新性紀エヴァンゲリオン プロローグ
「ここは・・・みんなの心が集まっているのか」
赤いまるで血の海になったようなLCLの海を見てつぶやくシンジ。
「結局、僕はみんなの手の上で踊っていただけか・・・・」
その海を見ているとまるで知り合ったすべての人を心を見ているような気持ちになってくる。
「僕ががんばっても何一つ変わらないのに、がんばって命がけで戦って・・・その結果がコレか?」
怒りとともに強力なエネルギーがシンジの周り一帯に広がりそこにあるものすべてを破壊する、いや何もないのだから破壊はされない。
「そして手に入れたのはこんなくだらない力・・・」
最後に生き残り、新たなアダムになるために与えられた使徒としての力。
「アスカ・・・」
新たなリリスになるはずだった明るく、そして弱い少女は生きることを拒絶し・・・
「ミサトさん・・・」
母親のように暖かい存在でありながら、本当は誰よりも暖めてほしかった女性は死に・・・
「リツコさん・・・」
父親にいいように利用された悲しき女性は愛したものの手でいきたえ・・・
「綾波・・・」
そして、誰よりも不幸だった少女を自分は受け入れられなかった・・・
「使徒だから、人間じゃないから受け入れられなかった・・今の僕と何一つ違わなかったのに・・・」
そういって確認するようにA.Tフィールドを張る。
「誰一人救えなかった・・・」
できることならあの日に戻りたい。あの初めて使徒に出会ったあの日に・・・
「戻りたい」
「なら、戻ればいいんじゃないか?シンジ君」
突然現れた人影に驚くシンジ・・・
「カヲル君、生きていたのか」
自分で殺してしまった親友に再開し喜ぶシンジ、だがカヲルは首を横に振り
「いや、僕は死んだよ、今ここにいるのは僕の残留思念。君が使徒になったことによって感じることができるようになった存在のひとつだ」
「じゃあ、ほかの人の思念も感じられるの」
「この海に入ればいやでも残留思念を感じられるよ。お勧めはしないがね」
勧めないというせりふに疑問を感じるシンジ
「なぜだい、カヲル君」
「なぜなら、ここに入ればいやでも君の思念は取り込まれるよ。この海にね」
「でも僕はそのほうがいいよ・・・」
そういったシンジの顔はあの気弱な少年の悲しい顔から何一つ変わってはいなかった。
「なぜだい?」
「なぜって、こんな誰もいないところで一人でいたくないよ」
「それだけじゃないだろう?」
「えっ」
カヲルの質問に対しうろたえるシンジ
「僕は残留思念だからね。君の心も大体わかる。君は自分ひとりだけ生き残ったことがいやなんだ。いや正確ではないな。彼らはここに生きてはいる」
そういってLCLの海を見る。
「だからみんなとひとつになりたいんだ、そうだろうシンジ君」
「・・・・そうかもしれない」
「でも君にはもっと大きな望みがあるね。戻りたいんだろう?」
「うん、みんなを救いたいんだ・・・」
「戻る方法はある」
驚きを隠せないシンジ、カヲルの方に近づき
「どうやればいいのか教えてよ、カヲル君」
「うん、もちろん教えるよ。ただ・・・」
「ただ?」
言葉の詰まるカヲルをみて疑問に思うシンジ
「何か危険なことが?」
「危険といえば危険だね。今ここにある液体、LCLを媒体に水の使徒サキエルが来た時まで時間をさかのぼることができる。」
「それでどんな危険が?」
「君は定期的にリリスのエネルギーを補給しないとLCLになってしまうようになる」
「リリスのエネルギー?」
ターミナルドグマに行って補給するんだろうか・・・
「いや、違うよ。簡単に言うとリリンのなかでリリスの属性を持つ女性からエネルギーをとるんだ」
「どうやって?」
見当はそういったものにも興味のでてくる中学生だけあってついているようだが質問をするシンジ
「見当はついてるんだろう?そう、SEXさ」
「で、でも僕はそんなことはしたことがないし・・・」
赤面するシンジ、初々しい中学生らしい反応ではある。
「なら、ここで練習していけばいい」
「えっ」
そこに現れたのは紛れもなく碇 ユイだった。