口が離れた。少し顔を離し、見つめ合う。
「梨華ちゃん……。」
「よっすぃ……。」
二人の間の時が、止まる。
……暫くの沈黙。それを、吉澤の叫びが切り裂いた。
「キャッ!」
石川の手は、電光石火の如く、
吉澤の股間に伸びていた。
そして、股間に在る、なにやら堅い物を、確かに掴んでいた。
石川は吉澤に聞こえないように小声で呟いた。
「……やっぱり。」




『もう二人に距離が出来ないように』

「……よっすぃ……。コレ……。」
石川にとって、予想通りであった。
吉澤の身体に異質の物質が付いていることは。
しかし、あえて、驚いている振りをした。
吉澤は言う。
「……その……。
矢口さんとのことがあって少し経った頃だったんだけど……。
いつの間にか……。」
「……。」
石川は黙り込む。
この自体をどういった方向に持ってゆこうか。
どうすれば、自分が一番楽しめるか。
暫く、ショックを受けた振りをして考え込む。
そして、思い立った。
そのことこそが、後に矢口に提案する麻雀の件なのだが。


ともかくとして石川は口を開いた。
「どうなってるんだろ……。
よっすぃ……。ちょっとソレ……見せてよ。」
石川は吉澤を促す。
ただ流されるままに吉澤はズボンとパンツを脱いだ。
股間から、勃起した逸物が姿を表わす。しかし……。
(やだ……ちっちゃい……。)
石川は顔がにやついてしまうのを必至にこらえる。
吉澤の男根は、その大きい体に似合わず、
わずか6cm足らず。その上に皮を被っていた。短小包茎だった。
しかし、痛々しいほどに勃起している。
(よっすぃ……興奮してるんだ……。ふ〜ん……。)
石川は、吉澤の股間に手を伸ばす。
逸物の先に、冷たい手が触れる。
「ァァァァッ!」
吉澤が、思わず声を上げる。


「どうなってるんだろ……これ……。」
石川はしらじらしく、言った。
確信犯である。
吉澤の顔を見上げた。
信じられないほどに、真っ赤になっているその表情には、
恥じらいと、快楽が入り交じった、
何とも言えない欲情を誘う物であった。
石川は、はやる心を抑えきれなくなるが、
今後の展開を考え、この場で召し上がることは控えることにした。
楽しみは、後に回そうと言うことで、本人の中で決着付く。
「ふぅん……。そっか……。
じゃ、しょうがないね。私一人でお風呂入ってくるよ。」
素っ気なく、石川は言い放った。
吉澤が、え?と言う表情を浮かべる。
このまま、美味しい展開にでもなるのではないかとの、
期待があったこと。そしてそれが裏切られた落胆が表情に思わず出てしまったこと。
石川にしてみれば一目瞭然であったが、
あえて、気付かない振りをした。
「とりあえず先にお風呂入ってくるから、よっすぃも後で入りなよ。
大変だね。変なことになって。お医者さんにでも言った方良いのかな?」
わざとらしく、石川は言った。
焦らし戦法とでも言おうか。吉澤を奴隷にするための、
石川なりの伝略だった。


暫くして、石川は、風呂から上がると、トイレへ行った。
トイレに入った瞬間、表情が凍り付く。
部屋中に、変な臭いが立ちこめている。
栗の花の臭いか、するめいかの臭いか。
ともかく、すぐに察しが付いた。精液の臭いだ。
石川は呟いた。
「我慢出来なくて抜いちゃったんだね。かわいいっ。」
ニッコリ、ほほえんだ。
ともかくとして、後に、石川は矢口に作戦を持ち込んだ。
そして本日、作戦は決行されたのであった。




『言葉の刃に負けないように』

矢口は、吉澤のズボンに手を突っ込み、
ズボンとパンツを一遍に掴んだ。
そして、無理矢理に、ずりおろし始める。
吉澤が激しく抵抗するので、
どうにも上手くズボンを脱がせられない。
矢口はどうにかして力を入れ、
無理におろそうとするのだが、
例によってアレに引っかかっている。
そう簡単にはズボンは取れない。
「痛い!痛いって!!」
吉澤が大声を上げる。
矢口も、どことなく、吉澤の股間が不自然であることに気が付く。
「ん?」
矢口は首を傾げた。


今度は、パンツの中まで、
深く手を突っ込む。
吉澤の陰毛のざらついた感触が手に強く焼き付く。
矢口は、吉澤のズボンとパンツの裾を、改めて強く握ると、
思いっきり手前に引っ張り、
不自然な盛り上がりに引っかからないように、
一気に、ずり下げた。
「いやぁぁぁっ!」
吉澤の叫び声が耳にはいるのと、
股間の陰茎が目に入るのと、同時だった。


「……!」
矢口は思わず絶句する。
そんな矢口の様子に気が付いた後藤も、
吉澤の股間を見やり、同じく、絶句。
吉澤と言えば、先程のひときわ大きな叫び声の後は、脱力。
放心したまま、呆然と、矢口の方に視線をやっている。
しかしその焦点は全く定まっていない。
石川は、表情を全く変えずに、三人のやりとりを見るばかりだった。


「……よっすぃ?これって……。」
矢口は、吉澤の股間に手を伸ばす。
吉澤は全く抵抗せずに先程と同じく、
ただひたすら呆然としている。
「……ちんちん?」
矢口は、陰茎を、ガシッとわしづかみにした。
瞬間だった。
「ふぁぁぅぅっ!!」
吉澤が声を上げた。
吉澤の腰が二度三度、ビクビクッと痙攣し、浮く。
同時に、その陰茎の男根の先から、
それはもうおびただしいほどの精液が、出た。
飛び出る、等と生易しいものではなかった。
それは将に、『放射』だった。
まるで尿の様な凄まじい勢いで、出た。
精液は放物線を描くわけでもなく、
一直線に、矢口の顔へと飛んでいった。


「キャァッ!」
矢口の顔に精液が到達すると同時に、反射的に悲鳴を上げる。
目をきつくつむる。精液が顔にかかった瞬間、
その場に仰向けに倒れ込み、目元を抑える。
あまりにも勢いよく出た精液が、目に入ったのだ。
「ぁぁぁっ!ぁぁぁぁっ!!!」
矢口は、声にならない叫びをあげる。
矢口が離れてからも少しの間で続ける精液が、
倒れ込んだ矢口の身体を汚していた。
「痛い!痛い!」
矢口はそんなことに構うまでもなく、もだえ苦しみ、転がり回った。
吉澤の視線は相変わらず定まらないままだったが、
射精はやっとのことで、止まっていた。
石川がぼそっと呟いた。
「短小包茎な上に信じられないくらい早漏……かわいい。」
何分石川は他の三人と少し離れた位置にいたものだから、
その声が石川本人以外の耳に届くことはなかった。




『君にもし翼が一つしかないなら』

「ああああっ!!ああああああっ!!」
矢口はただ、ひたすらもだえ続けて、三十秒ほどが経過した。
それでも矢口には数十分にも感じられるものではあったが。
とりあえず、吉澤も、後藤も、ただその場で呆然としていた。
石川だけが、落ち着いて、その場を静観していた。
やがて、矢口は、やっと慣れてきたのか、
次第に落ち着きを取り戻してくる。
とりあえず動きを止め、
ゆっくりと、身体を持ち上げた。
少しずつ、目を開ける。
吉澤が、映る。
真っ赤な顔をした吉澤はただぼうっとしていたのだが、
矢口の視線に気が付くとこちらを向いた。
二人の目が合った。


吉澤は真っ赤な顔をして矢口をじっと見ている。
矢口は、そんな吉澤表情を見ても、その感情を読みとることが出来なかった。
怒っているのか。それとも……。
ふいに、吉澤が、ぼそっと何か呟いた。
口元が動いたのは判るのだが、いかんせん距離が離れているため、聞こえない。
やがて、吉澤はすっと立ち上がった。
ゆっくりと矢口の元へ歩み寄ってくる。
後藤が慌てて間に割って入ろうとするのだが、
吉澤の鬼気迫る雰囲気に押され、断念してしまう。
やがて吉澤は矢口の足元に立った。
高いところから、矢口は見下ろされる。
矢口は、吉澤の顔を見上げる。
相変わらず、真っ赤な顔は、怒っているようにも見える。
やがて自然に、視線は股間へと移っていった。
皮を被った小さな肉棒が、これでもかとばかりに勃起している。
精液の残りが、肉棒の先から糸を引いている。
矢口はそんな吉澤の様子をただ見つめていた。
吉澤はもう一度口を動かした。
「……んだ……。」


「えっ?」
矢口は吉澤の言った台詞を確かめようとする。
しかしそれも叶わなかった。
吉澤は、不意に矢口に向かって倒れ込むと、
矢口の肩を無理矢理に掴み、
目を見て、言った。
「矢口さんが悪いんだ!!」
「キャッ!」
吉澤は、その大きな体を強引に、矢口に覆い被せてきた。
何せ体重に差が在りすぎた。
一度上を取られてしまったら、
もう、矢口に持ち直すことはできない。
「ちょ、ちょっとよっすぃ……むぐ!」
吉澤の唇が、矢口の唇に重なった。
矢口はカッと目を見開く。
視界いっぱいに、吉澤の顔が広がっていた。
吉澤もまた、その大きな瞳を目一杯に広げている。
二人の視線が、合う。
息が、止まる。呼吸も忘れて、二人は口づけ合う。
口の中で、二人の舌が絡まり合った。
(よっすぃ……。)
矢口がうっとりして我を忘れかけた頃だった。
(……!)
矢口は吉澤が自分の服に手を掛けていることに気が付いた。
そして、意外なほどにあっけなく、
矢口のズボンとパンツは脱がされた。
ギンギンに勃起した、大きな男性器が姿を表わす。
しかし吉澤はそれには一切構わなかった。
矢口の腰に両手をやり、押さえつける。
女性器の部分に、堅い物を押しつける。


「ん〜〜!!」
矢口は声を上げようとするのだが、
口がふさがれていて、言葉が出てこない。
堅い物は、ゆっくりと、矢口の女性器を撫で上げる。
既に、ヌルヌルになったそこには、
なかなか物が入り込めず、もどかしい。
(……ちょ……だ……だめ……!!)
言おうとするのだが、言えない。
また、吉澤が不慣れなためか、
なかなか、例の地点に物が入り込まず、
中途半端に、焦らされている。
(ぁ……ぁ……。)
男性器から大量の我慢汁が分泌される。
矢口の理性が失い掛けられた。その時だった。
ぷはっっと言う声と共に、
吉澤の唇が、離れた。
矢口の口は、開放された。
吉澤の呼気が、鼻にかかる。
妙に熱い感じがした。
矢口は一度大きく息を吸うと、言った。
「ご、後藤!石川!助けてよ!」


矢口に言われた後藤と石川は、互いに見合い、目を合わせた。
そして、互いにニッコリと微笑んだ。
今の二人に、言葉は必要なかった。
二人は、吉澤と矢口の元へ、歩く。
「い、石川!なんとかしてよ!」
矢口は石川の顔を見て言った。
石川は、無言でニッコリ微笑み返した。
石川は、いそいそと服を脱ぎ始めた。
「……え?」
矢口は呆然とした。
視界には入っていなかったのだが、
後藤も服を脱ぎ始めていた。
あっという間に、二人は全裸になってしまった。
石川は無言で、矢口の頭の方へ回り込んだ。
自分の女性器を、指で広げる。
そして、矢口の口元へ、それを押しつけた。
「ぶ……ぐ……るぅ……!」
矢口は息を詰まらせる。
(……ちょっと……!)
声を出そうとするが、例によって叶わない。
口を開けずには居られないのだが、
口を開けると、変な味が、口の中へ広がってくる。
それとほぼ平行して、後藤が、矢口の腰の部分へと座り込む。
石川に背中を向けて、吉澤と丁度正面から向き合う形だ。
石川と同じく、自らの性器を広げて。
矢口の肉棒を、己のなかへ導く。
(……ぁぁぁぁぁ……!)
強烈な快感が、息苦しさと同時に、襲ってくる。
矢口は徐々に、なにがなんだか判らなくなりつつあった。
丁度、そんな時に、
吉澤の男性器が矢口の女性器を捉えて、見事に入り込んだものだから、
矢口は本当に気絶してしまいそうになった。なんとか、こらえたのだが。


「おふぁえふぁうふぁふぃ……うふぅ!」
お前等裏切ったな、と言おうとするのだが、叶わない。
ともかく、吉澤だけでなく、後藤と石川にも同時に襲われていることだけは、理解できた。
しかし実際、顔は石川でふさがれていて視界が殆ど開けていない上に、
無理矢理入れさせられたり入れられたりで、
矢口自身今現在、誰の物が自分に入れられていて、
誰のなかに自分が入れていて、誰の女性器を舐めているのか、
わからなくなってしまっていた。
ただ、自分はオマンコに誰かのちんちんを突っ込まれながら、
誰かのオマンコに自分のちんちんをつっこみつつ、
また誰かのマンコを舐めている。
頭のなかで必至に整理しても、理解できているのはこの程度であった。
与えられる刺激の前では、
それ以上の思考はできなかった。


吉澤が、後藤が、腰を動かし始めた。
両方の性器に同時に、妙な感覚が植え付けられる。
擦れ合い、拭い合い、交わり合う。
もはやそこで感じられる物が、
何なのかさえ判らない。
声を出したいのに、何かに口をふさがれていて何も出ない。
鼻でかろうじて少しずつ息を吸うのがやっとな状況であるため、
気持ちいい、などを考える余裕も無かった。


「や、矢口さん!!矢口さん!!ハァハァ……!!」
吉澤の腰の動きが、あっという間に早くなってくる。
限界が、すぐに来ようとしていた。
基本的に包茎なため、早漏なのだ。
「あぁぁっ!ああぁっ!」
吉澤は本能に任せるままに、腰をカクカク動かしていた。
もはや、止めることは出来なかった。
何をエネルギーに動いているのか不思議になるほど、
素早く、腰が前後される。
実際、初めて味わう女性器の感触は、
どこか気持ち悪かったのだが。
そんなことを気にすることも出来ないままだった。
矢口の女性器のなかは、狭く、
柔らかな肉片が、しつこくまとわりついてきている。
二発目だというのに吉澤は、あっという間に射精してしまった。
「ぁぁ……。」
膣のなかに温かい物を感じた。
それとほぼ同時だった。
自分の肩に、何やら手が回ってきた。
後藤だった。
「え?」
吉澤が言うとほぼ同じく、
後藤と吉澤の唇が重なる。
先程の矢口の時と同じように。
口の中ではただひたすらヌルヌルとした、
舌……なのだろうが、
本当に舌なのか、よくわからない、
とにかく、ヌルヌルしたものが、
不規則にうごめいていた。


(あ……れ……?)
(……なんでごっちんとキスしてるんだろ……。)
(私……何してるんだろう……。)
(矢口さんの中……う……ん?)
(あぁ、女の子とキスしてる……おかしい……。)
(……気持ちいい……よぉ……。……何が?……何が気持ちいいんだ……?)
(わけわかんないよ……。ぁ……。)
(もう、考えるの面倒臭いや……。どうしよ……。)
(私、誰?)
(……ちんちん……痛い……。)


矢口の肉棒を覆う後藤の動きは、
基本的に自分勝手な物で、刺激的には、
弱いとも言えず、強いとも言えず、
ただ、あまりにも不規則であったため、
快楽が蓄積されないままだった。
そんなうちに、矢口自身は、膣内の生暖かい感触を感じる。
吉澤の精液が身体へ流れ込んできていた。
しかし今の矢口は、理性が1%も働いていなかったため、
何が起こっているのかも、考えてすらいなかった。
矢口はただ無性に、
己の腰を突き動かし、口元に広がる女性器をなめ回し、
膣内の男性器を受け止めるだけだった。


(……あぁ……。)
(……へんだ……。)
(わたし……どうなるんだろ……。)
(……ただよっすぃと仲直りがしたいだけだったのに……。)
(……何をしてるんだろう……。)
矢口は薄れ行く意識の中で思っていた。


ともかくとして、石川が口を開いた。
どうにも一人だけ放置されているような感覚に耐えきれなかったらしい。
「ごっちんちょっと変わってよ。」
「え?あ、あぁ、わかった。」
言われるままに、後藤はゆっくりと、立ち上がった。
矢口の肉棒を覆う後藤の膣が、
ゆっくりとうごめき、抜けてゆく。
その感覚に矢口はやはり快感を覚えるものの、
実際どうでもよくなりつつあったのも事実。
「じゃ、よっすぃ……後藤と……。」
後藤は吉澤をうながした。
吉澤は促されるがままに、矢口の膣から己の小さな肉棒を抜く。
しかしそこへ石川が割って入る。
「私、よっすぃとしたい。」
石川の言葉は、後藤に向けられた物だった。
「え……。あ、うん。わかった。」
後藤としては、このまま吉澤と楽しむつもりでは合ったものの、
別に必ずしも相手が吉澤でなくても良かったので、断りはしなかった。




『愛のあるSEXに精出したり』

「り、か、ちゃ……。」
吉澤は口を開く。
自分の中での整理がまだ付いていない。
石川は、そして後藤は、
何をしているのだろうか。
何故、こんなことをしているのであろうか。
後藤は、ただの気の置けない友人ではなかったのか。
石川は、自分がレイプされた事実を受けて止めて相談に乗ってくれている存在ではなかったのか。
あまりにも自体が激しく動いているために、
何が何やら判らなくなっていた。
石川が吉澤をずっと騙し続けていたことに、
気づけるほど今の吉澤は冷静ではなかった。


「よっすぃ……かわいい……。」
石川は吉澤に口付ける。数日前と同じように。
石川は全裸なのに対して、
吉澤は未だ上を着ていたので、
石川はまずそれを脱がしにかかる。
「りか……ちゃん……?」
「大丈夫だよ……。」
何が大丈夫なのかも判らないのだが、
ともかくとして、上手いこと、
吉澤は上着を脱がされる。
ブラジャーを身に纏った胸が姿を表わす。
石川は肩越しに吉澤の背中に手を回すと、
ホックに手を掛け、手際よく、外した。
あっという間に、吉澤も、全裸になった。


石川は、右手で、吉澤の左の胸を、
ゆっくりと、掴んだ。
優しく、あえて優しく、揉み始める。
軟らかい肉の感触に、恍惚する
「よっすぃ最近胸大きくなったね……。」
「え……。」
吉澤はすぐに反応を返せない。
ただ、胸に与えられる刺激には、
確かに感じ入っていた。
「ほんと、かわいいなぁ……。」
石川は依然として吉澤の胸をも見続ける。
開いた左手を吉澤の首の後ろに回し、
抱き寄せる。
石川の優しい愛撫に、
吉澤はやっと平静を取り戻してきたのか、
口を開き、やっとまともに、喋る。
「そ、そんな梨華ちゃんに比べたら全然……。」


実際吉澤の胸はここ最近確実に成長していたのだが、
やはりあきらかに巨乳である石川に及ぶものではなかった。
それでも、元来どちらかと言えば貧乳であった吉澤も、
今となってはそれなりにはなっていた。
「ほんと、大きくなってるって……。
ほら……この感じ……気持ちいいよ……。」
吉澤の胸を揉みながら、石川は言い続ける。
「よっすぃのちんちん、凄いよね……。
もう二回も出してるのに、まだこんなにギンギン……。
量も多いし……。」
小さい上に包茎だけど……と言う言葉は飲み込む石川。
そのまま左手を吉澤の股間に伸ばす。
先日と同じように、冷たい手で、そっと触れる。


「ふぁぁぁっ!!」
吉澤は大声を上げる。
さすがに既に二度も射精しているだけあって、
先程のようにいきなり発射してしまうことはなかった。
しかし、ビクビクと痙攣するその身体は、
やはり底知れぬ快感を味わっていることがハッキリと見て取られた。
「ここ触ると気持ちいいんでしょ?」
いいながら石川は、とうとう吉澤の肉棒を掴む。
「剥いてあげるよ……。」
皮を掴む。そして、ゆっくり、ずりおろそうとする。
皮の中と亀頭は粘膜でくっついているので、
なかなか降りてこない。
しかし石川はそれを無理矢理引っ張る。
「ふぁぁっ!!あぁっ!いてっ!いてーよ!」
あまりの痛みに我を忘れたのか、
吉澤は思わず乱暴な言葉遣いで叫ぶ。
「大丈夫。私に任せて……。」
石川は妙にお姉さんぶって、吉澤を諭す。
ゆっくりと、確実に、皮を剥いてゆく。
「ぁぁぁぁぁ!ぁぁぁ!」
吉澤の腰が、激しく動く。
石川はそれを何とか押さえつけるので精一杯になる。


とうとう業を煮やした石川は、
「えいっ♪」
と言う声と共に、乱暴に、
皮を、ずりおろしきった。
「あああああああああああ!!!!」
吉澤の声が、部屋中に響く。
そしてそれと同時に、
再び、ものすごい勢いで吉澤の肉棒から精液が、
”放射”される。
結構に亀頭とは離れていたはずの石川の顔に、
先程矢口にかけたときと何ら変わらない勢いで、
精液が飛んでゆく。
「キャッ!」
石川は慌てて目を軌道からそらし、
なんとか精液が目にはいるのを回避するが、
顔中にそれはぶっかかり、べとべとになってしまう。
「ぁぁぁぁぁ……。」
波打つこともなく、精液は”放射”されつづけた。
将に間欠泉の如く、だった。
その間吉澤が味わい続けた快感は、言うに及ぶものでなかった。
精液は延々と、石川の顔にかかりつづける。
”放射”が止む頃には、石川の顔は精液がかかっていない部分を探す方が大変なほどの事態になっていた。
「やだ……もう……。」
石川は言った。どう見てもいやがっているようには見えない、
嬉しそうな顔で。
(……素敵。)
小声で呟いた。




『泣かないと約束したけれど』

”放射”が終わり続けてもなお、吉澤の身体は痙攣し続けていた。
その瞳からは、涙が流れていたが、
決してそれは悲しみから来るものではなかった。
「梨……華……ちゃん……んぐっ。」
何かを言おうとする吉澤の唇が、
石川の唇によってふさがれる。
二人の舌が絡まり合う。
「ん……。」
精液でベトベトになった石川の頬が、
吉澤の頬に擦りつけられる。
しかし二人とも、そんなことには全く構わなかった。
なおのこと、口吻は続く。
舌と舌との絡まるその感覚は、
何とも不思議な物であった。
例えば、何かの味がする、だとか、
そういったことはあまり無かったのだが。
ともかくとして、互いの舌は、
不思議なほどに強く絡み合い、
まるでそれが固形物であるかのような錯覚さえ覚えられる。


「ぅ……ぁ……。」
やっとの事で二人の口が離れる。
それと共に、吉澤は微かな声を漏らす。
石川は、先程から比べては少し離れたところから、
吉澤の顔を見つめる。
(本当に……かわいいな……。)
石川の視線は、顔から、少しずつ、
下へと移ってゆく。
少し筋肉質な体付きは、力強さを感じさせる物であった。
しかし、その微かに震えている仕草は、
やはりどうしても、”かわいい”としか感じられないものであった。


やがて、視線は股間にたどり着く。
既に、この2、30分で、既に射精三回。
相当なハイペースであるにも関わらず、
未だ変わらずそそり立っている。
先程石川に無理矢理に剥かれて、
真っ赤な亀頭が姿を表わしている。
身体の動き以上に、大きく、それは震えていた。
(我慢できないよぉ……!)
石川は、再び吉澤に、勢いよく抱きついた。
「うわっ!」
吉澤は不意を付かれたせいか、
そのまま倒れ込みそうになるが、
何とかしてこらえたらしく、
そこから、何とか腰を立て、体制を持ち直す。
吉澤が、石川の顔を見やった。
二人の目線が合う。


少しの間、二人は見つめ合う。
石川は、言った。
「よっすぃ……入れて♪」
「!!」
瞬間、吉澤の顔が真っ赤に染まる。
「今更照れること……ないじゃない……。」
言いながら、石川は、左足を持ち上げると、
そのまま吉澤の腰元にまたがった。
肩に回していた両手の内、
左手を、自分の股間に持っていく。
大陰唇に指を添え、開く。
「ほら……。」
「……。」
石川が促すと、吉澤は黙って頷いた。


吉澤は自分の股間の小さな物に右手を添えると、
石川の局部に、それをあてがってきた。
「ん……もうちょっと下……。」
石川は言った。
吉澤の陰茎は、尿道の辺りに添えられていた。
さすがにちょっと無理がある。
「えっ……?」
吉澤はためらいの声を上げる。
どうにも勝手がよくわからない。
先程、勢いに任せて矢口を襲ったときには、
たまたま上手くいったのだが、石川に改まって迫られたせいか、
緊張しているのだ。
「もうっ……。童貞君はダメだね……。」
石川は、吉澤の肩に残されていた右手を外すと、
自分の股間にあてがわれた、吉澤の男根を掴む。
「ほら……。」
自分の膣口に、導いた。
そのまま、一気に、滑り込ませた。


「んっ……!」
吉澤は、思いっきり目を閉じる。
「ぁぁぁぁ!!」
いきなり、思いっきり腰を動かし始めた。
「キャァッ!」
吉澤の予想外の動きに、石川は驚き、悲鳴を上げる。
「り、梨華ちゃんっ!梨華ちゃんっっ!!」
「よっすぃっ!イイっ!あぁっ!あんっ!」
吉澤の腰の動きに呼応して、
石川もまた、動く。
互いに刺激を与え合う。


吉澤の肉棒を軟らかな肉の質感が包み込む。
小さなそれであるにもかかわらず、
思いっきり強く、締め付けられる。
腰を動かすのも大変なほどに、
食いついて、離れない。
「あんっ!あぁぁっ!ふあぁっ!」
石川のいわゆるアニメ声が、
吉澤の耳に飛び込んでくる。
それは吉澤がこれまで16年間生きてきた中で聞く、
最もいやらしい音だった。


相変わらず、腰の動きは止まらない。
「梨華ぁっ!梨華ぁっ!」
乱暴な声を上げながら、石川を見た。
両腕は縮こまらせ、両目をぎゅっと閉じ、
ただ、腰が動くごとにあえぎ声を上げるその様は、
ただひたすらに欲情を誘う物であった。
そんな風に、吉澤が石川の顔を凝視しているのに、
どうにも石川は気が付いたらしく、
ギュッと閉じた目を開けると、
吉澤の方を見た。
二人の視線が合った。
石川は言った。
「ぁぁ……っ!よっすぃ……っ!
気持ちいいよぉ……っ!」
ただでさえ真っ赤だった吉澤の顔が、
救いようもないほどに赤くなる。
(可愛すぎるよぉぉっ……!あぁぁぁぁぁっ……!)
吉澤の腰が四度、激しく痙攣した。
これまでで一番強い震えだった。
「ああぁぁっ!あぁぁっ!あああぁあぁっ!
ふぁぁぁぅぅっ!出るぅっ!出るぅっ!」
吉澤は言った。
それと共に、また、放射が始まった。
尿道を、何かが駆け抜ける。
石川の膣の中が、熱いものに覆われていくのを、感じる。
吉澤はまるで病気のように、
身体を痙攣させ続けた。
精液は止めどなく、肉棒の先から石川の膣の中へと流れ込んでいた。




『アナタに会えた それだけで良かった』

後藤は横たわる矢口の身体にまたがると、
矢口を見下ろし、言う。
「あっちは楽しそうだね。こっちも……ね?」
右手で男根を掴む。堅く勃起はしているものの、
どこか力がない。
「ホラ……頑張って……。」
手を上下させ、肉棒をしごく。
「ふぁぅぅ……。」
矢口はなおのこと力なさ気にあえぎ声を上げる。
「もう……。」
少し腰を上げ、肉棒にあてがい、
右手で、膣内に導く。
「入れるよ……。」
言うのだが、矢口の返事はない。
呆然と天井を見上げているようだ。
(……もう。)
一気に腰を落とす。
亀頭が完全に膣内に突っ込むと、
右手を離し、左手と共に矢口の腹の辺りに置く。
膣内を、硬い玉のような者にかき混ぜられる感覚。


「あぁっ……!……大きいよぉ……。」
後藤の表情が恍惚する。
口元からはだらしなくよだれがこぼれているが、
気にしていないのか気付いていないのか、
ともかくとして放置されている。
「もう……矢口も動いてよ……。」
不機嫌に言うのだが、矢口は返事をしない。
微かに首を動かしたようにも見えるが、
動きが微妙すぎて。
縦に振ったのか横に振ったのか判断が付かない。
「……。」
口元を、とがらせる。
仕方なく、自ら、腰を上下させる。
(騎乗位って疲れるんだよな……。)
不満に思うが、矢口が反応しない以上仕方がない。


「あぁっ!あぁんっ!」
声を上げる。
「いいっ!あぁぁっ!あぁぁんっ!」
激しく腰が動く。
矢口が全く動かないにもかかわらず、
後藤ばかりが勝手に動き、
快感に浸る光景は、
少しばかり異様な感じではあった。
「いいよぉっ!イクぅ!イクぅっ!」
後藤の目と膣が、キツく閉じられる。
すると目から涙が、膣から変な液が、こぼれ出る。
それとほぼ同時に、膣内に、やたら生暖かい感触。
……矢口の精液だ。
後藤は、矢口が射精したことに気が付くと、
また、口をとがらせる。
「……感じてるんなら何か反応しなさいよ、白けるじゃない。」
後藤は言うのだが、相変わらず返事はない。
矢口の瞳は相変わらず天井をまっすぐ見つめている。




『僕たちは生きるほどに 失くしてく 少しずつ』

「よっすぃ……もっとぉ……。」
「矢口、もう一回するよ。」
「よっすぃのチンチン気持ちいいよぉ……。」
「コラ矢口!お前も動け!」
「矢口さんともするのぉ……。」
「よっすぃのチンチン……かわいいね。」
「矢口さぁん!梨華、イッちゃうっ!イッちゃうよぉっ!」
「よっすぃ照れてるんだ……。ふふ……。」


狂乱の夜は続いた。
男達はただ求められ、差し出していた。
命を削りながら。
女達の欲望のままに。
もちろん、男達の欲望もまた、
止めどないものではあったが。


……何時間経っただろうか。
矢口も吉澤も、数え切れないほど射精をしていた。
部屋中に、精液やら愛液やら何やら変な体液やらが散乱していた。
そして様々な体液とトイレの芳香剤の臭いが漂っていた。
普通の状態の人間なら十分も居られないであろう程に、
ただでさえ汚い石川の部屋は汚れていた。


後藤も、矢口も、石川も、吉澤も、
部屋の中に倒れ込んでいた。
後藤は矢口の股間の元へ、
匍匐前進していった。
体中が疲れでがたがたになっているが、
それに耐え、何とか目的地へたどり着くと、
手コキのしすぎでの握力が無くなりかけた右手で、
矢口の肉棒をつかむ。
「矢口ぃ……もっとするぞぉ……。」
完全にフニャフニャになったそれは、
色々な液体でヌルヌルになったせいで、
上手く掴めない。
後藤はそんな肉棒を、
うつろな目で見つめながら、いじくりまわしていた。
しかしいくら触っても勃起しないそれに、
後藤は苛立ち、ついに起きあがった。


「もう……矢口……。まだまだだよ……。」
後藤は座ったまま、矢口の顔をのぞき込む。
「う……。」
後藤の表情が歪む。
矢口は白目を剥いていた。
「……ひょっとしてコレって……ヤバいかな……?」
後藤が呟いた時だった。
石川の声が後ろから聞こえてきた。
「ねぇごっちん……。よっすぃが動かないんだけど……。」
後藤は極限まで達していた己の疲れも忘れて、
勢いよく振り返った。
石川が吉澤を抱きかかえているのが目に入る。
手を付いて立ち上がり、二人の元へ急ぎ、行った。
そちらで座り込み、
吉澤の顔をのぞき込む。
吉澤もまた、白目を剥いていた。




『駆け出す世界に心奪われて』

「あーやる気しねぇ……。」
矢口の口から言葉が漏れる。
殺風景な風景に囲まれて、
何の刺激もない世界。
テレビもラジオも、
あるにはあるのだが、付けること自体が面倒臭かった。
よってひたすら、
何か模様があるわけでもなく、
嫌に綺麗な病室の白い壁を見つめながら、
適当な言葉を吐いていた。


石川宅から、タクシーで病院へ運ばれ、
入院が決まってから一晩が開け、
起きたのが昼下がり、十一時。
今では昼食も摂り終わり、既に午後の三時になっていた。
起床から未だ四時間。
しかし、何もやることのない病室では、
その時間は長すぎた。
最も、何かやることがあったとしても、
今の矢口ならば、面倒くさい、と言うことで、
実行には移されなかったのであろうが。


矢口は少しだけ、
最低限の動き、首を左に曲げた。
隣にはもう一つのベッド。
そこには、吉澤の姿があった。
先程までの矢口と同じく、
どこともつかぬ、病院の壁を、
ただ、見つめていた。
矢口に見られていることには気が付いていないようだ。
吉澤もまた、入院し、
矢口と同じく、無気力に、
ただ、過ごしていた。


「ねぇよっす……。」
矢口が口を開き吉澤に何か言いかけた時だった。
「ボワーン!」
部屋に少年の声のような者が響いた。
先程までの無力さ加減が嘘のように矢口は、
そして吉澤は声の方を見やる。
玄関口の方だ。
そこには、背の低いいしだ壱成似の顔をした少年の姿があった。
矢口に男根を付けた張本人、
エロスの世界の神、ジョニエルだった。




FLY ME SO HIGH』

矢口は目を大きく見開く。
「アンタはっ……!」
ジョニエル矢口が何かの言葉を続けるのを遮るように言った。
「おひさしぶりんこうんこ、ヤグっつぁん。
そしてはじめましてよっすぃ。」
矢口は枕元に置いてあった時計をわしづかみにすると、
ジョニエルの方に向かってブン投げた。
時計はまっすぐな弾道でジョニエルに向かって飛んでゆく。
「うぉ!」
紙一重にそれを交わすジョニエル。
廊下のっむこうの壁に、外れた時計がぶつかった鈍い音が聞こえる。
「酷いなぁ。
久しぶりにあったのにいきなりソレかい?」
そういうジョニエルの顔を、
矢口はまるで鬼のような形相で睨み付けている。
吉澤と言えば、何がなんだか判らないと言った感じでぼーっとしているが。
ともかくとしてジョニエルが口を開く。


「まぁまぁ落ち着いて。
ところでヤグたん、どうにも苦戦しているらしいね。
君にそれを与えてから、もう七ヶ月も経つのに。」
「そんなっ!100人なんて無理に決まって……!」
「100人ぐらい、相手さえ選ばなければ簡単だろう?
それを君と来たら……。
石川さんと?後藤さんと?市井さんと?よっすぃと?
ソニンたんに?ユウキ君?ハハッ!綺麗所バッカリだ。
選り好みできる立場なのかな?」
「う……。」
「どっかの血気盛んなお兄さんにでも輪姦してもらえば、
一気に数なんて稼げるじゃないか。
あるいはヲタ達にでも頼んでみたらどうだい?
『矢口をレイプして下さい!』
ってね。相当にお釣りが来ると思うよ?」
「くっ……。アンタいい加減に!!」
「君ときたらいっつも梨華たんとばっかりヤリまくり。
そんなことしてる暇があったら他のまだヤッたこと無いヤツとヤること考えろよな。
挙げ句の果てにやりすぎで腎虚で入院ですか。いいご身分だ。
お医者さんも驚いてたよ?ヤリすぎで腎虚になって入院した女の子は初めてだってね。」


ジョニエルの言葉を聞いて、
矢口はハッとする。
「あ……医者……!」
医者に、身体のことがバレてしまった。
マズいのではないか。
一応、病院な訳だし、患者のプライバシーは守ってくれると思うのだが。
やはり、不安は消せない。
矢口の表情があからさまに変わる。
そんな矢口の表情を見て、
ジョニエルはニッコリ微笑んだ。
「まぁ、そのことは心配しなくていいよ。
ここの病院の院長と、さっきお友達になってきたから。」
「お友達?」
「ウン。フレンドリーに話し合えば判ってくれたよ。
絶対にこのことは漏らさないって。」
「……そ、そう……。
じゃあアンタが後ろ手に血まみれのトンカチを持っていることには触れないでおく。」
「……まぁそんなことはどうでもいいんだ。
それよりも今回はいい知らせ。」


「……いい知らせ?」
「そ。君のチンポに関する条件変更。」
「え……?どういうこと?」
「ホラ、言ってたじゃない。
一年以内に百人とやらないと男、って。
その条件変更。」
「へ、へぇ……。
良い知らせってことは、
緩和されてるんだよね?」
「もちろん。」
「じゃあ……聞かせてよ。
その条件ってのを。」
「オッケイ。」


ジョニエルはコホン、と咳払いをすると、
背筋を伸ばし直して、改まり、言った。
「まず、時間制限は無し。
男にってのも、
君が完全に続ける気を無くした、
とこちらが判断するまで。
君があんまりにもトロいからね。」
矢口の口元がゆるむ。
「へ、へぇ……、それは良かった。」
更にジョニエルは続ける。
「但し、100人って条件は変えません。
つまりあと、100人ヤらない限り君たち一生チンポね。」
「そっか……100人……。え?君たち?君たちって……。」
矢口は後ろを一度ゆっくり振り返る。
吉澤の顔を見る。
吉澤は全く反応しない。
まだ、疲れが取れていないようだ。
もう一度ゆっくり、
ジョニエルの方に向き直り、言う。
「たち……って?」
「君と、よっすぃと、ちゃむ。」
(……紗耶香も入るんだ……。)
「……プラスアルファ。」
「ハァ?」


「君と、よっすぃと、ちゃむと、
それプラスアルファ、全員で、
併せて、百人とヤればオッケー。
どう?数段簡単になったでしょ?」
「ま、まぁね……。
でもプラスアルファって……。」
「そいつぁ後でのお楽しみ。」
「そんな……。」
「ついでに重複は認めません。
ようするに、例えばゴマたんは、
君とも、よっすぃとも、ちゃむともヤったことがあるわけだけれども、
カウントは一人だけ、だからね。」
「そ、そう……。」
「とりあえず、君と、よっすぃと、ちゃむ、
全員が併せてやったのは、
7人だね。その中君は6人とやっているワケだけど。」
「え、後の一人は?」
「君自身。」
「……そっか。」
「まぁ頑張ってよ。
百人まではまだまだ遠いと思うけれどね。」
「……。」
「ちなみにプラスアルファってのはとりあえず君たちのお仲間の内の一人だよ。
強力な助っ人になってくれるはずさ。
じゃ、頑張ってね。チャーオー。
チャーミージョニエルでしたー。」
言うとジョニエルは、扉の向こうへと消えていった。
「プラスアルファ……誰だろ?……石川かな?」




丁度時間的に同じ頃だった。

「……どういうつもりや?」
加護が、仰向けに倒されていた。
女の手で、肩を、強く、床に押さえつけられていて、
身動きが取れない。
その視線は真っ直ぐ、
肩を押さえつけている手の持ち主の方へと向けられていた。
「……どういうつもりや、ののっ!?」
加護の視線の先には、
鼻息を荒くして目を大きく見開いている辻の顔があった。
「あいぼん……ごめんッ!」
辻は加護を押さえつける腕を畳んで、
自身の身体を加護の身体に近づけると、
そのまま、顔を覆い被せ、唇を奪った。
「んんーっ!」
加護は二度三度、足をばたつかせ、
必死に声を上げようとして抵抗したが、
全く反応しない辻から、
どうにもならないことを察し、すぐに、辞めた。
キスは、暫く続いた。
加護からは全く見えないのだが、
辻のズボンの、股間の辺りが膨らんでいた。




『どんな理由であなたと今こうしているの』

辻はおもむろに、
己の腰に右手を伸ばすと、
ショートパンツのベルトを、
ぎこちない手つきで外した。
ボタンを外すと、そのまま、下ろす。
無地で白い地味な下着が、姿を表わす。
激しく盛り上がっている。
下着の上の方から、
真っ赤な亀頭が、少しはみ出している。
先程と似たような動きで、一気に下着もずり下ろされる。
ビンビンにそそりたった肉棒が姿を表わす。
長さ、太さ共に、日本人の平均男性と同程度か。
しかし、辻の小さな身体にそれが生えていると、
やたら大きく見える。
その上に、辻の股間は妙に毛が薄かった。
うっすらと、本当に産毛程度にしか陰毛が生えていなかったため、
その陰茎は、、やたらと目立った。
「あいぼんッ!」
辻は言いながら、パンツを脱ぎ終わった手をそのまま、
加護の股間へと回す。
「や、やめて!」
加護が必死に抵抗しようとして、
足をジタバタさせるのだが、
何せ辻は見かけに寄らずやたらと腕力が強い。
抵抗は全く、意味を持たない。


加護のスカートも、パンツも、一気にずり下ろされた。
「イヤァッ!」
恥辱に加護は、首を大きく横に振る。辻に押さえつけられていない左手の方で、
自分の顔を覆い隠す。意味が無いとは判っていても。
辻と同じような、毛の薄い股間。
しかしそこには男性器はなく、普通の女性器が姿を表わす。
辻の十四歳の身体に、一人前の男性器が備わっているのは、
結構に不自然な事であったのだが、
加護の十三歳の身体に備わっている女性器も、
相当に不自然に見えるほどに、成熟しきっていた。
恥丘はきちんと盛り上がり、
陰唇も完全にめくれていた。
その様は、ハッキリ言ってグロテスクにも思えた。
ただでさえ加護の童顔に対して不気味なほどに成長した女性器が、
不似合に毛が薄く、目立つのだから。
しかし、興奮しきった辻にはどうでも良いことだった。
辻は、ただとにかく、入れたくて、出したくて、仕方がなかった。


「すぐに終わるからっ!」
と、先日誰かが吐いていたような台詞を並べると、
自らの陰茎の根本を押さえ、加護の性器に押し当てようとした。
その時だった。
ガチャンッ!と言う、部屋のドア勢いよくが開く音。
そしてそれとほぼ同時に聞こえてくる女の声。
「なにやってんのっ!」
辻も加護も、その声の主が、視界には入っていなかった。
それでも、声を聞いただけで、
それが誰なのかは認知した。
そして加護は、その瞬間に、
今自分がするべき最前の行動を認知、実行する。
出来る限り大きな声で、加護は叫んだ。
「飯田さん助けてっ!!!」




負けないで生きてゆく ぼくらは』

飯田は辻と加護の方を見た。
最初に気になったのはまず、二人の体制だった。
仰向けに、倒れている加護の上に、
辻が覆い被さっている。
加護は、必至に起きあがろうとしているようだが、
辻の身体が邪魔で叶わないようだ。
首だけを必至に持ち上げ、
飯田の方を見ようとしている。
辻の方はと言うと、
加護の両手を押さえつけ、うずくまっている。
飯田にちょうど背を向けているため、顔は見えない。
故に、ただひたすらうつむいているのか、
それとも加護を見ているのかはわからなかった。
そして、飯田の意識は、
辻加護の股間へと行った。
辻のむきだしにされた尻が、
おもいっきり突き出されているのが、
最初に目に入る。
十四歳の少女の、白い尻がむき出しにされている光景は、
何とも異様な物であった。
そしてその下に、微かに見える加護の下半身。
じたばたと動いているその様子は、
やはり異様だった。


ともかくとして飯田は、
頭の中で何かを考えるまでもなく、
無言で辻加護に歩み寄った。
辻は相変わらず、下を向いたままだ。
やがて二人にたどり着いた飯田は、
辻の首根っこを掴む。
「ひー!」
辻が声をあげるのを無視して、
強引に引っ張り上げる。
割と重めであるはずの辻の身体を、
軽々と持ち上げる。
「……。」
辻がゆっくりと振り返り、飯田の顔を見上げる。


辻と飯田の目が合う。
「辻、何してた?言ってみな。」
ただでさえ少し怖い飯田の顔が、
表情が無くなっているものだからますます怖い。
「ら、らって……。」
「だってじゃない!」
言いながら、辻を無理矢理に立ち上がらせる。
辻は飯田の方に身体を向き直り、
こわごわと顔を見上げる。
その煽りで、飯田の視線にはギンギンに勃起した辻の肉棒が飛び込んできた。
「なんだよそれ。」
「こ、これは……。」
辻は何かを言おうとした。
しかし、続く言葉が出てこない。
とりあえず辻は飯田の顔を直視した。
注意を受けている時は、
きちんと相手の目を見て聞かないとダメだと、
以前飯田に言われたことがあったからだ。
「よ、よくわかんないんだけど……。」
辻がやっとのことで言葉をひねりだすも、
やはり続かない。


飯田の視線が、相変わらず辻を捉え続けている。
辻は何も言えずに、ただ視線に向き合うだけだった。
そのまま沈黙が暫く続く。
やがて辻は、飯田の様子がおかしいことに気が付く。
「い、いいらさん……?」
辻は恐る恐る飯田に話しかける。
反応がない。相変わらず飯田の視線が一点に集中している。
辻はゆっくりと、飯田の視線からフェイドアウトしてみた。
……飯田は全く反応せず、
視線が変わる様子もない。
「交信してる……。」
辻は言った。
なにもこんな時にすることも無さそうなものだが。
「あの……。」
これまでずっと、座り込んだまま黙っていた加護が立ち上がった。
「飯田さ……。」
飯田に何かを言いかけた時だった。
「よしわかった!」
飯田は大声で言った。
突然の大声に、辻加護は驚き震え上がる。
飯田は辻の方へと再び向き直り、言った。
「辻、メンバーにこんなことしちゃいけないことはわかるよね。」
「は、はい……。」
「おしおきが必要だね。」
「……うう。」
飯田はニッコリといやらしい笑みを浮かべた。




『太陽のように強く咲いていたい』

飯田は辻の後ろに回り込んだ。
両手を肩から回して抱きつく。
顔を左肩から出し、辻の顔を見た。
辻は目線だけをそちらに向ける。すこしたじろいだ様子だ。
そんな辻の表情を見て、飯田の口元がゆるむ。
……口を開いた。
「なぁ辻、どうして加護を押し倒したりしたんだ?」
飯田と辻のやりとりを、
加護はただまっすぐ、不安そうな目で見つめている。
辻がゆっくりと口を開く。
「そ、その……。
さっき起きたら……。コレがあって……。
でよくわかんないんだけど、
こう……なんかしたくなって……。」
「なんか、って?」
「そ、その……わかんないよ……。
あの……なんか、あいぼんのこと見てたら、
なんか……。」
「欲情したんだ?」
「よ、よくじょう?」
「ムラムラ来たんだろ?」
「ム、ムラムラ……。」
「加護のことを見てたら、
それがおっきくなって、固くなったんだろ?」
「う、うん……。」
飯田に簡単な言葉に直されて、
やっと辻は要領を得る。


「で、加護のことを押し倒したんだな?」
「うん……。」
「で、もし圭織が来てなかったら、
あのままどうするつもりだったんだ?」
「そ、その……。」
「その?」
「これを……。」
「これって何かわかる?」
「……。」
「これって何かわかる?」
「お……おちんちん。」
「そうだ。で、おちんちんを?」
「その……入れようと思った……。」
「入れる?どこに?」
「あいぼんの……。」
「加護の?」
「その……あそこ……。」
「あそこ?どこ?」
「……。」
「どこ?」
「お、オマンコに……。」
「なんで?」
「えっ……。」
「なんで?」
「……い、いや……。
「なんで?」
「その……。」
「なんで?」
「き、気持ちいいと思ったから……。」
「気持ちいいんだ?なんで知ってるの?」
「そ、そう聞いてたし……。」
「ふーん。」


飯田が何かを言うたびに、
息が辻の耳に吹きかかっていた。
飯田には、そのたびに辻の顔が赤くなっているのがわかっていた。
そんな辻の表情に、飯田は何とも言えない恍惚を覚えていた。
「最初っから言ってみて。」
「え?」
「最初っから。」
「最初って……。」
「辻は、なにをしていたら、どうなって、
どうしたくて、だれの、どこに、なにをしようとして、
どうなろうとしていたの?」
「え……。」
「ほら、答えなよ。」
「……。」
「……。」
「つ、辻は……。」
「辻は?」
「さっき気が付いたら……その……これが生えていて……。」
「これ?」
「ちんちんが生えていて……。」
「で?」
「あいぼんを見てたら、我慢できなくなって……。」
「我慢できなくなって?」
「あいぼんの……お、……おまんこに……。」
「おまんこに?」
「ち、ちんちんを入れようとして……。」
「うんうん。」
「入れようとして……。」
「入れようとして?」
「お、押し倒して……。」
「押し倒してどうなりたかったの?」
「……き、気持ちよくなりたかった。」
「よくできました。」
辻の頬からは大粒の涙が伝っていた。
辻の亀頭からは大量の我慢汁が伝っていた。




『美しく花ひらいたその後はただ静かに散って』

飯田は顔を上げて、加護に声をかける。
「加護ぉ。」
「ハ、ハイ!!」
「辻はぁ、加護のこと見てたらエッチな気分になっちゃったんだって。
で、無理矢理加護とエッチしようと思っちゃったんだって。」
「は、はぁ……。」
「なんでそんなにチンチン入れたいんだろうね。加護わかる?」
「い、いえ……。」
「じゃ、辻に聞いてみようか。」
言い終わると飯田は再び視線を辻に戻す。
「ねぇ辻、なんでそんなにチンチン入れたいの?」
「な、なんでって……。」
「圭織チンチンなんて無いから、わかんないんだ。教えてよ。」
「そ、そんなこと言われても……。」
困っている辻の右手を、飯田は右手で掴んだ。
そしてその手を、辻の股間に導く。
「こうすると気持ちいいんでしょ?」
言うと飯田は辻の指をいじって、
自身の肉棒握るように促した。
辻の反応は鈍く、動きが遅いため、
すぐに、飯田は無理矢理に掴ませるように仕込む。
「ん……。」
「こうすると気持ちいいんでしょ?」
辻が自身の肉棒を掴むと、飯田は辻の手首を掴んだ。
そしてその手首を握ったまま、腕を上下させ始めた。
「……っ。」
辻がきつく目を閉じる。歯も思いっきり食いしばられ、
とにかく力んだ様子がうかがえる。


「ほら……こうすると気持ちいいんだよね……。」
飯田の手の動きが段々早くなる。
「あっ……あっ……!」
辻の口から声が漏れ始める。
飯田はなおのこといやらしく笑い、言った。
「感じてるんだ?」
「……そ、そんな……。」
辻は何気なく、飯田の言葉を否定する。
それが飯田の神経をくすぐってしまった。
「へぇ……感じてないんだ。
じゃあもっとしても大丈夫なんだな!」
言うと飯田は、素早い動きで辻の手首を握った右手を離し、
指先の方へとスライドさせた。
そして辻の小さな手の下部ごと、
陰茎を強く握った。
「!!!」
反応した辻が言葉を吐くよりも早く、
飯田は激しく手を上下させた。
先程までの何倍ものスピードで。
そのあまりにも激しい動きに、
辻の表情がふにゃふにゃに崩れてゆく。


「ふぁっ!!ふぁぁぁっ!!
ふぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」
辻が叫び声をあげると、
腰が激しく四度五度、痙攣する。
飯田はそれでも腕の動きを止めず、
なおも異常な素早さで腕を上下させる。
「いやぁぁぁっ!!あぁぁぁあぁっっ!
あぁぁぁぁぁぁっっっっっ!ああぁぁぁぁぁぁっっっっっ!」
痙攣から少しの間をおいて、
辻の陰茎の尿道に、
一瞬、白いものが頭を出したかと思うと、
勢いよく、飛び出てきた。
その速さは、人間がなんとか微かに認知できる、
限界に近い速さだった。
精液は放物線を描いて、
飯田と辻の向く正面の方へと飛んでいった。
三メートルほど飛んだ所に落ちる。
そこにちょうど加護がいたものだから、
加護の頭には大量の精液がかかってしまっていたが、
今の飯田と辻にはどうでもいいことであった。
加護は悲鳴を上げて、嫌そうに精液を拭おうとしていたが、
周りからは放置されていた。
それよりもただひたすら、
辻の叫び声が辺りに響く。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっ!」
飯田の手の動きは、
辻が射精している間も、なおのこと素早さを保っていた。
その手の動きは、辻を襲う射精の快感を何倍にも増幅させていた。
そしてその快楽の続く時間は、
尋常でない断続性を誇っていた。
桁外れの快楽は、辻の意識を奪う。
辻は目を閉じたかと思うと、そのまま首をコクンと落とした。
射精の余波はなおのこと続き、
少しずつながら、精液が何度にも別れて飛び続けていた。
飯田の手はなお、動き続けていた。




『君がどこかで微笑んでいてくれるならそれでいいから』

矢口はベッドの上に未だ座ったままだった。
そのまま左を向き、吉澤に話かける。
「ねぇよっすぃ?」
……吉澤の反応はない。
相変わらずどこを見ているのかわからない様子で、
ぼーっとしている。
交信中の飯田にそっくりだ。
「ダメだこりゃ。」
矢口はため息を一つついた。その時だった。
部屋のドアが開く音がした。
「だれっ?」
矢口は勢い良く扉の方を振り返る。
そこには、大きな鞄を持った石川が立っていた。
「チャーオー。」
石川は手をLの字にして微笑んだ。
「なにがチャーオーだバカ。」
矢口は石川の呑気そうな顔を見て苛立ちを覚える。
「お前と後藤が無茶苦茶やるからこんなことになったんじゃないか。」
「まぁまぁ。」
言うと石川は病室の中へと入ってきた。
「お見舞い持ってきましたよ。」
手に持った大きな鞄を矢口の寝ているベッドの近くの机に置いた。
「バナナとぉ、メロンとぉ、りんごとぉ……。」
石川は言いながら、一つ一つの品を、取り出す。
矢口はそんな様を目で追っている。


(月並な見舞いだね……。)
そんなことを考えていた時だった。
ふと、石川の置いた鞄の向こうに、
もう一つ鞄が置いてあるのに気が付く。
「あれ?石川、そっちの鞄も石川が持ってきたの?」
「あれ?違いますよ?」
その答えが返ってくるのは判っていた。
矢口は石川が部屋に入ってくる時から今までずっと、
石川から目を離さずにいたのだから。
「じゃあなんだろう一体……?」
「開けてみましょう。」
石川は素早い動きで、あっと言う間に鞄を開けた。
そのまま流れるような速さで、中身を取り出していく。
「なんだそれ?」
矢口が言った。


まず中から出てきたのは、一枚の紙切れだった。
石川がそれを読み上げる。
「えーと、
『神の国から2001、エロエロ七つ道具』。」
「なんだそりゃ。」
「『ヤグたんも苦戦しているようだし、
ここは神様から色々とプレゼントをあげるね。
これを上手く使って百人斬り頑張ってね。』
だそうです。」
「ふーん……。」
「とりあえず出してみましょう。」
石川は続けて鞄からものを取り出す。
一枚の機械パネルのようなものが出てきた。
液晶のようなものが真ん中にあり、
デジタル数字で
「007」
と表示されていた。
矢口は言った。
「なんだろこれ?」
石川はパネルの裏側に文字が書いてあるのを見つけて、読み上げる。
「『百人斬りカウンター』。」
どうやら道具の名前らしい。
矢口も石川も、
名前を聞いただけでその道具の意味がわかった。
「なるほどね。」
「これを100にすればいいんですね。」
「そういうことだね。
じゃ、次出してみてよ。」
「ホイッ。」


石川発付けて鞄に手を突っ込み、
道具を取り出す。
小さな茶色い小瓶が何本か出てきた。
「何それ?」
「えーと、
『出し過ぎ、抜きすぎでお疲れのアナタに。
エロエロンゴールドD。タウリンちょっとヤバイくらい大量に配合』
だそうです。」
「なんじゃそりゃ。
でもまぁ、今の矢口達にはちょうどいいかもね。
飲んでみようか。ちょっと貸して。」
石川は矢口に瓶を一本差し出した。
矢口は瓶の蓋を開ける。
瞬間、辺りに異臭が立ちこめる。
「うっ!」
「きゃっ!」
イカの臭いが一瞬で病室中に広まる。
「うっわ……。」
「コレは……。」
矢口は瓶の中を見る。
真っ白な液体が中に、一杯一杯入っていた。


「……これって……。」
「で、でも一応薬みたいですし……。」
「胡散臭いなぁ……。
矢口こんなの飲みたくないよ……。」
矢口の表情が歪む。
少し考え込む。そしてふと、
矢口の表情が晴れる。
「そうだ!じゃあよっすぃに飲ませてみよう。」
「えーっ。」
「よっすぃ矢口以上に気が抜けてるみたいだし。
ほら。おねがい。」
矢口は石川に、開封済の瓶を手渡した。
「わかりましたよ……。」
石川は瓶を持って、吉澤のベッドへ向けて歩く。
吉澤の隣に立つ。
相変わらず吉澤は交信中の飯田のような体制を保っていた。
「じゃあ、よっすぃお口あけて……。」
吉澤が口を開ける様子がないので、空いている方の手の指を、
吉澤の口に突っ込み、こじあける。
そして瓶を吉澤の口にあてがい、
「お〜い〜し〜いザ〜メン飲むのだぴょ〜ん♪」
唄いながら、流し込む。
ちなみに微妙にメロディは外していて、
ソの音がフラットしている。
ともかくとして、白く、濁った液体が、
吉澤の口に流し込まれた。
吉澤は、なんだかよくわからない内に、それを飲み込んでゆく。
「……。」
「……よっすぃ?」
吉澤の体が震えだした。
「……よっすぃ?」
「ど、どうしたんでしょう?」
「ウ……ウ……。」


次第にうめき声を上げ始めた吉澤は、
こしを丸めてうつむき加減の姿勢になり、
口を半開きにしてなおのこと、震えていた。
「な、なんかヤバい薬だったんじゃないの!?」
「よっすぃ〜〜!!」
「ウ……。」
震える吉澤を見つめる二人、
そんな折りに、一瞬の間が出来た。
辺りに僅かばかりの、沈黙。
そしてすぐに、吉澤が叫び声を上げた。
「ウガー!!」
吉澤は勢いよく両手を振り上げると、
それを石川の肩に伸ばし、掴んだ。
「キャッ!」
「ウガー!!」
そのまま強引に石川を抱き寄せると、
肩から手を回してベッドへと叩き伏せ、
自分の身体で石川を巻き込もうとする。
「よ、よっすぃ!?」
矢口は目をまん丸にして二人の方を見る。
が、吉澤の動きのあまりの気迫に、
何も出来ずにる。
吉澤が、半分腰を立ち上がらせた拍子に、
かかっていた布団が外れた。
そしてそこから現れた下半身には、
小さいながらも視認可能な、突起があった。
吉澤は倒された石川の身体に被さる。
「よっすぃ!やめて!」
「ウガー!!」
「キャーッ!」
吉澤は石川の服を脱がせようと、手を掛けた。
その時だった。


「ギャーーー!」
と言う吉澤の声と、
カチカチカチカチカチと、
短い周期で音が鳴るのと、同時だった。
音が鳴りやむと同時に、吉澤は首をガクンと落とし、
そのまま石川の身体の上に倒れ込んだ。
「キャッ!」
石川は吉澤の身体の重みに、思わず声を上げる。
「もう……重いってばぁ。」
言いながら、吉澤の身体から、自分の身体を何とかして滑り出させ、
脱出する石川。
「お洋服がよごれちゃうから、今はダメよ♪」
笑顔でそう言う石川の左手には、
何やら黒い、棒のような物。
(スタンガンだ……。)
矢口は身震いした。
そんな矢口を差し置いて、石川は気絶した吉澤の下半身に手を伸ばす。
「すっごいですねぇ〜。
飲んだばっかりで、こんなにビンビン。
これは効果在りますよ〜。」
石川の言葉を聞いて、矢口はハッと我に還る。
「あ、う、うん。そうだね。
じゃあ矢口も、飲んでみようかな。」
その言葉を聞くと石川は、黙って鞄の方に歩き、
瓶をもう一つ取り出し、
矢口に渡した。
「どうぞ。」
「ありがと。」
矢口は瓶の蓋を一気に開けると、
あまり中身の臭いをかがないように、
一気に飲み干した。
横で石川が、
「ザーメンを飲みました♪(飲んじゃった♪)」
と唄っているのは、とりあえず無視した。




So faraway』

「……!」
身体がまるで、
何かを打ち付けられたように震えた。
そして体中が、一気に熱くなる。
「……え……あ……!」
股間の辺りに、僅かばかりの痛みが走る。
そしてそこから、全身へ染みこんでいくかのように、
精気が流れ込んでゆくのを感じる。
「そ、そんな……!」
先程まで、完全に力を失い萎んでいた肉棒が、
一気に立ち上がり、硬直する。
「ふぁっ……ぁ……。」
ビクビクッと、股間の辺りが痙攣する感覚を覚える。
そして、一気に大量の我慢汁が、
分泌され、駆け抜けてゆくのを感じる。
「ハァ……ハァ……あっ……。ふぅ……。」
矢口は両手で自分の腹を抱え、かがみ込む。


(そんな……すごすぎるよ……。あ……。)
気がおかしくなりそうだった。
先程までのように、普通に座っていることが出来ない。
こうしていう今も、身体の奥底から、
変態じみて強い力が、こみ上げてくる。
矢口はやっとのことで首を右に曲げる。
石川が居る。
……女だ。
女が、今、自分の目の前に居る。
「い、石川ぁっ!」
矢口は勢いよく自分にかかった布団をはねのけると、
石川に飛びかかろうとした。
その時だった。
『カチカチカチカチ』
聞き覚えのある音が部屋に響いた。
矢口はハッとして石川の方を改めて見る。
ニッコリと微笑んで、矢口の方を見ている。
その左手には、黒い棒が握られていた。
先端からは、放電。そしてカチカチ音。
「そんなぁ……。」
矢口は途方に暮れた。


「お願い石川、やらせて!」
「ダーメ♪
お洋服が汚れちゃうし、
昨日たくさんやりましたから、もう疲れました。」
「そこをなんとか!お願い!」
矢口は両手を会わせて、石川に頼み込む。
「ダメです。」
「そんなぁ……。
お願いだよぉ……矢口おかしくなっちゃうよぉ……。」
矢口は泣きそうな顔をして石川に訴えかけるが、
軽く流されてしまう。
そんな矢口を見て石川は、
やれやれと言った顔をして、肩をすくめた。
「しょうがないなぁ……。」
言いながら、懐から携帯電話を取り出す。
「ちょっと待っててくださいね♪」


石川は携帯のボタンを幾たびか押すと、
それを耳に当てた。
暫くして口を開き、言う。
「あぁ、もしもし?
都合良ければ来い。悪くても来い。
場所は……。」
病院の名前と場所が電話に向かって告げられた。
(石川の喋り方……なにか違うような……。)
普段の、ですます調の喋り方とは、違う、気の強い命令口調。
矢口は不思議に思うが、
あまり冷静に事を考えられないため、
それ以上の推測を巡らす行動はやめた。
「そっちの都合なんて知ったことじゃないよ。
今すぐ来い。五分以内だ。とにかく来い。来なかったら……。」
来なかったら、の後を続けずに、
石川は携帯を顔から話し、受話を切った。
矢口の方を見て、にっこりと微笑み、言った。
「もうすこしだけ我慢してくださいね、かわいい女の子が来ますから♪」




『この愛を絶やさぬように』

それから二十分ほどの間に、吉澤は二度、意識を取り戻していた。
二度、と言うのはつまり、
一度目覚め、すぐに石川に飛びかかり、
またスタンガンで気絶させられたのと、
その後に、もう一度目覚め、同じ行程でまた気絶、
と言うわけであったが。
その間矢口はただ、自身を押さえつけるべく、
うつむき、じっとしていた。
よほど、オナニーをしてしまおうかとも思ったが、
石川の呼んだ女と言うものに対する期待が、
自身の欲望に僅差で勝っていた。
三度ほど、矢口は石川に、誰が来るのかを尋ねたが、
やはり例によって石川は、適当にはぐらかすばかりだった。


だが、矢口の我慢もついに限界に達しようかとした時、
ついに扉は開かれた。
誰よりも早く、矢口が反応する。
「来た!」
ドアの方向へ振り返る。
続いて石川が、それに続き、
ゆっくりとドアの方を見る。
ドアの元には、一人の女が立っていた。
「え……。」
矢口から言葉が流れ出す。
「なっち……?」
矢口の瞳に映る女の姿は、
間違いなく、安倍なつみのものだった。


「遅い。」
石川は安倍の方へ視線を移さずに、言う。
「リハが……。」
「聞いてない。」
安倍が何やら言い訳をしようとするのを、
石川の言葉が遮る。
その時や愚痴が感じた違和感とは何であったか。
恐らくに、それは、
割と、生意気なことを言いがちではあるものの
(そしてそれが所謂「素」なのかわざとなのかの
判断を付けにくい曖昧さを持ち合わせている)、
一応、言葉遣いやらの面に於いて、
礼儀正しい人間であるといえる石川梨華に対する、
矢口自身が持つ先入観と、
今自身の目の前に居る石川梨華の姿が、
大分違っていることから来るものであった。


安倍なつみは、確かに、
後輩に対して、やたらと厳しい所、
いわゆる、飯田や保田の持つような、
どこかしら体育会系の人間の持つ者に似た、
時に、自身の機嫌云々に左右されるような、
御都合主義的ですらある厳しさを持つ人間ではなかった
(その反動としてか常に周りの人間に対し対等な立場から
わがままであるという側面がかなり強かったが)。
故に、礼儀に対しても割と寛容で在ると言えるし、
とは言え、決して度を超えた無礼を許すような人間でもなかった。
しかし、そんな安倍なつみに対して石川梨華が、
このような命令口調を効いていることは、
やはり不自然なことであった。
詰まるに、矢口の主観の中だけで構成される世界ではなく、
一般的な良心に従った客観の中から
見つめた光景であったとしても、
石川のとる安倍に対する態度は異常であった。
安倍は石川より五つも年上なのである。


その様な考えを採った矢口はやはり、
石川に対して異論を吐く。
「ちょっと石川、さっきからなんなんだよ。
なっちに対してそんな態度は……。」
その言葉を、安倍がさえぎった。
「い、いいんだよ矢口。
なっちがそれで良いって言ってるんだから……。」
その辺りの安倍の言葉にも、
矢口はどこか不自然さを感じずにはいられなかった。
安倍の目つきはどこか弱々しく、
また、矢口の方を見て話しているにもかかわらず、
時折石川の視線を気にしているような素振りを見せているのが、
あからさまに感じられていた。
最初、不自然に感じていた石川と安倍の間柄に、
この辺りになって、矢口はやっと察しが付いた。


(そういうこと、か……。)
安倍の弱々しい態度から大体の想像は付いた。
どのような手段を持ってしてか、
とにかく、石川は、安倍を「虜」にしているのだ。
石川が、誰かしら、娘。のメンバーを、
常に狙っていることは、
大体に想像が付いていたことだ。
(よっすぃだって結局石川が、ね……。)
そう、頭の中で、一人、結論付ける。
しかしそこでまた、別の、
どことなく心地悪い考えが、
矢口の頭の中から沸き上がってくる。


結果として、自分自身、
石川の「虜」にされてしまっているのではないか。
結局今の自分が、
どこかした、セックス依存症であるかのように、
ただ、女の身体のみを求め続けることも、
自身の人並み外れた精力のせいだとか、
先程飲んだ怪しい薬のせいだとかではなく、
石川との、日々、恒常的に行われた、
刺激的な、そして時に変態的ですら在った性行為により、
自身の欲望が、手の付けられないほどに成長してしまった結果なのではないか。
その様なことを、思い始めていた。


事実として言ってしまえば、
矢口が今、身体をひたすら求めている原因は、
自身の人並み外れた精力のせいだとか、
先程飲んだ怪しい薬のせい、と考えるのが妥当であった。
しかし現在の矢口の、それこそ、
先程飲んだ怪しい薬のせいで、
最高に強まった矢口自身の欲望が、
所謂煩悩と言うものになって、
矢口の脳味噌自体から直接、
冷静な判断能力を奪っていたのだ。
よって矢口は、どこか、
思い詰めたような考えを採り、
ナーバスな考えを、自身の脳内に在る、
思考回路の分岐点の中から選び出していた。
もちろん、矢口自身の考え出した考え、
即ち、育ちすぎた欲望が、
矢口を少しばかり、セックス依存症へと導いてしまったと言うのも、
確かな事実では在ったが。
矢口自身が考えるほどに、深刻な事態であったわけではない。


矢口の考えは発展した。
安倍が石川の「虜」であることを認識したことにより、
「石川が娘。を狙っている」
と言う認識が矢口の脳内に定着した以上
(ちなみにこの認識は真実である)、
先日石川に、吉澤をレイプするようにそそのかされた件や、
イカサマ麻雀の件を、石川に進言されたことも、
結局、「石川が、吉澤をモノにするため」に、
矢口を利用したのだと言う結論に導かれてしまった
(これも真実だが)。
そうした時に、結局、石川が普段から、
矢口の身体を求めてきたことも、
他のメンバーを落とすためのサイドビジネスだったのではないかと考えると、
少し悲しくも思われた。
そして、そんな悲しみを抱いた自分自身の心に、
自分が石川を好いているのだと言うことを、
改めて、強制的に認識させられた矢口の理性は、
その頬を紅潮させると共に、
新たな苛立ちを生み出すことにも作用した。


そして、そんな、かなり複雑な矢口真里の思考回路を、
単純に代弁する機関こそが、
その股間に生えた、はち切れんばかりに勃起しているティムポであった。
最もこの代弁機関は、
「石川梨華に対する複雑な思い」
を、勝手に、
「早くなっちとヤリたい」
と言う言葉に代えてしまうと言う、
かなり阿呆な技能を勝手に行使していたのだが。
ちなみにこれは、思考内容の単純変換などというものではなく、
「石川梨華に対する複雑な思い」

「早くなっちとヤリたい」
と言う股間の本能が追い出してしまったことからの、
結果による、代弁作用であったのだが。
そうして、矢口の口からこぼれた言葉は結局、
先程まで長々と、複雑なことを考えた割に、単純な一言となってしまったのである。
「なっちとしていいんだよね?」




『アンドロイドの眠りを妨げないで』

「どうぞ♪好きなだけやっちゃって下さい。」
言うと石川は、あごを振って安倍を促す。
安倍は無言で頷くと、
矢口のベッドの元へ歩み寄る。
矢口には、その、安倍の姿が、
救いの使者に見えてはいたものの、
よく目を凝らせば破滅への使者であるようにも見える気がしていた。
どうであれ、安倍なつみと言う人間の本性を包み込む、
人間の肉と言う物は、目を凝らせば内面や向こうが空かし見える物でもなかったし、
実際、今の矢口には、外面である肉体の方が、よっぽど重要であったので、
意識の内に、その歩み寄る姿を許した。
安倍は、ベッドの横に立つと、布団の裾を掴み、それをはがす。
重い布団から解放された、矢口の腰より下の部位から、
一気に緊張感が抜ける、が、すぐに、
その固くこわばった肉棒から、重みによるものとはまた違う、
別の緊張感が伝わる。


「じゃ、私はそろそろ帰りますね。
安倍さんはちゃんと二人をヌイてあげるのよ。」
石川の言葉は、実際、矢口の耳には入っていなかったが、
安倍はその言葉に忠実に従うべく、
矢口のズボンに手を掛ける
(そうこうしている内に石川が退場する)。
その瞬間、矢口の脳内に、先程まで抱いていた筈の、
一刻も早く射精したいと言う意欲は、
確かに在ったのだが、無意識のうちに、
それとはまた違う方向性の言葉が出る。
「ま、待って!」
その言葉を聞いた安倍の動きが、
ピタリと止まる。
矢口は、よくわからないのだがとにかく、言った。
「キス……してよ……。」


安倍はゆっくりと、矢口の方に向き直る。
目と目が、合う。
安倍の顔を見ている内に、矢口は、
言葉を考えることを忘れてしまった。
意識の中に、何かしらの、欲求やら、想いやらが、
確かに在るのだが、本人の中で言葉として成り立っていなかった。
そうしてバラバラに散っていった意識が、
少しずつ、自身の中核へと収束して行き、
矢口の考えは、やっとのことで言葉になる。
(なっち……かわいい……。)


安倍は安倍で、何がなんだかわからないと言った様子で、
矢口の方を見ている。
その形状は、例えば、石川が持っているような、
無機質な美しさ、「生」を持たずとも成り立つ美しさではなく、
生物特有の、「生」によってこそ成り立つ美しさ、
むしろ可憐さであった。
感覚で言えば、愛玩動物などの持つ、
そういった可憐さに近い物だったかもしれない。
だが、そんな「生」を感じる姿形であったからこそ、
より、「性」の部分が、肌から肌へ、
生々しく伝わったこともまた事実であった。
そう言ったことから、矢口の肉棒は、
やはり敏感に反応し、膨れてみたりする。


「いいよ……。」
安倍は言うと、本格的に体制を、
矢口の方に向け、重なり合いに来る。
安倍の顔が少しずつ近づく。
視界が、少し暗くなった気がする。
かと思えば、その殆どは、
いつの間にか、安倍に征服されている。
顔の距離がかなり縮まっても、
二人は瞳を開いたままだった。


安倍がどうだったのかはわからない。
とにかく、矢口は、目を閉じるのが惜しかったのだ。
安倍の顔をずっと見つめていたかった。
互いに見つめ合っているだけで、
この世界にそれ以上の幸せが存在しないのではないかと、
その様な意識が、うっすらと自身を包み込む。
だがそれも、安倍の顔がいよいと限界まで近づき、
安倍が目を閉じると共に、強制的に終了となった。
仕方なしに、矢口は目を閉じる。
二人の唇が、ゆっくりと触れ合った。


安倍の舌が、矢口の唇をこじ開ける。
ただ促されるままに、それは開く。
中で待ち受けていた矢口の舌に、
ここぞとばかりに、安倍の舌が群がる。
二人の舌は、わずかに触れ合ったかと思うと、
あっと言う間に、濃厚に絡み合い、
互いに刺激を与え合う。


(なっち……。)
矢口の口内、特に、
奥歯の辺り、その内側辺り、
舌の下部あたり、その辺りから、
妙な、感覚か、あるいは物質か、
おそらくは唾液なのだろうが、
少し性質の違うように思える物、
快楽を分泌しているようにも感じられる、
何かがにじみ出てくる。

その時に、矢口の意識は殆ど、
口に集中していたのだが、
心臓の鼓動だけは、とにかく度を超して強かったため、
唯一、認識できていた。
強く、強く、身体を打ち付けていた。
そう言うわけだから、
自発的に現れた、胸の鼓動以外の意識は、
ほぼ全て口に行っていたのである。
どういうことかと言えば、
要するに、股間に、意識があまり行っていなかった。


「ん……ぁ……。」
「んはぅぅ……。ぁ……あ……は……。」
声は声ではなく、ただの、漏れる息であった。
しかしそれは、確かな、いやらしい音となり、
殆ど集中力を無くした耳に、何とかして入り込み、
そしてなんとかして脳に届き、
そこまではギリギリの過程だったにもかかわらず、
興奮を増す作用だけは、しっかりと、良い仕事をして、
矢口の舌の動きをなおのこと、強くする。


脳みそは、遊んでいた両手に指示をだした。
ただ命令されるままに、安倍の小さな方を、
掴み取り、抱き寄せる。
身体の密着はなおのこと強くなり、
興奮作用が増幅以下省略。
ともかくとして、どんな言葉にも代えられない、
快楽に、矢口は(そして、矢口の知る所では無いものの、
安倍も、二人揃って)、包まれようとしていた。


(んぁ……ぁ……なっち……なっち……なっちぃ……。)
矢口の脳内でさえ、言葉は殆ど無かった。
無意識のうちに発生する、
快楽に埋もれた喘ぎと、
そして既に、無意識的に発することが可能となっていた、
安倍の愛称だけだった。
矢口は、自身の膨らむ股間のことも忘れ、
口内に広がる快楽をむさぼりながら、
永遠を願った。




『生まれた愛を育てて信じる力にかえて』

しかし矢口の願いも、あっと言う間に裏切られる。
安倍の左肩が、もぞもぞと動いたから思うと、股間に触感。
ズボンごしに、安倍の小さな左手が、
肉棒をさすった。
瞬間、殆ど口に集中していた感覚が、
ごっそりと股間に奪われる。
「あ……!」
瞬間、矢口の喉の奥から、
ハッキリとした声が漏れ、
同時に、口と口とが離れ、キスは終了した。
(違う……!)
一瞬で在ったが、矢口は確かに思った。
自分が安倍に望んでいたことは、
その可憐な手で、股間を慰めることではなく、
永遠のキスであった。
例えその願いを抱いていた自分自身でさえ、
今は消え失せていたとしても、
数秒前には確実に存在していた霊魂であった。


しかしどうであれ、
肉棒と言う身体のパーツは、物理的刺激に敏感すぎた。
霊魂やら何やらの訳のわからない物は、
安倍の手により、あっと言う間に払い捨てられ、
やはり、どんな理屈を宣っても、
確実に、先程より強い快感が、
ズボンごしに、安倍の指から、
肉棒へと与えられた。
「あ……なっち……。」
先程までの行程のせいか、
矢口は完全に、意識的な冷静さを欠いていた。
いや、実際、矢口真里自身の、
セックス中の性分が、そういうものであるのかもしれないが。
とにかく、矢口が感じやすいのかどうかはわからずとも、
少なくとも安倍よりは敏感だったようで、
安倍は、ハッキリとした言葉、日本語で、言った。
「ズボン脱がすよ……。」


安倍は矢口の返事を待たずに、
身体を一つ引き、
ズボンに両手を掛けると、今度こそ、
本当に、ズボンを(正確にはパンツも一緒に)脱がせた。
ギンギンに張りつめた、
矢口の男性器は、例によって元気に登場した。
尿道の先から、どうみても異常な量、
それこそ、普通の正人男性が、
一回に射精する精液の量ぐらいの、
透明な先走り液がだらしなくしたたり落ちている。


安倍はその亀頭に左手を伝わす。
尿道口の、一番液体がにじんでいる所に、
親指を当てると、それをゆっくりと、
亀頭全体に伝わす。
「ぁぁぁぁっ!ぁぁっ!」
例によって矢口は、並以上の喘ぎ声で反応する。
そんな矢口の動作自体には、
あまり反応しない安倍。マイペースに、言った。
「……口でしてもいいかな?」
矢口は、反射で頷いた。


安倍は、いわゆるおきまりの動作なのだが、
右手で、前の方にたれてきた髪を、
耳の裏にかけ直す。
そして、一生懸命に、大きく口を開けると、
肉棒を、食べた。
瞼をうっすらと閉じ、
ここち良さそうに、
深く、深く飲み込んでいった。


そうして、先程、矢口の舌に与えた刺激と、
まったく変わらない刺激を、肉棒に与えた。
そこから得られる快感は、
すくなくとも物理的に、
明らかに、キスを大きく上回る物であった。
舌が肉棒の周りをはい回り、
根本も、筋も、カリも、尿道も、まんべんなく、
下から上へ、上から下へ攻めあげる。
「ぁぁぁぁあ!!
なっち!なっちっ!!」
いよいよ、矢口の、「声を抑える」機関も、
以上を来たし始める。
ともかく、先程までと同じように、
心臓は限界近くに鼓動を強め、
蓄積された快楽は、矢口の、
たとえば肉体的な部位も、精神的な部位も、
何もかもに対して、自身が溶けゆくような錯覚を覚えさせた。


そうして、実際、薬の効果は強かった上に、
三十分も焦らされていたのである。
長い時間、安倍のフェラに、
矢口が耐えられるわけが無いのだ。
安倍が矢口の肉棒を口に含んでから、
きな臭い表現で言ってものの20秒ほどだった。
限界はやってきた。
「ふぁぁっ!ぃく!いく!いく!いくよぉっ!!あぁぁぁっ!」
「ん……!らして……!らして……!」
安倍は頭全体を動かして、
唇で亀頭を刺激した。
「ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
激しい痙攣。


安倍としては、矢口の精液を、
全て、口内で受け止めるつもりだったのだ。
しかし、痙攣の震度が、あまりにも大きすぎたのである。
肉棒は、ひょんなこと、
安倍の口から逃げ出してしまった。
「あっ!!」
そんな失敗を安倍自身が認識した時だった。
尿道から、一瞬、白い物が姿を表わしたかと思うと、
まるで水鉄砲のような勢いで、
大量のザーメンが、吹き出してきた。
矢口の喘ぎ声が、安倍の耳をほぼ塞いでいた。


「キャッ!」
安倍の悲鳴。そんなことはお構いなしに、
ザーメンは、安倍の顔に襲いかかる。
第一波、第二波、第三波、
そのインターバルは結構に短かったが、
一つ一つの威力は絶大だった。
安倍の顔は鼻の辺りを中心に、
白で埋め尽くされた。
やっとのことで、矢口の射精が終わった頃、
安倍の顎から、ドロドロとしたザーメンが、
次々としたたり落ち始めた。


矢口は射精の快楽に浸りながら、
そんな安倍の顔を、見つめていた。
その20と言う歳の割に幼い顔を、
己の汚い物が犯していく様を見て、
射精感とはまた違った興奮が、沸き上がった。
お陰で、射精が終わっても、
性欲尽きることは無く、
まぁ肉体のこともあるのだが、
例によって、矢口の肉棒は、
やる気満々に天を突いていた。
「うぅ……ベトベトだよぉ……。」
安倍は右手で、
自分の頬に付いたザーメンを拭いながら、
矢口を見やった。二人の目が合った。
矢口は覚悟を決めた。


安倍は左の手のひら一杯で、自身の顔に着いた精液を拭い去る。
手にべっとり付いたザーメンに、粘着力と言うものはあまり無いものだから、
それはドロドロと、手からしたたり落ち、ベッドのシーツを汚す。
しかし矢口も安倍も、そんなことをどうこうする気は無く、
ただ、今目の前にいる互いの相手に、何かしらの想いを寄せていた。
ふいに安倍は口を開き、ある意味おきまりの台詞を言う。
「いっぱい出たね……。」
言いながら、自身の手のひらをかざし、矢口の顔に近づける。


「んっ!」
矢口はとっさに、それを払おうとするのだが、何故かあまり力が入らず、
ザーメンまみれの左手を遮ることが出来ない。
何時の間にか安倍の身体は、左手だけでなく、
全体が、矢口に近づき、取り囲もうとしている。
「ほら、こんなに……。」
安倍の手が、矢口に押しつけられた。
口と、鼻との辺りを、ザーメンが覆う。
それほど、臭くはなかった。
おそらくに、まだ、出したてで新鮮であったからだろう。
そしてそれは、口の中にも少しずつ、流れ込んでくる。
味わいたいものではないし、奥の方へと導きこむ行動こそ取らないが、
わずかに、苦い味を感じてしまう。
やめて、と言おうとしたが、そうすれば口を開いてしまうのだ。


矢口は、んっ、んっ、と、
言葉にならない声をあげ、抵抗した。
しかしそんな矢口に構わずに、安倍は言う。
「いいじゃん、自分で出したんだし。」
そう言って、指を使って、
無理矢理に矢口の口をこじあける。
「いや……もう……。」
口が開かれたことにより、精液の侵入を防ぐと言う目的が無くなった。
よって矢口は、結局声を出してしまう。
そしてそこに、先程、自分自身の出した精液が流れ込む。


全く味わったことの無い味ではない。
それでも、味わいたい味ではない。
口一杯に、不快感が広がる。
矢口はその不快感を拭い去るかの様に、安倍の指を、貪り、嘗め回す。
「んっ、……はぁっ……。」
「矢口……。」
安倍は改めて、その身体を矢口に覆い被せてくる。
左手を矢口の口に突っ込んだまま、身体をくねらせる。
上に覆い被さると、そのまま口から手を抜き取った。
矢口の舌は、それを逃がしたくないかの様に、しつように指に絡みついたのだが、
結局、その手は放れると、矢口の頭の横に置かれ、安倍の体重を支える役目に回る。


再び、二人の目が合った。
かと思うと、それは顔から下の方へと移りゆく。
安倍の視線が、矢口の男根へ向かっていることは容易に理解できた。
「なっち……腰……。」
言いながら、矢口は安倍の腰に両手を回し、それを下に導く。
「うん……。」
安倍はゆっくりと腰を落とした。
ベトベトに濡れた安倍の女性器が、矢口の亀頭に当たった。
矢口は片手を股間に回すと、手を使って、自身の肉棒を安倍の入り口へと導く。
「ぁぁ……。」
安倍が微かに声を上げるのと、肉棒の侵入開始とが、殆ど一緒だった。


「ふ……ぅ……ぁ……。」
肉棒を、人間の肉が包み込む。
ビロードの感触……の様な表現を、最近読んだ雑誌で見たのを思い出したが、
矢口にはビロードがどんなものなのかは判らなかった。
「矢口……。動くよ……。」
安倍は言うと、矢口の肩口に置かれていた両手を上げ、腰を上の方に反らす。
そしてそのまま手を、それぞれの両足首に当てた。
矢口の視線には、安倍の上半身より上の部分が、はっきりと映り出す。


(なっち……。)
一時期に比べ大分痩せてきた安倍の姿が映る。
その姿全てに、完全に見とれ、我を忘れる。
射精後少しずつ取り戻しつつあった冷静さが、再び崩れ始めた。
「なっち……!あぁっ!」
矢口が何かを言いかけた時、安倍は事を開始した。
自身の体重を、手首越し、足首に預け、激しい腰の上下を始める。
「ぁぁっ!矢口!あぁぁっ!」
「な、なっちっ!あぁぁ……。」
安倍の唐突な行動に、心底戸惑った矢口は、
一瞬、常識外れなまでに大きな声を出すが、少しして、やっと沈める。


「あぁっ!あんっ!あぁ!あ…!あっ!」
安倍が自ら動き、その動きは直接、
矢口の肉棒に伝わる。
それは割と慣れた快感であり、
例えば、
初期段階からついつい声が出てしまうようなものではなかったが、
確かに存在し、矢口を攻め立てていた。
「矢口ィ!イィッ!きもちいいよぉっ!」
「……。」
自分の腰の上で乱れる安倍の姿を、矢口はじっくりと眺めた。
「ぁぁっ!あぁぁ!ぁぁ……!ぁ……!」
安倍の崩れきった表情は、今行われているこの行為を、
心底楽しんでいることがありありと感じられた。
何せあのかわいらしい安倍なつみが、自分の肉棒を飲み込んで、
快楽に表情をゆがめ、大きな喘ぎ声をだしているのだから、たまったものではなかった。


(ヤバい……萌え死ぬ……。)
「萌え」などと言う言葉を近頃雑誌を通し覚えてしまった、
矢口のボキャブラリーとはなんとも哀れなことではあるものの、
形容としてそれ以上のものが無かったのもまた事実だった。
愛らしく、いやらしく、乱れきったその姿には、もはや性欲や射精欲云々を越えた、不思議な感覚が在った。
「なっち……。」
名前を呟いてみたが、安倍の耳には届かなかったようだ。
喘ぎ声にかき消されたらしく、安倍は相も変わらず、ただ、喘ぎ声を上げ、腰を動かし続けた。
「……。」
矢口は半ば呆れながら、安倍の顔を見つめた。
そしてふと、先程の石川と安倍のやりとりを思い出す。
この二人の関係は先程知ったが、さほど驚きはしなかった。
なにせ、あの石川とこの安倍であるわけだから。
性欲上で、特殊な関係になってしまうのも無理は無かった。


ともかくとして、肉棒を攻め立てるその刺激は、なんだかんだ言って少し早漏気味の矢口を、
存分に攻め上げるものだから、矢口自身、このままなされ続けるとまずいことは認識していた。
脳味噌に神経を集中させ、安倍の顔を凝視し、少しでも射精感を沈めようとする。
しかし結局、安倍の顔をじっくり見たことによって、なおのこと興奮は高まり、意味はなさなかった。
失敗した……などと、心の奥で呟いた。
(かわいいなぁ……。)
同じような台詞が先程から、バカみたいに溢れ続けていた。
それ以外の言葉を出すには、それなりの意識が必要であったのだから仕方ない。


ふと、安倍の動きが止まる。
呼吸の関係
……一連の動きに関する呼吸……
言うなればリズムのようなものの都合からなのだが、要するに疲れて一息付いたのだ。
そればかりは仕方ない。
「ハァ……ハァ……。」
安倍は首をコクリと落とし、息を吸い込む。
「ハァ……はぁ……やぐ……ち……。」
「なっち……。」
矢口は両手を安倍の顔に向けて伸ばす。
安倍はそれに呼応して、
身体を前傾させると、矢口の両手に抱かれた。
そのまま矢口の身体の上に倒れ込むと、再び唇を重ね合った。


舌を絡め合う行為も、もはや特別な意味は持たなくなっていた。
神経が下半身に行っているため、先程のような快感は、二人とも感じなかった。
ともかくとして、それは、互いの疲れを慰め合うかのように、同じ動きを繰り返していた。
矢口は右手を安倍の背中へと下ろすと、やさしく撫で下ろし、また撫で上げた。
視界一杯に映った安倍の顔が、うっとりとした表情へと変わりゆく。
矢口はそのまま、二人の上下を入れ替えるべく、安倍の身体を左方向へ転がそうと試みる。
病院のベッドもそれほど大きくはないため、安倍の身体がはみ出そうにもなるが、
少しずつ、二人で身体を引きつつ、移動し、なんとか中へと残した。
その移動の過程に、
膣内へ挿入された男柱が抜けてしまわないように、互いに気を付けていることに気付いた。
どうにも間の抜けた感覚が二人を襲ったが、敢えて無視する方向で合意した。
拍子に、二人の口付けは終わったが、例によって互いに見つめ合ったままだった。
どうであれ、二人の身体は接着されたまま、どうにか上下を入れ替えることに成功した。




幸せのイメージを上手に描けたなら

「なっち……動くよ……。」
「うん……。」
矢口はやっとのこと、
自身がセックスに於ける主導権を握ったような気がして、少しばかり悦に浸っていた。
相も変わらず男根を包み込む肉壁が、僅かにうごめく。
矢口は強い生命力を感じた。
そんな生命力も、
黙っていれば何も……そう……いわゆる快楽の類は与えてくれない、そんな漠然とした予感を矢口は、
別に認識したことこそは無かったものの、ずっと前から知っていた。
だからこそ、ゆっくりと、ゆっくりと腰を動かし始めた。
この、腰を動かす行為こそが、人の本能と言うものの現れなのであろうが、とにかく矢口は、目と鼻の先に迫る快楽の為に、
腰を振り始める。


そんな矢口の行為に、肉壁……生命力……は、確かな見返りとして、快楽を分け与える。
それは、ケチでもなければしみったれでもなく、矢口の心も、身体も、充分に満たそうとしていた。
集約された神経を、圧力が締め上げる。
「……ハァ……ハァ……。」
「ん……。」
矢口が丁度、興奮から息を切らし始めた時、まるでそれに呼応したように、安倍が反応を返し始める。
固い肉棒に突き通された腰が、病院のあまり上等でないベッドに、短い距離からとは言え打ち付けられ、
ゴツ、ゴツ、と音を立てる。
この時安倍は、痛みを認知しながらも、矢口とのセックスを純粋に楽しむべく、
無視を決め込んだのだが、それは矢口自身の知る所ではなかった。


「あぁっ……やぐ……ちぃ……。」
「なっちっ……ハァ……ハァ……なっち……っ……。」
矢口が、ゆっくりと、ゆっくりと、しかし力強く、腰を振り始める。
矢口の肌と、安倍の肌が触れ合う。
既に二人の股間の辺りは、汗やら愛液やら残り汁やらで、
グチョグチョになっていて、そんな液体が、矢口の腰に押され、
また、どこかしらグロテスクであるとも言える、そんな音を奏で続けていた。
「ああ……あ……あ……。」
「……ハァ……ハァ……。」
「あ……や……気持ちいいよぉ……。あっ……あぁっ……!」
矢口の腰に突かれ、安倍は例によって喘ぎ声をあげる。
「……。」
「や……ぐ……あぁ……もっと……もっとぉ……。」
「ハァ……ハァ……。」
「あぁっ……あぁぁ……ああん!!あぁっ!!いいっ!いいよぉっ!」


安倍の声が、いよいよ大きくなり始める。
先程まで、大した声を出さなかった安倍の理性が、かなり無くなってきていた。
それと同時に、矢口にも、限界がおぼろげに見え始めてくる。
早漏気味の矢口にとって、薬で高められた身体に、大した抵抗力がないのは何をせずとも明らかだった。
しかしそれでも、矢口はなんとか耐えるように努力をするつもりだった。
すこしでも、安倍を楽しませたかった。
なるべく、今の行為について考えないようにして、少しでも気を逸らそうかとも一瞬考えたが、無理だった。
目の前であえぐ安倍なつみを前にして、それを無視するのは、不可能だった。
それは例え、今の矢口に陰茎が生えていなくとも、
そう、詰まるに矢口に女性としての感情しか無かったとしても、
それでも見つめずには居られないほどに、安倍の姿は愛らしく、いやらしかった。
ましてその安倍が感じてきている以上、矢口には耐える必要と言うのもあまり無かった。
二人共に、タガは完全に外れ、終末が近づいてきていた。


「なっち……っ……!なっち……っ……!
「あぁんっ!あっ!あっ!……あっ!あぁっ!
ふ……あぁぁぁっ!あぁんっ!ぃや!いや!
あぁぁぁぁぁ!うぅ……っ!」
「なっち……なっち……。」
「ひぃ……あぁ……う……。
んんー……。ぁ……。もっとぉ!もっとちょうだいっ!」
「なっち……気持ちいいよっ!あぁっ!
イッちゃうっ!イッちゃうよぉっ!あ……。」
「ぁぁ……イイ!……あぁっ!
う……うぁ……うぁぁぁ……。」
尿道に精液が昇り始めた。最後の一線は越えた。
こうなるともう後戻りは出来ず、矢口の射精はこの時点で確定する。
この状態から、少しでも耐えようと、そう、この状態もまた、快楽の絶頂の瞬間であるからこそ、
少しでも耐えようとしたのだが、気休めにもならなかた。


「ぁぁ……。」
「うぅっ!あぁっ!あっ!あぅ……あっ!あぁっ!」
精液が駆け抜けた。尿道を一気に駆け抜け、
亀頭へと抜け、それは見えない場所……つまり膣内……に姿を表わそうとした。
その、ごく短い瞬間に、矢口は最後の力をふりしぼり、思い切り素早く、腰を振った。
最高に敏感になった男根を、強い刺激が襲った。
精液はまさに搾り取られるかのごとく、大量に現れ、放出されようとした。
そして、その矢口の動きとほぼ同時に、安倍をまた別の波が襲った。
「……ぅ……。」
「ぁぁっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっ!!
あぁぁあぁぁぁぁああぁっ、ぁぁぁぁぁぁ!」
「んんんっ!」


ほぼ同時に、二人の身体は痙攣した。
それと同時に、矢口はいよいよ射精し、安倍の膣内に、温かい感触が広がった。
瞬間矢口を、そして矢口の知る所ではなくとも安倍を襲う快楽は、まず現世のものでは無いと思われた。
(死ぬ……。)
矢口にとってはショック死を覚悟するほど強烈な快感だった。
そんな快楽が、しばらくの間、厳密な時間の単位で言えばごく短い時間だが、
二人の体感としてはそれなりの時間続き、長い間最高潮を保ち続け、やっとのことで終わった。
終わる頃には互いに、この世の他の全てが要らなくなっていた。


とにかく、二人は呆然としていた。
ただ、それでも、互いの視線は重なり合っていた。
どちらも虚ろな目ながら、確かに見つめ合っていた。
二人の脳内からは再び、言葉は消え失せていた。
が、ともかくとして。
なにがなんだかもわからない脳味噌のまま、
矢口は身体を折り、上半身を横たわる安倍にかさねた。
二人の顔は近づきあい、やがて、唇から重なった。
そして舌は絡まり合う。
先程のような、興奮を高める意味とは違った、整理的な……鎮静的な意味を伴って。




それは絵本だけのお話

矢口と安倍は、病院の小さなベッドに、二人で寝転がっていた。
男が女の頭の下に腕を敷く、事後の男女にありがちな腕枕の光景とも程遠く、
二人がただ、肩を寄せ合っている。
眠りにつくわけでもなく、ただ、疲れた身体を休めていた。
何故、安倍は石川の言いなりになっていたか。
安倍から話を聞かされた。
結局、安倍も、矢口と変わりはなかったのだ。
性欲に溺れ、それを満たしてくれる唯一の存在として、石川梨華が存在したからこそ、
いつからか、石川から離れることが出来なくなっていた。
特に安倍は、今を以てなおおそらくは石川よりも立場は上(と思っている)矢口と違い、石川に完全にいかれていた。
石川から身体を慰められたいばかりに、言いなりになり、先輩としてのプライドさえ捨ててしまっている、
ひどい状態であった。
矢口はそんな安倍の姿が、哀れに感じられた。


このままじゃ駄目なことはとっくに気が付いていた。
しかし既に、矢口も、安倍も、隣で気絶したままの吉澤も、
そして石川でさえも、欲望を満たしながらでないと、
生きていけない身体であることにもまた、気が付いていた。
それは、なんとも気だるい、不快感に満たされた日常だといえる。
しかし、その不快な日常が、どこかしら、恵まれたものとも感じていた。
不快な日々とは言え、極上の快楽を得られる日々でもあったのだから。


(そう言えば……。)
矢口は、枕元に置かれた鉄板に手を伸ばした。
例の、百人斬りカウンターだ。
今、安倍なつみとセックスをしたのだから、表示は007から一つ増えて、
008になっているはずである。
片手で持つには少し重いそれを、どうにかして、顔の元まで運ぶ。
隣でうっとりしている安倍の邪魔にならないようにするのが、少し神経を使った。
「よいしょ……。」
面前に晒した。
そこには、例によってデジタル数字が姿を表わす。
矢口の予想とは少し外れた姿を伴って。
010。
「えっ!?」
矢口の声に反応して、
安倍が顔を向けてきた。
不思議そうな顔をして矢口を見ている。
矢口はそれに愛想を返すこともなく、思考に耽った。
(矢口はなっちとしか……。
よっすぃはさっきからずっとここに居るし……。……紗耶香?)
矢口の予想は少し外れていた。






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