「アンタ、よくもうちの一年を泣かしてくれたね」

突然うしろからドスのきいた声で怒鳴られた俺は、
何事かと振り向くと、そこでは
レオタードを着た、やたらガタイの大きい女が三人、
俺の事を睨んで立っていた。
いや、そのうちの一人は泣いている。

「金本、この責任どうとるつもりさ!」

三人の中でも一際デカい、…185cmはあるだろう女が
164cmしかない俺を見下ろしながら詰めよってきた。
この女、見覚えがある…

そうそう、3年に進級して間もない頃、各クラブの部長が
会議室に集まって話し合う事があったが、そこに
コイツがいたっけな・・・
女のくせにとてつもないデカい体してたから嫌でも目についた。
えーと、確か女子レスリング部の部長で、名前は何だったっけ・・・
まあ、いい。

「何だよ、何の事だかさっぱりわからねーぞ!!」

因縁をふっかけてくる相手に当然の抗議をしてやると、その女は
より険しい表情になって

「昨日、この香がアンタにラブレターを渡したら、それを
 こいつの目の前で破り捨てたそうじゃないか!」

と、怒鳴り散らしてきた。

…ん? ラブレター?
ああ、そうだった。
昨日の夕方、練習を終えて部室を出ようとしたら、入り口に
やけに体格のいい女が立っていて、俺にハートマークのついた手紙を
渡してきたんだっけ・・・

で、その気の無い俺は、それを何度も破いて紙片にした。
残酷なやり方だが、以前別の娘に告られた時口でうまく断る事が
できずに、半年程ストーカーに変身されてしまった経験がある俺は、
それを教訓にして、すっぱりあきらめてもらうよう
今回の方法をとったのだ。
でも、どうやらこれでも駄目だったらしい。

「ああ、君、昨日は悪いことしちゃったかな。
 …え〜と、名前は?」

「・・・グスッ、橿原・・・香・・・です・・・」

泣きじゃくりながら絞り出すように自分の名を告げる女の子。
こんな姿を見ると、昨日やった事にとても罪悪感を感じる・・・
ここはちゃんと謝っておこう。

「ゴメン、本当にゴメン。断るならもっと別の方法も
 あったよね。
 え〜と、お詫びしたいんだけど、何か俺にできることないかな?」

「グスッ・・・じゃあ・・・私のどこがいけないのか
 教えてください・・・・・・」

「・・・えっ? それは・・・」

う・・・まいったな。そうきたか。
こればかりはどうしようもないことだからな。
う〜ん、どう言ったものか・・・

どうしたものか思案にくれていると、またしても

「どうした、早く言ってやりなよ!!!」

と、女子レスリング部長の怒声が辺りに木霊した。

「ああ、もう、わかった言うよ。
 俺はな、自分よりも背の高い、または体重の重い女は駄目なんだよ」

部長の迫力に押され、観念した俺は、香ちゃんの告白を断った理由を
正直に話すことにした。

「わかるだろ?自分より背の高い女と並んで歩くなんて、
 みっともねぇじゃねーかよ!」

自分のコンプレックスをひけらかしてるようで気分が悪いが、
これであきらめてくれるだろう・・・
体の底からこみ上げてくる怒りを、安心感で無理に抑えつけた。
だが、俺の羞恥の告白に対して香ちゃんが返してきた言葉は、
俺の怒りを再度呼び覚ますものだった。

「・・・つまり、私より弱い事を
 周りに知られたくないんですね」

「な、何だって・・・!?」

いきなり何て事を言うんだこの娘は!?

「だって、ボクシングには階級制があるじゃないですか。
 これは小さい選手は大きい選手に勝てないって事でしょ?
 ボクシング部部長の金本さんなら、わかるはずです。」

そう、言い遅れたが、俺はこの学校のボクシング部部長だ。
去年のインターハイでは優勝したし、自分の強さに
自信もプライドもある。

だが、それを目の前の娘は否定している。
確かに体は大きいが、俺より5cm程度高いくらいだ。
体重だって10kgも変わらないだろう。
それに第一、この子はまだ一年の女の子だ。
いくら体格が違うからって負けるはずはない!

「君より弱いわけないだろう!俺は男だぞ!!
 女の子の君になんか負けるものか!!!」

「あれ〜、何ムキになってんの、図星だった?」

「うるせぇッッッ!!!」

「あらら、おチビちゃんが威勢だけはいいのねぇ」

部長と香ちゃんの間にいる女が含み笑いをしながら
俺を挑発している。
くそッ、こいつら皆俺をバカにしやがって・・・!

「何なら、香とスパーリングしてみる?」

「な、何ィ!?」

思いがけない提案に、思わず素っ頓狂な声をあげてしまう俺。

「香、いいよね?」

「はい、金本さんに私の強さを教えてあげます」

「ななな・・・お前らァァァ・・・!!!!!!」

俺の怒りは頂点に達していた。
いいだろう。やってやろうじゃないか・・・
どうなってもしらねぇからな・・・!!

[ページ2へ] [TOPへ]
動画 アダルト動画 ライブチャット