9)南国の暴れ牛 ヨーコ・ゲッターランド  ニコ達はチンペイの身に降りかかっている悲劇的な災難を予想もせず、翌朝目を覚ました。 窓の外のバルコニーに選手達の何人かが部屋をのぞいているのに気付き驚いて跳ね起きた。 部屋を出ると何人かの若い女性達が意味ありげに微笑んできた。 みんな十代後半から二十代で表情にあどけなさの残る女性達であった。  昨日の練習時に彼等を睨み付けた目つきの悪い女子選手が黒いジャージ姿で新聞を読んでいた。 ニコは彼女に話した。 「おはようございます。今日、我々おいとまさせていただきます」 「へ?何言ってるのかしら?おまえ達昨晩のパーティーでこのチームの一員になったのよ! パーティーの後、入部誓約書に拇印押したでしょ!」 実は二人とも昨晩どの様にして部屋に帰ったか憶えていなかった。 「やられた!!」 「あんた達は一番の新人ね、男だからって他の選手から特別扱いはしないよ!ふふっ・」 背後から新人達がユニフォーム姿で歩いてきた。 その中の一人が彼らにユニホームを手渡した。 先輩に比べて小柄で、微笑んだ目がとても可愛い女性だった。 そして小鳥がさえずるような美しい声で言った。 「可愛いユニフォームね。さ、行くわよ」 彼らは他の新人と一緒に練習を開始することになった。 コートに着くと、何をして良いかわからず途方に暮れていると、先ほどのかわいらしい新人が二人にボールを打ち込んできた。 「バズッッッッ」 顔に似合わず強烈な勢いだ。 「これからあなた達は、24時間あたし達と一緒ね。チームメイトですもの。昼は一緒に練習、夜は他の選手とコミュニケーションよ。 昼間は少しでも怪我しないようにボールをよける練習をすることね」 といってその美少女は矢継ぎ早にボールを打ち込んできた。 ニコとコンペイは必死でボールをよけ続けた。 先輩選手達もすでに合流し、気がつくと二人の周りには大勢の女性達に囲まれていた。 全員3m近い長身の美女でありまさに森の中にいるような錯覚である。 目が小さく頬にニキビのある先輩が乱暴にコンペイを呼んだ。 「そこのチビちゃん!、あたしの脚マッサージしてよ!!」 声の方向を見るとかなり筋肉質な選手である。 「あんな堅そうな脚マッサージできるかよ!!!」 乱暴な言い方とあまり可愛くない顔であったため、無視した。 というより新人のボールをよけるので精一杯だった。 すると先ほどの筋肉質な先輩が荒々しい歩き方で歩いてきた。 「レイア、ちょっと休憩しな!」 その美人の新人はボールを打つのをやめた。 そしてその先輩はコンペイのあごを左手で掴んでコンペイの顔を上に向けた。 そのままコンペイの顔は上にあがっていく!コンペイの細い首はこれでもかという程伸び、胴体から頭が抜けそうだ。 コンペイの顔は先輩の顔の前まで上った。 目の前には先輩の顔がある。 やや張り出した頬骨、両顎から口元にかけては筋肉が盛り上がっている。 ゴジラというニックネームの副キャプテンであった。 決して可愛くは無いが愛嬌はある。 「アッハッハッハ!!この軽さ何い!?こんなんでよく生きていられるわね。さっきはよくも無視したねえ! 勇気あるおちびチャンね、ウフフフ。おまえはあたしが嫌なの?それともレシーブの練習が好きなの?どっちかしら」 「・・・レ・レシーブが・・す・好きです。・・」 「そう!!それじゃあたしとカロで相手してあげるわ。マリア!あれ?まだみたいね。誰かマリアカロを呼んできてよ。」 少ししてコートに現れたのは筋肉の固まりの様な巨女だった。 背こそ270cmとチームの中では小柄だが太さは半端でない!!褐色の巨大な太股は歩くたびに血管や筋が浮き出ている。 肩の筋肉はきれいに3つに分かれており、ユニフォームも窮屈な半袖はなくノースりーブだ。 胸にもみっしりと筋肉がひしめいており、深い割れ目は天井をむいている。 ラクタロウならあの胸の筋肉の間にすっぽりと挟まれそうだ。 腕にうねる太い血管もニコの細い親指よりも太い!!こんな人間見たことがない!まさに獰猛な野獣の雰囲気だ。 コンペイとニコのまわりには女子選手達で壁ができて、逃げ出すこともできない状況担ってしまった。 新人が二人の使うボールが入ったかごを持ってきた。 新人の使っている物より重そうだ。 先輩二人の打ち込みが始まった。 「ドカーン!!ドガアアン!!」 光線のような軌跡!コンクリートでさえも砕けるような衝撃だ。 こんなのに当たれば命は無い。 二人は命がけでコートの中を逃げ回った。 次第に二人とも息が上がってきた。 「そろそろ当ててあげようかフフフ」 「ok!」 「まずは右肩よ!」 副キャプテンの玉は宣言通りニコの右肩を襲った。 ニコの右肩に気色悪いグシャッという音をたてた。 ニコの身体はくの字に曲がりながら吹き飛ばされた。 そして、壁を作っている女子選手の膝にぶつかった。 ニコは呼吸困難になっている。 無情にも女子選手はコートの中央に放り出された。 そしてカロの撃った玉はヨロヨロと立ち上がったニコの腹を急襲した。 ボールのスピードは全く衰えることなくニコとともに再び女子選手の方に飛んでいった。 女子選手にキャッチされたニコは気絶している。 「カロもっと楽しみなさいよ!寝て起きたばかりでしょう?」 次にカロはコンペイの右足をねらった。 ボールは寸分狂わずコンペイの足を払った。 コンペイは背中から床に叩き付けられた。 「早く起きなければ!!」 しかし、脚には激痛が走り力が入らない。 ふと足下を見ると膝の間接が完全にはずれてぶら下がってがっているではないか!!早く逃げなければ!! しかしどこに逃げるというのか!! 続いてゴジラが強烈な2発目を繰り出した。 座ったままでコンペイは避けようとしたが、案の定ボールは左足を襲った。 左足に激痛が走る!見ると左膝は砕かれて反対方向にグニャリと曲がっている!! 「ウギャアアアア!!!!!!!!」 力一杯叫んでいる。 「ずいぶんと柔らかな身体だこと!!でも脚でレシーブするのはダメなのよ。フフフ」 女性達を見ると笑いながら次の球をかごから取ろうとしていた! 「早く逃げなければ!!!」 コンペイは腹這いになり、手だけであの可愛い新人の足下に逃げてきた。 「た・助けてええ!」コンペイはすでに涙と洟で顔中ぐちゃぐちゃだ。 その新人は満面の笑みでコンペイに優しく微笑みかけた。 しかしその新人は足下のコンペイをコートの中央に蹴飛ばした。 コンペイは背中で床をすべって中央に出てしまった。 「ナイス!」 カロはそう呟くとこれまでにない重く速い球をコンペィの右肩に見舞った。 ドコンッ!!! 上体を起こしかけていたコンペイの身体は激しく床に縫い付けられた様に床にくっついた。 コンペイの頭にもものすごい衝撃が伝わっており、脳震盪を起こしたように頭がボーッとしている。 朦朧とする意識の中で右肩と右ひじが粉々に砕けて関節の位置とは無関係に曲がっているのが見えた!!! 「ぼ・僕の身体は・・どうなって・・しまうのか・・!!?」 その時、あの可愛い新人の応援する優しそうな声が正気に戻してくれた。 「コンペイちゃんがんばって!!」 本当はその後に 「もっとたのしませてえ!!」 という言葉があったのだがコンペイの耳には入らなかった。 コンペイは残った左手で必死にあの可愛い新人の方向に這い出した。 コンペイが可愛い新人の足元に再び届いた。 そこにはコンペイを優しく抱き上げて守ってくれる逞しい女性がいるはずであった。 しかし事実は残酷だ。 その新人は足元のコンペイの頭を左足で押さえつけ、踏みにじってきた。 カロはとどめの球を足で固定されているコンペイに撃とうとしたその瞬間、時点が好転した。 体育館の入り口にカロの巨体に勝るとも劣らない巨体が姿をあらわした。 「待ちな!!アンタらまた、相も変わらず弱いもんいじめしちょるがか?!!」 女子選手は一斉に驚きの表情に変わった! 「ヨ・ヨ・ヨーコ先輩!!!」 [セブンシスターズ・18ページ]
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